部屋の機嫌で育つ!?デジタルの花「Log Flower」
こんにちは、「Experience×Technology(体験×技術)」の岡田です。
今回は部屋に満ちた感情を拾って多彩に成長するデジタル植物をご紹介します。
「Log Flower」とは
「観情植物 Log Flower」は株式会社東急エージェンシーのアイデア開発プロジェクトチーム「GG(仮)」と、株式会社Konelによるプロジェクトの第2弾となるコンテンツです。
マイク(音声センサー)とディスプレイモニターからなり、
置かれた部屋の感情データを吸収しつつ
30日間かけて種の状態から花を咲かせていきます。
観葉植物ならぬ、“観情”植物?
観情植物とは耳慣れない言葉ですよね。
観葉植物が水を吸い上げて育つように、
「Log Flower」は部屋に満ちた「感情」を吸収して育ちます。
部屋での会話から取得する感情データが成長の糧となる
日々吸収する感情データは「喜・怒・哀・平常」に分析され、
その種類や配分に応じて種、花弁の先端・中央・根元といった部位ごとに
色相や形が変化しながら成長する30日間かけて育つことで色や形は無数となり、
部屋の機嫌を体現した唯一無二の花や種子が生成される
部屋に満ちた感情を糧に、その機嫌を反映して咲くから「観情植物」というわけです。
部屋に満ちた感情を拾う技術とは?
では糧となる感情データをどのように会話から拾っているのか、
もう少し技術面をご説明させていただきます。
マイクから拾った音声の解析には、AIエンジン「Empath」が利用されています。
Empathは人の声から会話の質と感情を解析するプログラムで、
言葉の意味ではなく、ボリューム、ピッチ、スピード、イントネーションなど、音声の特徴量から感情を測定するのがポイントです。
数万人の音声データベースを元にした機械学習で
喜怒哀楽や気分の浮き沈みを判別言語には依存せず、音声から解析(どこの国の人の会話でも糧にできる)
独自アルゴリズムによる高速処理で会話のリアルタイム解析が可能
かつWebAPI(プログラムを共有する仕組み)で常に更新を続けている
例えば「いいよ」という日本人が肯定的にも否定的にも使う単語。
言葉の意味だけで意図を判断するのは難しいですが、「高いトーンでポジティブなピッチとボリュームで発せられた」など、音声的な特徴によって会話時の感情を解析しているんですね。
もちろん学習によって精度もどんどんあがっていきます。
デザインによる、気づきと可能性の底上げ
空間を豊かにするIoTインテリア、感情の記録・ヘルスメーター、気づきを与えるセンスウェア、あるいはNFTアートとして売買やコレクション。
たくさんの可能性を秘めた「Log Flower」ですが、そのベースにはしっかりとした「デザインの力」があることにも注目していただきたいです。
データはただ可視化するだけでは真価を発揮しません。
それなら無機質な数字情報として取り出すだけでも十分です。
ただのデータにデザイン(設計としても意匠としても)が加わることで、
そこからより多くの人が気づきを得て行動や可能性を広げることに大きな価値があります。
「Log Flower」を中学受験用の進学塾に設置した実証実験にて、設置の影響を問う質問に、生徒たちから「会話が増えた」「笑いが増えた」「自分の言動を意識した」といった回答があり、「Log Flower」の存在によって先生も含めてコミュニケーションのとりかたを意識するという変化が得られたようです。
見た目も綺麗で言語に依存せず、大人から子どもまで人に話したくなる、コミュニケーションのタネとなる「Log Flower」は、データの価値をデザインで底上げした素敵な例ではないでしょうか。
今後も素敵なデザイン・ワクワクできる「体験×技術」をご紹介していければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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