見出し画像

自己組織化されたチーム作りのために

プロジェクト管理、特にチームマネジメント界隈のキーワードとして、「自己組織化されたチーム作り」が必要だと言われている。そもそも、「自己組織化って何なの?」とか、「どうすれば自己組織化されるの?」とか、よくわからないことが多い。
ということで、自分の考えをまとめてみた。

まず、「自己組織化されたチーム」の定義について。
特に、明確な定義はない、と理解している。有識者と呼ばれる人には暗黙知として共通理解があるようだが、それが、明確な文面になっていないように感じる。ただ、プロジェクトマネジメント視点で、2つの重要なキーワードがあると思う。

チームの自律化
自己成長

一般的に(自分だけの意見かもしれないが・・・)、上記のキーワードで示されている状態が、自己組織化チームに期待されていることではないか。

チームの自律化

自律化しているチームとはどういう状態か。「統率者(リーダー)がいなくても、自分たちで仕事を進めることができる」という人もいるが、それは「自立」なので、正確ではない。「する」ので、「自分達で決めたルールに従って、行動することができる」ということだ。

ということは、何か新しい行動をする前に、ルールを決めるように動機づければよいということになる。これについては、割と具体的な策を考えられそうなのだが、実は、意外と忘れられてしまうことがある。それは、「自分達がルールを立てるルールを最初に全員合意で決めること」である。ちょっとわかりにくいが、要は、自分達が従うルールを、多数決で決めるのか、じゃんけんで決めるのか、話し合いで決めるのか、マネージャが決めるのか、それを全員合意のもと「最初に」決める必要があるということである。
自分が合意していない方法で決められたルールは、人が決めたルールであって、守りたくないとなってしまうからだ。
何だか、禅問答のようだが、最初にこのルールを決めるのは重要なことだ。あとは、このルールに従って、どんどんルールを作っていけばよい。

では、どのようなルールを作ればいいのか。「お昼の時間を何時からにするか?」とか? これも大事なルールなので、ちゃんと決めなければならないが、自己組織化チームに期待しているのは、そんなことではない。
そこで出てくるのが、次のキーワードである「自己成長」だ。

自己成長

「自己成長」を言い換えると、「自らの欠点(課題)を見つけ、解決策を検討・実行することで、よりよい状態に成長していく」ということではないか。これをチームで実行するためには、いくつか決め事が必要だ。例えば以下のようなもの。
 ・どのように課題を見つけるか
 ・見つけた課題のうち、何を改善していくのか
 ・課題に対する解決策はどのようなものにするか
 ・いつ、だれが、どのように解決策を実施していくか
これらの決め事がスムーズ行われ、実行されなければ自己成長は進まない。そのために必要なことが「自律したチーム」であるということだ。決め事に対する解決策をルールとし、チームで決めていけばよい。

自己組織化されたチーム

ということで、再度、「自己組織化されたチーム」の定義について。個人的には、以下のような状態になることではないか、と思っている(というか、期待している)。

自己組織化されたチームとは
 自己成長が継続的に行われる状態になっているチーム
のこと。そのためには、自律化していることが前提。

いろいろと意見はあるかと思うが、自分が自己組織化されたチームに期待していることは、上記になる。自律化していることは自己組織化するための必要条件であるが、自律化しているからといって自己組織化されているわけではない、と考えている。重要なのは、自己成長できる状態かどうかだと思う。

チーム作りのために

ここまでで、およそチームの自己組織化がどういうもので、何が必要かについて書いてきた。しかし、これで、すぐに自己組織化されたチームを作れるわけではない。あくまで、自己組織化に向けたゴールが見えたに過ぎない。ゴールだけ説明して、その状態になりなさい、っていうのは乱暴すぎる。例えば、「富豪になりたい」という人に、「富豪とは、たくさんお金を持っている人」とか「給料をたくさんもらっている人」と説明して、富豪になりなさい!といっても、「だから、どうやればそうなるんだ!」という突っ込みが来るのが目に見えている。

正直、どうすれば自己組織化されチームを作れるのかなんて、王道があるとは思えないし、チームごとにも全くやり方が違うはず。期待してもらっていたのなら申し訳ないが、ここにその「銀の弾丸」のようなことを書くことはできない。
ただ、今までの経験から、ヒントとなるキーワードを記載しておく。

モチベーション
積極的な気づき

モチベーションについては今更なので、ここでは深く書かない。自主的な活動が求められる自己組織化されたチームに、モチベーションが必要なのは自明だろう。

積極的な気づき

先にも書いたが、自己成長を進めていくためには、まずは、自らの欠点・課題を見つけなければならない。他者から課題を指摘されて、その課題を解決していくのは、自己組織化ではない。単に、課題の多いチームだ。
課題をどうやって解決していくかということよりも、課題をどうやって見つけるか、ということの方が、より重要だということだ。

では、どうやって課題を見つけるのか。アジャイル的アプローチでは、振り返りというイベントを設けて、定期的に課題を見つけようとしている。これは、積極的な気づきに非常に有効だ。KPTでProblem, Try を定期的に考えるきっかけになり、習慣づけにもなる。このように、積極的な気づきを得るような施策があるとよい。
気づきとは「アハ体験」のように、頭の中にあるものが何らかのきっかけで気づきとして思いつく内発的なものと、他者との会話や講習会などをきっかけとして理解という形で気づく外発的なものがある。それぞれ、「きっかけ」が重要で、このきっかけが多ければ、気づきが多くなるのではないか。
つまり、積極的な気づきのためには、きっかけ作りが重要ということだ。

結論

ということで、言いたかったこと。

自己組織化チームを作るために重要なことは、チームに対して、自主的に課題に気づくようなきっかけを与えること

きっかけ作りは1回だけではなく、気づきに至らないものもあるはずなので、継続的に行うべきである。何らかの仕組みにしてもよい。

課題を見つけた後については、チームのモチベーションや、課題解決能力に依存する。こちらについては、別の書籍などを参照していただきたい。

おまけ

「きっかけ」について。具体的にどんなものがいいのだろうか。実際試してみたいことがある。それが、「チームミーティングを第三者に見学させる」ということだ。見学させる理由は「参考にしたいから」ぐらいにしておくと、チームとしては、自分たちのやり方で本当にいいのだろうかと考えるのではないか、と期待してのこと。
成果が見えづらいので、効果が出るかどうかは不明だが、これぐらいの小さなきっかけでいいと思う。あくまできっかけなので・・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?