4年間の自分のポートレートを振り返る 苦悩と集大成
2017年1月からポートレートを撮ってきた。
それから4年間の月日が流れた。自分のポートレートがどんな影響を受けてどう変化してきたのか、振り返りたい。
①ポートレートに興味を持つ・富士フィルムのカメラを買う
カメラを始め、ポートレートを撮るまで、自分は特に趣味もない大学生だった。時間はあれど無駄に過ごす、日常。
友達のアドバイスももらいながら、散歩したり体を動かすのは好きだったので、一台買えば散歩しながら自分一人で楽しめそうな「カメラ」を買うことに。
カメラを始めてInstagramを始めた。その中で興味をもったのがポートレート。たまたま見つけたchocolatemintさん(下)のポートレートを見て、こんなお洒落でカッコいいポートレートが撮りたいという気持ちになったのがきっかけだ。(この方は残念ながら今は活動をされていない模様)
さらに自分にとって大きなきっかけになったのが保井崇志さんだ。
ちょっとダークでフィルムっぽい色味に惹かれた。スナップとかポートレートとか全部すごい。そして保井さんによって運営されていた写真サイト「reco」も全ての記事を読み漁るほどどれも記事のレベルがすごくて衝撃を受けた。
記事を書いている人の多くがどうやら富士フィルムのカメラを使っているようだ、と知って、気づいたら自分も富士フィルムのカメラを買っていた。
②ポートレートの依頼に応えて、自分のポートレートが始まる
ポートレートを始めたくともなかなかどう始めたら良いか分からず、どう撮ったらも分からず、でも始めたくて「被写体募集」とInstagramのプロフィールに書いた。でも何も作例がないので依頼は数ヶ月全く来なかった。多分リモート機能を使って自撮りとかしてたと思う。
そんな中2017年1月に入り、高校生の男の子から依頼が来た。どんな人なのか雰囲気もわからないしどう撮るかイメージもないまま会うことに。
こうして始まった自分のポートレート。路地裏でダークな感じで、とりあえず持っていた富士フィルムのポートレートレンズxf56mm f1.2でボカしまくって撮っていた。recoの影響もあってか、彩度がかなり低い。笑
もともとかっこいいポートレートに惹かれていた自分と、初めて依頼してくれた男の子の雰囲気が合っていたこともあり、見事にハマった。それ以降その作例を見て自分も同じように撮って欲しいと依頼が来るようになり、楽しくて1日1500枚くらい撮った日があった。
人見知りであまり外交的ではない自分だが、メンズポートレートを撮ってるうちに自分のことを知ってくれる人も増えて、カメラ友達もできて、一緒に出かけることもできたのが嬉しかった。その後、女性のポートレートにも興味を持ち、カメラ友達や、依頼された女性からの撮影をスタート。
初期の初期と比べるとランタンやライトや赤い傘など小道具も使うようになった
作風はやっぱりクールでかっこいい感じ。この頃からロケーションにもこだわるようになった。無機質な雰囲気
③クールでダークなポートレートからかわいい女性のポートレートへ・自分から勇気を出して依頼
そんな中、recoで保井さん×富士フィルムのポートレート企画「今日もX日和」が始動
毎月富士フィルムのカメラで撮った女性のポートレートを連載するものだった。これを見て、かっこいいポートレートだけじゃなくかわいい女性のポートレートも撮ってみたいと思うようになった。
そんな思いが強くなる一方でなかなか自分から女性に声をかけて撮らせて下さいと言えない自分だったが、ダメ元でも気になった人にDMを送ってみた。するともちろん断られるケースは多くあったが、意外と撮影させてくれる方が多く、チャレンジしてみるものだと思った。
こうしてみるとポートレートを始めた時と写真の雰囲気が変わってきた。Instagramにも女性の可愛いポートレートと知ってからクールでダークなメンズポートレートがまぜこぜになってしまい悩んだ結果、メインのアカウントはメンズポートレート用にして、もう一つ女性ポートレート用のアカウントを作った。
女性用のアカウントではこのように一緒に散歩しながら気になった場所で撮る、というようにrecoの保井さんの記事を目標に撮っていた。
いつからかメンズはパタリとやめて女性用アカウントが自分のメインアカウントになった。
④35mmで日常感や距離感の近さを感じるポートレート
たくさんの人を毎週のように撮っていた2017〜2018年。でもなかなか思うように撮れていない感覚。自分のギャラリーを見ても、ギャラリーとして、なんか完成度が低い。嘘っぽい写真。そんな時に、あるアカウントに出会う。
