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SNSへの軽率な投稿を、仕組みで止める話

SNSで軽率な投稿、やらかし事故を減らすインターフェースのコンセプト。

このUIの設計意図と範囲

・やらかす前に止める
・不注意、感情的暴走、無自覚な攻撃性の抑止
・多層的な安全装置で、事故率を減らす
・投稿全体へのダウンサイドを最小限にする
意図的な攻撃への抑止は、ここでは扱わない(別途対処)

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STEP1. 注意喚起

投稿フォームの内容に、攻撃的なワードが含まれたら注意を出す。因果関係を明確にするために、「何が引っかかったのか」をできるだけ見せる。

リツイート

また不注意を避けるため、ボタンの色を変えるなど「テキストだけに頼らない注意喚起」を行う。注意喚起は「最終アクション(ボタン)」と隣接した位置に配置する。

うっかりを止める場合には、因果関係を見せた方がよい。一方で、強い悪意あるユーザーの行動を食い止める用途の場合は、境界線を明示しないほうが効果は高い(悪意あるユーザーは回避のチキンレースをするため)。今回は、「うっかり防止」なので、因果関係を可視化する。


STEP2. 確認

STEP1の発動時にそれでも、「本人の意思をもって投稿」する場合、確認を出す。

確認ボタンにおいては、「OK / キャンセル」の位置関係を通常と逆にする。これは、ユーザーが不注意にボタンを連打をした場合に、「キャンセル側」がクリックされるため。事故の発生率を低くできる。(厳密には破壊的アクションに向けた作法)。

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STEP3. 取り消しの余地

STEP2の発動時に、それでも「本人の意思をもって投稿」する決断をした場合、最終セーフティネットとして送信カウントダウンを出す(注意がでてる場合)。

OKを押してから、15秒ほどプログレス(進捗)サークルを出して、投稿に対して意図的に時間をかける。この間にキャンセルを押せば、投稿は公開されず、なかったことにできる。

投稿カウントダウン


今後の課題

今回のUIは、意図的な悪意あるユーザーを抑止するものではない。

あくまで、普通のユーザーの逸脱的な暴走… 貧乏ゆすりを止めたり、アルコール中毒・ニコンチン中毒の人を止めたり、糖尿病の人の過剰な食事をとめたりする仕組みと、同一線上のシステム。

つまり、自爆を止めるシステム。よって攻撃者に対しては、別の施策が必要となる(ここでは扱わない)。

やらかし投稿は、多重多層にセーフティネットを設ける。スイスチーズモデルで示されるように、「様々な穴が偶然が重なった事故は、絶対に排除できない」。ゆえに、出来るだけ多くの多層セーフティネットを作るのが望ましい(ユーザーの操作を面倒にしない範囲で)。

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施策としては、リバタリアン・パターナリズムに分類される。「まず大きな型にはめて、全体をいい方向に導く(でも強制はしない)」という考え方。なので、発展としては自由主義の観点から、「意図的にオフにできる権利」があるほうが望ましい。

フェーズ2以降は、ディフォルト をONにして、設定画面から(一応)オフにできるとか、注意すべき単語をカスタマイズできとよい。ただし、自由主義的な視点としては、警告を無視して投稿できる時点で、最低限の担保はされているため。

実務としては、(カスタマイズへの)大きなリソース投入は、他の問題を解決してからでよいとは考える。

・注意喚起の発動条件はどうあるべきか?
・意図的な攻撃者に、別途どのような措置を作るか?
・リバタリアンパターナリズムにそって、アシストを外す権利


上記は、あくまでSNS一般に向けての滑らないインターフェース提案。どっかが参考にして一部でも採用してくれるといいな…的な。

noteでここまでやるかは、未定。とりあえずネタとしてはストック。(どちらかというと、Chrome拡張で自分のTwitterにつけたい)。


追記
書いてる途中で、Twitterがまさに似たような施策を発表。こちらもリバタリアンパターナリズムとナッジの混合施策。



参考図書



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