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【前編】顧客視点を用いた、ファン化を起こすブランディング戦略思考

キッチンカー事業を続けたい。
キッチンカー開業をして好きなことをして自由に生きていきたい。

そう考えて開業される方が多いです。

その一方で、キッチンカーの高価買取や、キッチンカーの中古車販売の広告が増えています。
※一度検索してみてください。タイトルの横に「スポンサー」と出ているのは広告です。

キッチンカー車両の買取の広告が増えることは、廃業して不必要になった車両を売りたい人が増えた結果です。

キッチンカーの中古車販売が増えるとは、それだけ企業にキッチンカートラックの中古車が手に入るようになり、ビジネスとして成立するようになった結果です。

買取広告と中古車販売が増えたことからわかるのは、「キッチンカー廃業数が上昇している」という現状です。

実際に、僕達はキッチンカー製作会社に携わっており、話を聞くと、キッチンカーの中古車や買取は増えているとのことでした。

そんなこと言われてもやっぱりキッチンカー開業がしたい!

夢を叶えたい!

自分は絶対に成功させてみせる!

今回はそう思われる方のために、今やキッチンカー事業で必須となっているブランディング戦略に顧客視点を用いた新たな戦略思考を解説していきます。

・なぜブランディング戦略が必要なのか
・ブランディングを考えるときに最初に何を考えればいいのか
・ブランディングで絶対やってはいけないことや注意点
など、根本的な疑問に答えつつ、具体的にどのように考えれば良いのかまで、順を追って解説しています。是非最後までご覧ください。

実際の製作風景

なぜキッチンカーにブランディング戦略が必要か

キッチンカー開業数が増えている、つまり、新規参入が増えていることをご存知ですか?

詳細は下のリンクにある記事に書いていますが、補助金やリース契約などで、月々の出費が抑えられ、開業のハードルが下がったことにより、キッチンカー開業数が増えているのが現状です。

こちらの記事に詳細を記載しています。

ハードルが下がり、キッチンカーの総台数が増えたことによって、今やキッチンカー市場は激戦状態となっています。

これによって同じメニューのキッチンカーも必然的に多くなり、利用者側にキッチンカーの豊富な選択肢が生まれ、より差別化が難しくなっているのです。

「キッチンカー 人気メニュー」で検索すると、人気メニューランキングがずらりと並んでいます。「自分も人気になりたい」「売れるメニューで稼ぎたい」と思う事業主が増えてしまうと、ますます同じメニューが被ってしまい、差別化はさらに困難になっているのです。

こうなると、同じメニューでも既に認知度が高かったり、戦略を練ったメニュー開発をしたり、顧客視点を持って顧客の満足度がより高いサービスを提供している人気キッチンカーに人が流れてしまいます。

同じメニューを扱うキッチンカーが多くなった今、生き残っているキッチンカーはより質の高い戦略を練り、実践することで、今の地位やポジションを維持しているのです。

にも関わらず、新規キッチンカーが戦略もビジネスの知識も無しにこの激戦となっている市場に飛び込むのは、無謀な行為でもあります。

新規キッチンカーこそ戦略を練り、計画的に事業を進めなければなりません。

今回解説するブランディング戦略の大きなメリットは、イベント出店で売上を上げる短期的なものだけではなく、再購入をしてくれるなど将来的な収益や顧客に繋げる中長期的にも効果を発揮できる点です。

ブランディング戦略は非常に身近です。
僕達の暮らしにはブランディング戦略があちこちにあり、企業が常に行なっている必須戦略でもあります。成功している大企業ほどブランディング戦略を徹底し、他社との差を顧客へ伝え、周囲に差をつけているのです。

つまり、他のキッチンカーと差をつけ、「その他大勢のキッチンカー」から、「あなたが運営するキッチンカー」として選ばれ、事業を維持していくために必須なのがブランディング戦略でもあるのです。


キッチンカー事業でブランディング戦略をを取り入れる更なるメリット

先ほど、周囲のキッチンカーとの差別化を図れるのがブランディング戦略のメリットだとお伝えしました。

他にも、このようなメリットも持ってます。
・顧客に一貫したメッセージが伝わる
・戦略の立て方の方向性が決まる

この2点に関しては後述していきますが、まずざっくりと理解していただくため、簡単に説明していきます。

※もちろんブランディング戦略のメリットはこれだけではありませんが、今回はここに注目して解説していきます。

顧客に一貫したメッセージを伝えること

顧客に一貫したメッセージを伝えることとは、簡単にいうと、お金を支払ってもいいと思えるメリットが正しく相手に伝わっていることです。

メリットが正しく伝わると、顧客のニーズが合致した瞬間購入に至りますし、満足できるほどの十分なイメージをさせることができれば購入に至ります。

例えば、お昼ご飯に何を食べようか考えているときに、マクドナルドのマークを見れば、
・提供までのおおよその時間
・大体の価格
・おおよそのメニュー
などが頭に浮かびます。

