杞結

カクヨムで小説書いてます。高校生です。 こちらでは主に小説以外の創作活動をしていこうと…

杞結

カクヨムで小説書いてます。高校生です。 こちらでは主に小説以外の創作活動をしていこうと思ってます。 カクヨム→https://kakuyomu.jp/users/suzumushi3364

マガジン

  • 原風景

    詩など。

  • 或る物語。

    自作の物語集です。

最近の記事

青空を手に取って

 夏、平日。  公園のベンチにぽつんと座る私。  頭上に広がる大きな青空を見上げながら、そっと呟く。 「大丈夫だよ、イトホ」  夏めいた爽やかな風が、火照った私の全身を包み込むように吹く。  どこか懐かしさを感じた私は、ゆっくりと周りを見渡す。  木々がかさかさと音を立てる。  大きな黒い影が同時に揺れる。  砂場に抜き忘れられた草も、一緒に揺れる。    ふふふ。  私は今どんな顔をしているだろう。  人生に疲れきって絶望した、偽の笑顔か。それとも必死にもがいて生き方を

    • 室内、Edgar Degas

      もう叶わぬと 笑う君 背を眺めては 振向いて あなたはいいと 笑う君 瞳の奥は 自分だけ まだ戻れると 泣く僕は ただ言葉だけ 溢れ出て 冷めた心に 泣く僕の 思いの矢さえ 命懸け あの子はいいと 笑う君 もうできないと 笑う君 昔はできたと 笑う君 死ぬのが怖いと 笑う君 伝わりえない 二方の 心なき日の 間違いが 僕の心を 閉じ込めた 静かな世界 笑う僕

      • 桜花爛漫

        小川のせせらぎに 小鳥のさえざりに ただ静かなものに、あこがれて 明日の色から逃げ出したのは いつのことか…… たゆたう小舟のように 散りゆく桜のように さまようことを、許されたならば 想いやまない長雨の夜にも 笑っていたのかな…… 花火の不発弾のように 鳴けずに死んだセミのように 心に反して儚く消えてしまえたのなら あっけなく過ぎていた思い出にも 後悔はしなかった…… はだかになった冬木のように 冬眠している黄金虫のように あすに希望をもっているからこそ 考えなしに暮

        • 丹光と虚構

          ベッドの上の喧騒 いつかの思い出が 波となって私に押し寄せる 真夏の砂浜 手を繋いだ彼の目は きらきらと輝いていた気がする 蒸し暑い夏祭り 荒波に飲まれる熱狂から 抜け出したのはいつのことだっけ 小さな花火 夜空の藍と公園の土と 私にとってはふるさとみたいなもの 病院のベッド 白雪と緑葉のコントラストも 八月に降った生暖かい雪の精霊 ほら、丹光の中だよ 私が愛した世界はね ああ、神様が本当にいるのなら 私、自由な足が欲しいな。

        青空を手に取って

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        • 原風景
          3本
        • 或る物語。
          2本

        記事

          スウィートビター・チョコレート

          一 心地よい関係であり続けるためには、変化というものにひどく敏感でなければならない。  心地よい関係。例えば、恋仲の幼馴染だとか、相思相愛を気づかぬふりしている男女だとか、一途に片想いし続ける後輩と先輩だとか。  そういう心地よい関係というものは、奇跡の具合で成り立っている。  ひとたびどちらかが告白してしまえば、その関係はすぐに変化してしまうのだ。もしかしたら、いやもしかしなくとも、交際という関係にはいけるかもしれない。  しかし、それは必ずしもプラスであるとは限らない

          スウィートビター・チョコレート