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GAPは必ずある

サッカースクールのコーチをしていて、子どもたち自身とも話すし、保護者の方とも話す機会がよくある。
その中で、現状把握と目標設定の部分がリンクしていないなと感じることが少なくない。
他の表現で言うと「現実と理想」「実力と期待」など、ここによくあるGAPについて書いてみようと思う。

どんなGAPがある?

サッカースクールのコーチをする上で2つのGAPを感じるのは、

(1)選手自身が自分を客観視できていない

と言う部分かな。
悪い意味ではなく、単純に「知らない」「気付けていない」と言う部分。
子どもたちは経験も少ないし、毎回毎回、毎日毎日が常に自分にとっての最新であることから、未知に対しての挑戦とも言える。
逆に自分は長年、サッカーのコーチをしているので、この年代ではどれぐらい出来る、この習熟度ならこのクラスと言うのは経験値や関わってきた選手の数や様々なレベルなど過去に経験した蓄積により、大きなブレがなく大体把握することが出来ることの違いなだけ。
いろんなスクールがあり、アビスパでもセレクションなどにチャレンジしてくれる選手が多くいることも本当に嬉しく思う。
合格する・しないに関わらず、「自分が評価される経験」をすることが、自身を見直したり振り返ったり、客観視するきっかけにもなると思う。その経験が積み重ねとなっていくハズ。

セレクションや大会(遠征)などでの試合、日頃のトレーニングにて、選手たちと振り返りをする際に自分の実力(成果)以上に自己評価が高い選手が多いことに気付かされる。ココにもコーチ目線と選手の目線にGAPを感じる。
だからこそ楽しい部分であり、こうして話す機会があるからこそ、そのGAPを埋めていく・縮めていく作業がコーチに求められる。

例に出すと、
「前回のセレクション(試合)はどうじゃった?」と尋ねると、
「自分は周りを観てパスを繋げたと思う」と言う自己評価。
「おぉ、しっかりパス繋げたんじゃ!何を意識したら成功に繋がった?」などと会話を進めながら、「パス成功率は何%ぐらい?」と聴いてみると、この成功率(自分の中でのジャッジ)がコーチ目線で観た以上に高いことがよくある。
「なるほど!やるじゃんか!」承認や肯定は必ず必要。そこからが大事!
陸上や水泳などのように記録(数字)が出る訳ではない、卓球や剣道・柔道などのように個人での勝敗が出ないのがサッカーと言うスポーツ。
だから自己評価をするのが難しいとも言える。
「こないだのパス成功率は、○○(本人)は、70%って言ったけど、コーチから観て感じたのは、50%ぐらいかなー。」こう言う数字を実際に例え話で出していき現状を伝えてることと、その成功率をもっと上げるために何が出来るのか?日頃のトレーニングでどんなトレーニングをして、コーチたちがどんなアドバイスをしてきたかを一緒に振り返る。そこで、トレーニングとゲームやセレクションでの成果の繋がりがマッチしてくることも少なくない。

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遠征や試合でもそう。

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こんなやり取りをしながら、選手の自己評価や客観視している部分とコーチから観て感じている部分のGAPを伝えて、次のステップへの過程を丁度良いハードルヲッセ亭しながら一緒にチャレンジしていく。そして、トレーニングの中でも基準をしっかり示し、ジャッジしていき、出来たことを一緒に歓び、出来なかったことは何か?どうしたら成功に繋げられるか?を問いながら出来ることを少しずつ増やし、少しずつ自信をつけながら成長を目指していけるようにサポートするのがコーチの役割でもある。

その年代とクラスにおいて、基準をしっかり示し、評価(ジャッジ)していき、選手自身が基準を理解し、自らジャッジしていけるように働きかけていくこと、スクール活動はチーム活動と違って週に1回で限られた時間の中でいかに多くの選手とこう言うことを繰り返せるか、質や信頼関係をいかに深めていくかも重要。

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サッカーだけでなく、ブラインドサッカーでもトレーニングやゲームでコーチの感覚と選手の自己評価を振り返り、擦り合わせていくのは同じ。
見えていない中で選手自身が感じている部分、見えていて感じる部分にはGAPがあるし、コーチと選手の間で「出来る」「出来た」「出来ている」の感覚のGAPもよく感じる。一方的にならずに、自分の意見(感じていること)と選手の振り返りを擦り合わせ、「ココまでは出来ているけど、このレベルまでやって(チャレンジして)欲しい」と伝え、必ず出てくるGAPを埋めていく作業は大切にする。