ただ、赤地に黄色いMのロゴマークを見ただけで、その店舗で何が食べられて、どれくらいの値段で、どんな形で提供され、どんな風に食べることができるのかなどが理解できるのです。

これが顧客の頭の中でイメージできれば、顧客のタイミングに合致した時に購入に至りますし、タイミングが合致していなくても、頭に浮かぶだけで購入意欲が高まり、購入に至ることもあります。

それに、「マクドナルド」の文字を探すよりも、ロゴマークを探している人の方が多いとも思います。

それだけロゴマークが浸透していることでもあり、ブランディング戦略がうまくいっている証拠でもあるのです。

このように、ブランディングすることによって、より早く、より正確に顧客にメリットなどの「メッセージ」を届けられます。

それだけではなく、そのメッセージは顧客の購買意欲さえも高め、購入に至るきっかけを作ることにもなるのです。

また、顧客がそのブランドそのものを気にいることは、何度も再購入へと誘導し、顧客との接点を増やすことで、ファンへと育てていくことにも繋がっていきます。

大企業がどこも必ずブランディング戦略をして成功している以上、企業の一種であるキッチンカーがブランディングをしない理由はありません。

キッチンカーもまた企業の一種であり、事業主は小さな経営者です。

自身のキッチンカー事業をどのように運営し、軌道に乗せていくのかには、ブランディング戦略を始めとした戦略が必要なのです。

戦略の立て方の方向性が決まる

戦略の立て方の方向性が決まるとは、簡単に言えば、何をすべきで、何をしてはいけないかがわかることです。

例えば、和風の雑貨屋がアメリカン雑貨を売り始めたらどうでしょうか。

和風雑貨が欲しい人からしたら商品ラインナップが減り、そこに特に興味がないアメリカン雑貨が並べば、結局取り扱っている雑貨が和風なのかアメリカンなのかどっちなんだと言いたくなります。

それならば、ここをやめて別の和風専門の店に行くという人も少なくないでしょう。

こうなることでブランドはファンを失い、崩壊していきます。
和風の雑貨と言い切るなら、和風のコンセプトから逸脱してはいけません。

和風雑貨と言い切れば、自ずとアメリカン雑貨は仕入れ対象から外れますし、ブランドコンセプトを守ることで、ファンを維持・増加させていくことができるのです。

このようにして、ブランディング戦略を練り、実行する上で、どうしたらよりメッセージが正しく伝わるのか、という戦略の方向性が立てられるようになるのです。

僕達FIVE DESIGNSでも、まず考えるのは、ブランディングです。
事業主の方が何をしたいのか、顧客が何を求めているのかなどを客観的に、かつ第三者の目線で考えるようにしています。

想いや、やりたいこと、顧客のニーズなど、多角的な視点から検討し、作り上げられたブランドは、基礎がしっかりした家のように、少しのことでは揺らがない確固たるものになるのです。

僕達はブランディングからもキッチンカー事業主の方をフォローしており、メールで連絡をとらせていただいているので、是非気軽にご相談ください。


顧客視点はブランディング戦略のどこに必要か

ブランディングの必要性は理解していただけたかと思いますが、ここで同時に必要なのが顧客視点です。

顧客はキッチンカー事業を含めた企業にとって必須の存在です。
今回解説するブランディング戦略では、ブランド形成の詳細ではなく、あくまで顧客視点を絡めた部分に焦点を当ててお話ししていきます。

ブランディング戦略を大きく挙げると、
・現状分析
・今後の戦略
・ブランドの維持
これらに分けられます。

現状を正しく理解・分析し、そこから自身の戦略を練り、ブランドそのものを維持していく。
これが基本の流れになります。

テリトリーの現状を分析

自身の現状と今後の動向を分析する、これがランドスケープ分析と呼ばれるものです。
ブランディングは、「自分がこんなブランディングをしたい」だけで始めるのではなく、自身と自身を取り巻く環境を正しく分析していくことから始まります。

そして、ランドスケープ分析において大切なのが、「6C」と呼ばれるものです。

Circumstances(環境分析)
Company(自社分析。自身の事業そのものの分析)
Customer(顧客分析)
Competitors(競合分析)
Channel(流通分析)
Costing(コスト分析)

