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提携先を増やしビジネスモデルを強固にする「オービタルインサイト」

宇宙ビジネスが盛り上がりをみせる中で、宇宙領域の事業で利益をあげる会社はまだ多くありません。多くの会社は、資金調達や他の事業の収益を投資して事業開発を進めています。

このシリーズでは、宇宙領域の事業で、利益がすでにある会社やもう少しで利益がでそうな会社にフォーカスして企業情報をお届けして今後の宇宙市場のみたてに役立てば嬉しいです。

今回ご紹介するのは、オービタルインサイト(Orbital Insight)という会社です

オービタルインサイトは衛星データを分析する会社です。

もう少し詳しくいうと、衛星、無人航空機(ドローンなど)、そのほか地理空間データソースを使い、社会と経済の傾向を調べる会社です。画像処理、機械学習、統計分析などの専門知識もあります。

サービスは「消費者向け」「エネルギー向け」「製油所向け」「政府向け」の4つがあります。

消費者向け

「消費者向け」は小売店の傾向を分析する人に情報を提供するサービスです。

Retail Traffic

毎日26万以上の駐車場の衛星画像から交通量の分析結果が届きます。5年以上の前からの傾向を調べ、1年間だったり3ヶ月間の傾向を見張り収益の分析とデータの有効性をテストします。

Mall Traffic

投資家や不動産の所有者に、トップダウン分析とボトムアップ分析の両方を提供します。ちなみに、トップダウン分析とは経済環境、金利環境などのマクロ的な視点での分析です。一方、ボトムアップ分析とは個別企業を徹底的に調査、分析します。これにより、商業用不動産などのパフォーマンスをこれまで以上に深く理解できます。モールやショッピングセンターへの投資の成果を知るために、複数の地理空間データを取得します。

エネルギー向け

衛星画像などのデータを使い、石油の生産、貯蔵、精製を監視。エネルギー業界で唯一、包括的で客観的な見解を毎日提供します。サービスの対象エリアはOPEC(石油輸出国機構)、米国、中国、OECD(経済協力開発機構)の地域です。

製油所向け

毎日の製油所活動を追跡して、プラントメンテナンスの開始と終了を正確にモニタリング。米国の精製能力をモニタリングします。トレーダーは、位置情報を使い、どの市場よりも早く供給データを入手できます。

データの特徴は下記の4つ。
客観性…米国の製油所容量の85%に相当する1,500万バレル以上の人員配置の変化を検出。
透明性…全米にあるすべての細かい粒度のプラントの水位を、一貫性があり定量化できる技術を提供。
スピード…2〜3日前にメンテナンス活動の変化に関するアラートを受信し、既存のサービスの需要と供給のモデルを改良。

政府機関

下記の側面からクライアントをサポート。
・知見を溜めるために、人口統計上の変化をマッピング
・防衛のために、変化、物体、生活様式の変化を検出
・市民政府のために、規模で経済指標を追跡
・多国間組織とNGOのために、開発と環境変化を監視

変化のパターンを理解して、政策への影響予測を判断材料に。
・関心のある施設での生活パターンと早期警報分析
・新しいインフラストラクチャを検出
・経済活動および軍事活動の特徴付け
・災害リスク管理と対応
・環境変化を見つけて監視

サービス内容をまとめると、オービタルインサイトは衛星データとその他データをかけ合わせて、知見を取り出す分析企業です。

ビジネスモデルを図にまとめます。

このビジネスモデルだと、現時点では加工したデータの販売先の開拓が成長の鍵になりそうです。余談ですが、オービタルインサイトが保有する技術を使えば、異業種でのマネタイズも可能だと思います。例えば、アパレル業界ではインスタグラムの画像からマーケティングの傾向を分析するニーズがあるそうです。画像を解析して特徴を抽出し、知見を取りだすところに強みを生かせると思います。

市場が成熟したときを考えると、データを保有している企業が主導権を握ると予想します。後半で出てきますが、それを見越してかエアバスはデータの販売にも着手しているようです。オービタルインサイトはどのような勝ち筋を描いているのでしょうか。

盤石な経営陣に支えられた会社

創業は2013年。本部は、カリフォルニア州パロアルトにあり、その他にニューヨーク、ワシントンDC、ボストン、ロンドン、東京にオフィスがあります。

オービタルインサイトの創設者でありCEOのジェームス・クロフォードは20年間のキャリアがあります。具体的には、The Climate Corporationで農家に気候データを提供、Moon Expressで商用ロボット、Googleでは世界の書籍を検索に関わり、NASA のAmes Research Centerでロボット工学を管理していました。Orbital Insightで、彼はソフトウェアの専門知識を使用して、あらゆる種類の業界の市場データのまったく新しいソースを作成しています。

調達を終え、勝負の時期か

非上場で、資金調達は過去3回おこなっています。

調達額の合計は、7870万ドル(約86.5億円)になりました。※1ドル110円で換算。

とあるメディアによると、現在の想定年間収入は150万ドル(約1.65億円)、従業員数130人という説もありますが信憑性は定かではありません。

オービタルインサイトの主な競合相手はSpaceKnow、ICEYE、Satellogic などがあり、どの企業も2010年~2015年に創業した会社です。

オービタルインサイトは分析領域に集中

オービタルインサイトは、2018年9月にFeatureXを買収しました。これはオービタルインサイトの最初の買収でした。買収したFeatureXは人工知能会社の会社。今後オービタルインサイトは、コンピュータが衛星画像から、物体検出や画像の強調など画像の理解する精度向上を進めると予想されます。FeatureXの創設者のGil Syswerdaは、技術研究副社長としてオービタルインサイトに加わる予定です。

また、2018年9月にはエアバスと提携を結びました。エアバスは、OneAtlasを通じて政府や商業市場向けの製品を提供。オービタルインサイトは解析部分を担当すると見られています。Planetとは、画像共有を目的として複数年契約を発表しました。日本の会社では伊藤忠とJSATが再販パートナシップ契約を発表しています。

パートナー含め盤石なビジネスモデルを構築するとともに、オービタルインサイトは解析部分にフォーカスしていくと思われます。

引用元
https://orbitalinsight.com/
https://www.owler.com/company/orbitalinsight
https://spacenews.com/orbital-insight-featurex/
https://spacenews.com/airbus-orbital/
https://www.daiwa-am.co.jp/guide/term/ha/bottom_1.html
https://www.daiwa-am.co.jp/guide/term/ta/topdown_1.html

企業分析のリクエストがあればご連絡ください。(@NKHR_AI

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FIUMの創業者. ビジョンは「人類が宇宙で生活できる状態」の実現.
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