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生きてるだけで状態異常

「闇金ウシジマくん」の真鍋先生が今連載している司法漫画「九条の大罪」の第一巻が、先週刊行された。

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作品ページに飛びます(何故なら一話試し読みできるので…)

公式ページ曰く「法とモラルの極限ドラマ!」と銘打っている通り、今回は九条間人(くじょう・たいざ)なるはぐれ弁護士を軸に据えた作品だ。間人(たいざ)ってなんだよ、と思って調べてみたら京都の地名なんですね。

今の所一巻しか出ていないが、大体の話は壬生(みぶ)という半グレに舞込む後輩たちの事件(殺人やら薬物やら)の弁護を九条先生が請負う、といったストーリーだ。

わたしはTwitter で一話を読み、即刻ネットで現物を注文した。届いた単行本を読んでてまず感じたのは、「”アンダーグラウンド”と”一般社会”の境目に立つ人物を通して社会の実像を描く」という、先生がウシジマくんで奮った手法が今回も余す所なく発揮されている点だ。息を呑むほどの真鍋節全開なのだった。

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九条先生は紳士的で大人の男性の風貌をしているが、善悪の倫理観がない。クライアントが半グレだろうが相手が警察だろうが依頼人を守るだけ、というシンプル思考だ。

シンプル思考なので、飲酒運転&スマホ操作で人を殺めてしまった来世でゴキブリ以外に転生できなさそうな人間には、警察に見つからないようスマホを預かって隠匿してあげるし、パクられた人間が実行犯確定だろうと面会室で完全黙秘するように励ましてあげるのだ。しっちゃかめっちゃか過ぎだが、逆にそこがキマっているのがこの漫画の真髄なんだろう。

ウシジマくん連載時と比べて、昨今の社会環境は真鍋先生が描き続けてきた「ダークサイド」との相対的距離が縮まっているようだ。全体的に「病んでる」というか。昔は「学校裏サイト」なんてダサい掲示板しかなかったのが、個人単位で裏アカを持っている時代だし、ガチのハスリングラッパーな「舐達麻」が音楽で台頭している。ニートtokyoなんかも正にその流れに乗った一つだろう。

だからというわけではないが、最近聞いた「Zoomgals」の「生きてるだけで状態異常」がドンピシャだった。生きる中で出てくる様々なストレスをビートに乗せて6人の女ラッパーが歌うだけだけど、PV含めてめちゃくちゃ恰好いいのだった。6人それぞれが基本はソロで活動しているので、バースが気に入ったアーティストを掘下げ、一通り聞いたら次のアーティストに、という聞き方もできるので入門曲としても良いのだろう。

わたしはこの曲きっかけにASOBOiSMを聞き初めてMarukido、今はValkneeといった感じでぐるぐる聞いている。そんな間につい先日、Zoomgalsメンバーのなみちえが鬼ピアスじゃらじゃらでPARCOの広告モデルになっていたのだから今後も目が離せない。

ちなみに「九条の大罪」作中でわたしが好きなシーンは、エリートサラリーマン系チャラ男がクラブ前にコカインを買う際、尿検査に備えてたれびんに入った尿を受け取り股間に貼るシーンだ。そういう得も言われぬリアリティがある限り、この漫画を買い続けよう。


マルキドのニート東京の様に、なんでも有りの人生で生きたいものですね。

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