これら6つの分析のことを6Cと呼び、企業が現状と今後の動向を分析する上で大切にしているマーケティングの考え方となっています。

この6Cをそれぞれ分析し、情報を統合することで、テリトリーの現状を分析することができます。


Circumstances 環境分析

ここでは、まずあなたが狙う市場や今いる市場、その環境がどうなっているのかを分析します。

①法律や条例など、事業をする上でルールは存在するか

これは、キッチンカー事業をする上で必須なのは保健所申請や営業許可です。

これらが法律や条例などのルールは絶対に守らなければなりません。
営業する地域ごとに違う可能性があるので、対象の保健所などに相談し、必要な書類を提出しなければなりません。

事業を考えた時、まず開業前から開業後至るまで、何が必要なのかを把握することが必要です。


②景気や物価、消費行動などはどうなっているのか
③人口や世帯数などはどうか

大切なのは、社会全体から対象とする地域まで、どのような「流れ」ができているのかを分析することです。

日本全体として景気が悪く、物価が上昇しているのなら、対象とする地域にも消費行動が抑えられる影響を及ぼしている可能性が高いです。日本全体がどうなっているのかを把握することは大切です。

同時に、対象とする地域特有の流れができていないかを把握することも必要です。

仮に、その地域で惣菜が非常に売れている、という流れができているのなら、惣菜を扱うキッチンカーのビジネスチャンスにも繋がるかもしれないという別の視点からの選択肢も増えることになります。

何が起こり、どんな影響が起きていて、今後どのようなことが予測されるのか、社会全体と対象とする場所・地域でのリサーチが必要です。


④環境問題への関心度、貢献度、関わり方

社会全体及び、対象の地域での環境問題での関心がどの程度あるのかを把握しておく必要があります。

仮に、社会全体や対象の地域でゴミを減らす運動が起こっているのに、ゴミを増やすような方策を取ると、周囲の反発を生み、結果として事業がうまくいかなくなる可能性は高まります。

逆に、ゴミを減らす運動に協力できるようにパッケージや売り方、戦略そのものを変えることによって、周囲の理解を得られ、かつ事業に賛成する人が多くなり、結果として追い風が起こることも考えられます。

社会が環境問題へどのような関心があるのか、どの程度貢献しようとしているのか、対象地域の人がどの程度関わっているのかなどを正しく把握することが大切です。

社会や地域の流れをうまく追い風に変え、キッチンカー事業を一気に加速させるための戦略を練っていくのです。


⑤市場の状況はどうか

現在始めようとしている市場状況をリサーチしておくことが大切です。

今後拡大が見込まれるのか、それとも縮小が見込まれるのか、それはにはどのような要因があるのか、それによって今後どうなることが予測されるのか、などをリサーチし、知っておくのはビジネスの大前提となります。

既に多くのキッチンカーがいる市場で同じことをやろうとすると、その市場で人気を博しているキッチンカーには当然のように負けてしまいます。

例えば、キッチンカーの昼食市場だと、既に多くのキッチンカーが参入している分、競合も多くなります。ここに参入していくことは、昼食市場で既に人気を博しているキッチンカーや、他の新規のキッチンカーなど、多くのキッチンカーと戦うことになり、生き残るのは非常に難しくなります。

一方で、キッチンカーの台数のみの条件で夜食市場を考えると、参入しているキッチンカー台数そのものは少ないので、昼食市場に行くよりも生き残りやすくなるということです。

もちろん、現在であり、今後また変化していくとは思いますが、基本的には参入数の少ない場所に行くことが大切です。

ここで、同時に気にしないといけないのは、参入数が極端に少ないところには、極端に少なくなる理由があるということです。

何かが原因で参入数が少ない。

では、その原因とは何か、原因がどのように影響して参入数が制限されているのか、今後どうなることが予測されるのかなどを考える必要があります。

仮にキッチンカーの夜食市場に行こうと考えたとしても、今までに同じように考えた、または事業をした人がほとんどの場合いるはずです。しかし、事業を続けたり、競合が次々に現れることは無かったということは、何か事業を続けづらい状況や、競合が現れない理由があったということでもあります。

もちろん、ビジネスの穴として、誰もその市場に気づいていなかった可能性もありますが、大抵の場合は事業が広がらなかった理由が存在します。

それがなんなのか、事業の加速を止めている物(=ボトルネック)なのかを考え、対策する必要があります。

この場合でも、いきなり大きく始めるのではなく、最初は小さく、徐々に大きすることが好ましいでしょう。

顧客視点になった時、もっとこうした方がいい、もっとこんなニーズがある、と小さく検証を続け、検証によって得られたデータを元に、よりニーズに答え、売上が上がる方へと方針を変えていくことも必要です。

