【観戦記】RWC決勝〜すごさとわかりにくさの間〜

私が中学・高校時代を過ごした80年代は、ラグビー人気が盛り上がった時代だった。ドラマの「スクール・ウォーズ」のモデルの高校は、同じ市内にあったし、関西の大学ラグビーも強かった(今もそこそこ強い)。
さらに社会人になり、縁あって、ある企業のクラブチームを取材する機会にも恵まれた。だから(おそらく)普通の人よりもラグビーの試合は良く見ている(はず)。それだけに4年に一度のRWC(ラグビーワールドカップ)は楽しみの1つである。 

そして、9月から始まったRWC2023フランス大会。日本代表も見ていたけれど、やはり注目は決勝トーナメント。アルゼンチンもイングランドも接戦で負けてしまって残念だったが、決勝はちゃんと見よう。
決勝は29日午前4時(日本時間)。さあ、決勝だ!と思いつつ、寝てしまった(前日に日本シリーズ、お気に入りのサッカーをガッツリ見てしまったせいか)。
結局、テレビでこの試合(ニュージーランドvs南アフリカ)を見たのは日曜日の午後。結果はもちろん知っていた。それでも試合が始まると緊迫感のある展開に一気に見入ってしまった。

ラグビーは、いわばトライ(得点)に向けてスペースを奪い合う陣取り合戦であり、数mいや数十cmの先に進むための戦術とそれを阻止する戦術がぶつかり合う。しかも、この決勝は世界2トップの両国。息が詰るような試合展開でわずか1点差。ノートライの南アフリカが勝者という予想外の試合は、またラグビーの奥深さを見せつけられた気がした。

それとともに、以前から感じていたラグビーという競技の課題にも気付かされた。それは反則が細かすぎる点だ。もちろん、そこには背景がある。ラグビーは元々英国の上流階級のスポーツであり、それだけに互いにルールの遵守と誠実さ(正々堂々という感覚)が求められる。そういうことは理解しているつもりだ。

しかし、それだけに試合中は、特にズルいと見られる行為には厳しく、反則も細かくなる。結果、レフェリーに試合をコントロールされる面も大きい。一方で、細かすぎる反則は見ている側にはわかりにくさが残る(微妙なオフサイドなど)。わかりやすさの解消という意味で、近年のTMO(映像確認)の導入は良かったと思うが、試合の流れを止めてしまう面も。個人的にはもう少し反則の種類を簡略化すれば、展開もよりダイナミックに変わるかも、そんな感覚を覚えた。

もちろん、この愚直なわかりにくさがラグビーの魅力でもある。しかし、RWCは次回から参加国が20→24に増える。競技として、より世界的な広がりを期待しているからこそ、一部ルール変更も考えるべきではないか。


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