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「箱」と外向き思考(その13) 共謀

よりよい人間関係を築くとともに、組織やチームの成果を高めることができる考え方である「『箱』と外向き思考」について書いています。

今回は「共謀」について書きます。
皆さんは「共謀」という言葉を聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか?
おそらく、「複数の人が裏で手を組んで悪いことを画策する」というようなことを思い浮かべると思います。

英語では "collusion" と言います。意味としても日本語と全く同じで、LONGMAN英英辞典では、"a secret agreement that two or more people make in order to do something dishonest" と説明しています。

ただ、アービンジャーの「箱」の文脈では、ちょっと違った意味になってきます。
ここでは、
「自分が『箱』に入ることによって、相手を『箱』に入れてしまう。そして、お互いがお互いに望まない行動を引き起こさせ、対立の関係を深めてしまう状態」
のことを「共謀」と呼んでいます。

例を挙げて説明しましょう。

たとえば、ここに一組の上司と部下がいるとしましょう。
もともと上司は部下にとても期待しており、部下も上司のことを信頼していました。ところが、ふとしたきっかけで、互いの間に溝が生じてしまいます。
上司が部下のためを思って、敢えて難しい課題を与えて挑戦を促しました。しかし、部下は上司の気持ちを理解できず、
「なぜこの上司は自分にこんなに厳しく当たるのだろう?」
と考えて「劣等の箱」に入ります。上司から見下されていると感じ、自分の立場を守ために必死で抵抗します。自分は一所懸命にやっているとアピールしたり、できない理由を必死で説明したりします。
上司はそんな部下を「困った部下」だと思い始めます。自分やチームの業績の足を引っ張る「障害物」と見るようになり、「箱」に入ります。おそらく「優越の箱」でしょう。そうなると、上司は部下を物として見ているので、部下に対する言動は箱の中で行うようになります。厳しい言い方をしたり、嫌味が含まれる物言いになったり、あるいはその部下を無視するような態度になってしまいます。
すると、部下の「箱」はますます強固になります。上司のことを「ひどい人」だと思うようになり、ますます抵抗的な言動を取るようになります。
お互いに相手に対してイライラを抱き、心の中で相手を責め、自分を正当化するようになります。そして、自分のその態度が、相手にますます自分が望まない行動を取らせてしまうのです。

こうしたことが、互いに意図しないのに起こってしまうのです。そして、一旦起こってしまうと、それはどんどんエスカレートして、対立は強く大きくなっていきます。
外から見ると、あたかも二人が示し合わせて悪い関係を築いているように見えるので、アービンジャーではこれを「共謀」と呼んでいるのです。

共謀は二人の間だけで終わりません。
互いに自分の考えに同調してくれる仲間を集めるので、グループ対グループ、部門対部門というように、組織を侵食していきます。それが組織の効率や生産性を阻害し、大きな損害を与えることになるのです。

いかがでしたでしょうか?
次回は、「共謀」に関するもう一つの別の事例ついて書いてみたいと思います。
どうぞお楽しみに!

株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
https://www.fl-a.co.jp/


「『箱』と外向き思考」は、アメリカの Arbinger Institute という機関が生み出した考え方で、今では世界中の国で、自己啓発や組織開発に用いられています。日本では、福岡に本社を構えているアービンジャー・インスティチュート・ジャパン株式会社が日本の総代理店としてセミナーやコンサルティングを提供しています。
弊社は、アービンジャー・インスティチュート・ジャパン株式会社の代理店として、その普及に努めています。「箱」や「外向き思考」についてもっと深く知りたいという方は、無料説明会や有料セミナーに是非ご参加ください!
https://www.fl-a.co.jp/seminar/

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