そのため、あまりに大きく展開してしまうと、かえって動きづらくなることが考えられるので、最初は小さく検証することが鉄則なのです。


Company 自社分析

市場などの環境分析と共に必ずしなければならないのが、自社分析です。

自社分析と言うと大層に聞こえますが、特に人を雇っていない場合なら、あなたのキッチンカー事業そのものやあなた自身を分析する、ということになります。

分析する項目は以下の通りです。

①競争優位に立てる技術や知識、流通経路、人脈などがあるのか
②今まで何を自分が行い、どんな実績があるのか

人と違ったことや経験は常に大切です。

開業に至る想いや仕事で関わってきた業界の情報や、それ以外にも、自分が得意なことや好きなことは結果として大きな武器になります。

例えば、極端な例を出すと、50キロ減量に成功した経験があるのなら、その時に培ったダイエットの知識やダイエットレシピを活かして、ダイエットお惣菜を作ってみたりなどが挙げられます。

自分が何をしてきたのか、何が得意で、何を活かせるのか、逆に何が不得意で、苦手なのか。

好きや得意を活かし、苦手や不得意を極力避けながら顧客のニーズを満たすことが大切です。


③マーケティングの知識や実力がどれくらいあるのか

自分は持ってる、大丈夫と考えるのではなく、自身の知識がどの程度で、どれくらい使うことができるのかを知り、今後何を学んでいけばいいのかを把握し、考えることが必要です。

④広告やプレスリリースなどを活用できるのか

⑤営業をかけられるような人脈があるのか
定着戦略を取ることができる場所や周囲の人々との関わりはあるのか

⑥技術力はあるのか
今後新商品を開発したり、顧客がお金を支払ってでも得たいと思うほどの技術や知識が自身にあるのか

などが挙げられます。

ここでは主に、自分が他の人と比べてどういうものを武器として持っているのか、その武器をどのように活かすことで、顧客のニーズを満たしつつ、利益を上げられるのかを考えます。

自身の経験や想いなど、人と違ったものや、同じであっても特に秀でているものなどは他の人には真似できないものになるので、考えることが大切です。

Customer 顧客分析

事業を考える上で絶対に外せないのが顧客分析です。
対象の地域にはそもそもどんな顧客がいるのか、顧客が何を考え、どのように生活してるのかなど、顧客を分析する必要があります。

顧客を分析する時の大体の項目がこれです。

①顧客はどのようなライフスタイルで暮らしているのか

単身者が多いのか、ファミリー層が多いのか、ママ友や地域の老人会などのコミュニティがあるのか、その人たちがどのような生活のルーティンを持っているのかなどを把握することによって、どこに入っていけそうなのかを考えるのです。

②家庭、仕事、娯楽、コミュニティ、ストレスの発散など、さまざまな見方から、どのようなルーティンや変化、流行、文化などがあるのか

顧客がどのような生活をしていて、どのような動きをしていて、何に興味を持たせ、どのように足を運んでもらうのかまでを事細かに考え、設定する必要があります。

流行があるのはチャンスですが、すぐに変わり、廃れるのが早いため注意が必要です。

流行を取り入れつつ、流行に振り回されることがないポジションを獲得することを考えるべきです。

逆に、部活帰りの大学生をターゲットにする場合、大学は簡単になくなったり、流行によって人数が変化することもありません。結果、大学生に対してアタックをかけて学生達のライフスタイルに入り込み、学生の間で口コミが広がっていけば、中長期的に今後も顧客を得られる可能性が高いのです。

③顧客行動全体を見た時、どこでアタックをかけられるのか
顧客行動は必ず購入前から購入後まで幅広く存在します。

その顧客行動のどこからどこまで、どのようにアタックをかけられるのかをあらかじめ考えておくことは大切です。

他にも、
顧客とどのような関係性を構築したいのか
事業に対して興味を持って欲しいのか自分に対して興味を持って欲しいのか
⑥顧客がルーティン的に利用して欲しいのか、特別な時に利用して欲しいのか
などが挙げられます。

自身がここに住んでいたとしたら、何が欲しくなるのかを考え、顧客を多角的に分析し、その後どのようにして来店させ、購入に踏み切らせ、次にどこで接点を持つのかなどをあらかじめ考え、設定しておくことが大切です。

顧客のニーズはどこにあり、どのように満たすことが良いのかなどを考えることで、さらに事業の幅ややり方、選択肢が増える場合もあります。

顧客の視点になって、いつ、何がどのように欲しくなるのかを考えることで、新たな市場開拓や、今後のやり方を考えることができるようになるのです。

後半では、競合についてやコストなどのお金の話、そして、ブランディングにあたり誰もが通る山場と、その乗り越え方について解説していきます。