kodyさんという方の写真(contax t2で撮影)を見て、35mmという距離感の良さを実感。こんな風に日常感を出して身近な人をラフに撮るスタイルが、「作品感」がなくて写真として素晴らしいと思った。早速真似してみた。
初めて「35mm」のレンズを買った。この時から今まで、自分のメインの距離感は35mmとなった。
↑35mmという焦点距離は今も自分の基準となっている。
ただこういった類の写真は本当に一緒に生活している恋人とか、この人との距離感が本当に近い人でないと撮れない写真なのだろうと今思う。だから自分にはどうしても越えられない壁だった。
⑤TAKEIさん(武井宏員さん)のポートレートに影響を受ける
悶々として悩み、毎週のように撮影していた流れが途切れかかったあたりで彗星のように現れたのが今の(2018年終わり辺りから)SNS写真界の流れを作った1人の武井さんだった。
女性の日常を作品としている「ordinary girls」のシリーズは、日常感を撮りたいと思っていた自分に大きな影響を与えた。
部屋での撮影や、水中での撮影を見て、自分もやってみたいと思った。
2019年 春↓
2019年 夏↓ 入水撮影
2019〜2020年 冬↓ 部屋での日常撮影
部屋での撮影は屋外の自然光撮影とはまた光が違ったり部屋の広さによってはあまり引けなかったりして、ちゃんと複雑な要素を考えて撮影に挑まないといけないと実感。
これら2019年〜2020年では撮影前に他の人の作例を見まくって光や構図など研究して挑んだ。Twitterでもいいねをたくさんもらえた(とはいっても最高200くらい)。
この頃が一番撮影に対しての意欲が高かった時期だと思う。
⑥ポートレート撮影一時休止
次の撮影はどんな撮影をしようか、常にそれが頭にあった意欲の高い時期であったが、自分の身に大きな変化があった。
彼女ができた。カメラとは関係のない人。初め、カメラを趣味にしていることは明かしていたが、ポートレート撮影しているということをなぜか言い出せなかった。そんな自分が情けなかった。普通の女の子からしたら女性を撮影しているなんて気持ち悪いのではないか、そう自分で思い込んでしまっていたのだ。
自分が一生懸命打ち込んできたこと、堂々とすれば良いのに、心の奥底では自信がなく、恥ずかしいことと認識している自分がいることが嫌だった。そして彼女がいるのに女の子を撮影するというのもできなかった。ポートレートを撮れなくなった。
今は彼女は自分がポートレート撮影に行くことも知っているし、撮影の際には報告をして出かける。(同棲している)
広い心で自分の趣味を認めて、撮影に行かせてくれている彼女には頭が上がらない。
⑦自分の撮りたいポートレートとは結局何なのか、集大成の時期を意識
自分がポートレートを撮れなくなったのは、彼女ができたからだけではなかった。SNSで流れてくる写真がどれも同じに見えて、非常につまらなく感じたからだ。正直、どこが良いのかわからない写真が「いいね」される世の中。
「オンラインサロン」「プリセット販売」こういったものが始まり、テクニックは買える時代になった。みんな同質化してきた。真似ばかりしても埋もれる。自分も保井さんや武井さんに大きく影響を受けてきたが、果たして自分の撮りたいものは何なのか。
自分にしかない感性で表現できる写真は何なのか。
そして、自分の身の上も変化した。昨年末プロポーズして、結婚することになった。結婚して家庭をもってどうなるかはわからないが、自分の人生の一区切りとして、2021年をポートレートの集大成にしたいと思う。
最近は吹っ切れてTwitterにあまり写真を投稿しないし、いいねの数もそこまで気にしなくなった。いいねの数やフォロワーの数が見えない写真コミュニティ「vsco」に自分のギャラリーを作って投稿している。
やっぱり考えてみると自分の撮りたいポートレートはかっこよくて作品性のあるものなのかな、と原点回帰。しかしただの原点回帰ではなく、今まで使ってこなかった道具や、レンズも24mm(広角)を取り入れている。ペアでの撮影も今までは取り組んでこなかったが、チャレンジ。
時代が変わって変わるべきものもあるが、変わらず貫く自分のスタイルもあるべきだ。それこそが自分の写真を自分の写真たらしめているものなのだろう。
自分が本当に撮りたいものに、向き合う一年にしたい。
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