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(2)親(保護者)の要求が高い

冒頭でも表現したけど、「現状把握と目標設定」「現実と理想」「実力と期待」などのGAPが大きいなと感じることが多いのは…

例え話をすると、

小学生の算数で、
小学1年生で整数の足し算や引き算からスタートする。
小学2年生の算数で掛け算を習得する。
と言う流れがある中で、小学2年生に分数の掛け算・割り算が出来るようになって欲しいと要求。
いずれ、分数の掛け算や割り算が出来るようになって欲しいと言う期待や要求は問題ない。けども、まだ割り算にチャレンジしていない、分数を知らない・取り組んでいない、そんな状況で要求することが高すぎてしまう。

階段で、
1Fから2Fに昇るために、階段で昇っていくとする。
1段1段昇っていくけど、せいぜい1段飛ばすぐらいなら何とか可能かな?
それを、3・4段飛ばしで昇っていくことを要求してしまう。
1段1段しっかりと踏みしめて少しずつ昇っていけるように、段階を追って少しずつ出来ることを増やしていき、次のステップ(階段で言うと2F)へ、そして、次へ…と焦らずに少しずつと言う段階を焦らずに踏んでいくことが大事。

要求する側は、期待に対してなかなか出来ない(達成)ことに対してストレスが溜まったり練習を強要したり、
要求される側は、出来ないことに対して自己肯定感や達成感を味わえなくなったり、学習性無力感に陥り、楽しいハズのサッカーだったのに、親の要求に答えるためのサッカーになってしまい、楽しささえも奪われてしまうことがあることが非常に危険。

この年代では、これぐらい出来たら良いなぁ。。とコーチが感じていること以上に親の期待は大きく、理想とする姿は先を行き過ぎ、2・3つ先の段階の要求や期待をしてしまっていることがよくあることが1つ。

もう1つは、他人との比較
特に自分の子どもより習熟度の高い、発育発達の早い子どもと比較してしまい、ついつい要求や期待が大きくなってしまいがちになる。
発育発達などの成長、習熟度には個人差があると言うことも充分に理解しておく必要もある。
大切なのは、現状をしっかり受け止め、理解する(見極める)ことと、他人との比較よりも、子ども自身の過去と比べて現状はどうなったのか?を振り返ることと、未来を急ぎ過ぎない、欲張り過ぎないこと。

なので、コーチの役割で重要なのは、

・各年代での目標と取り組み
・各年代に置ける発育発達などについての特徴

を共有し、子どもたちの周りで関わる大人たちが子どもたちをよく知り、理解して接すること、サポートしていくことである。
だから、スクール活動において、ブログ記事でキッズ年代の特徴や私たちが取り組む目標やどんな段階を経ていくかをこのような記事にしてみたり、

保護者の皆さんと一緒に子どもたちを取り巻く環境や、どんなことが起こっていて、何を大切に子どもたちと接していくのかを知って頂いたりしながら、みんなで一緒になって子どもたちのサポートをしていけるように取り組んでみたり…。

伝えたいことや一緒にお話したいことはたくさんあるけど、少しずつでも狙いや思いを知ってもらうことから、出来ることからコツコツやっていくしかないなと感じる。

(3)コーチたちの役割は?

上記をまとめると…

【選手(子ども)たちには】
・年代や段階によって、ちょいど良いハードルをいかに設定し、やる気になり、楽しみ、チャレンジしながら自然と上達していけるように関わること
・プレイの基準を示し、ジャッジ(評価)を繰り返し、コーチだけではなく、選手たち自身でもジャッジをしていけるように伝えていくこと
【保護者の皆さんには】
・年代や段階によって、ちょうど良い期待や応援・サポートをしていけるように特徴や現状・取り組みの内容や狙いを伝えていくこと

当たり前ではあるが、こう言うことを改めて大切にしていくこと、少しずつ小さなことでも発信したり伝えて積み重ねていくことを継続していくことを仲間たちとやっていこう。

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コロナ禍において、スクール活動の休校から再開を目指すにあたり、感染症対策を講じながら、子どもたちの現状を知ってもらい、焦らずにケガなく以前のようなサッカー環境を取り戻すために段階を経ていくこともこう言うカタチで共有することにした。

知ってもらうこと、理解してもらうことで、子どもたちに関わる大人たちが協力し合って子どもたちの成長をサポートできるように。。

さて、来週から再開の第1段階。
今日は実際に現場でどんなカタチで配慮しながら楽しく第1段階を踏んでいけるかをコーチ陣で共有する。在宅勤務によりオンラインでしか会ってなかった仲間たちとの約1ヶ月半ぶりの再会も楽しみ過ぎる!

Jun Fujii




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