「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論435」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第9号(2003.11.25発行)「定着志向のクラブづくり」4~※名称等は当時、一部文章省略

1.会員数を増やす原理と鍵

(3)定着をチェックする方法

どのように定着を管理したらよいかについて、私がたどり着いた方法をお話しします。

4象限グラフ上側の(A)と(B)は1年未満に入会した会員です。

(A)は、その中に占める現在の在籍会員の割合、(B)は現在も在籍していて、なおかつ先月4回以上利用した会員の割合です。

4象限グラフ下側の(C)と(D)はちょうど1年前の在籍会員です。

(C)はその中に占める現在の在籍会員の割合、(D)は現在も在籍していて、なおかつ先月4回以上利用した会員の割合です。

まず(A)×(B)で初期定着の度合いを算出し、次に(C)×(D)で中長期の定着度合いを算出します。

それからこの解の両方の平均を算出してみて下さい。

それが全体の定着率になります。

仮に数字を入れて算出してみましょう。

(A)80%、(B)50%、(C)95%、(D)60%とすると(A)×(B)は40%、(C)×(D)は57%。

従って、両者の平均値、つまり全体の定着率は48.5%ということになります。

これが本当の意味での定着率です。

定着に関する全てのことが上手く回り始めると、このマトリクスの右下の数字が高くなっていきます。

というのは、長く在籍していて、しかも定期的にクラブを利用している会員が増えるようになることで定着率は確実に高まっていくからです。

さて、先ほど、全部で7つの数字を出しましたが、これらをチェックすることで、どの層に対してサポートを厚くすれば良いかが分かります。

というのは、在籍1年未満の新規入会者と在籍1年以上の会員とでは、定着化への対策の性格がかなり違うものになるからです。

さて、今まで話したことをここで新しい情報を織り交ぜながら一旦まとめておくことにしましょう。

まず入会直後の利用頻度と定着率には確かな関係があるということが分かりました。

調査(FIAUKによる「会員定着に関する調査2002~2003」)によると、入会初月度に4回以上クラブを利用した会員が1年4ヶ月以上在籍する可能性は、そうでない会員に比べ30%高いことになっています。

だから特に入会初月度にはサポートが必要ということになります。

また同様の調査で、入会初期のオリエンテーションの数が、その後の会員のクラブ利用回数と直接的な関係があることが分かっています。

オリエンテーションの予約を1回多くとることだけで、その会員のトータルの利用回数を35%も高めることが出来るという調査結果も出ています。

~ここまで~

当社も定着度を測る独自の指標をいくつか用意していますが、初期利用については、必ず何らかの指標を持っておく必要があると思います。

日本でも、入会2ヶ月とか入会半年の利用回数を分析し、定着指標としている実績があります。

それだけ初期対応は重要な要素であり続けている歴史をみれば、パンデミック下の回復を目指す意味で、これらを省くという選択肢はないと考えた方が良いでしょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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