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7月27日(木):サービスの「起点」と「終点」をどう定義するか

本日はサービスデザインに関することを少しばかり。

サービスデザインは文字通りサービスのあり方をデザインすることで、とりわけサービスの初めから終わりまでを提供者側とユーザー側双方にとって価値あるように包括的、かつ協働的なデザインをしていくことです。

このサービスデザインの観点で素晴らしいなと思ったのが味の素冷凍食品の取り組みです。

そもそも味の素冷凍食品は冷凍食品というモノを販売するメーカーであって、サービス業ではないので本来的にはサービスデザインとは縁のなさそうな立ち位置です。

ただ、そんな同社が実施した取り組みはユーザーから焼き損じのフライパンを募集するという驚きの呼びかけでした。

事の発端は同社が販売する冷凍餃子でうたい文句にしている水なし、油なしで誰でも簡単に羽根つき餃子ができることに対し、フライパンに餃子がこげついてしまったユーザーが、そのことをツイッターで投稿したことが始まりです。

これに対して同社の公式ツイッターの「中の人」が、どうしてそのような事象が生じてしまったのか、今後に向けた研究開発のためにとフライパンを着払いで送ってほしいと個別にお願いをしました。

そしてフライパンの材質や状態、調理する個数、火加減などを研究部門が調査を行い、その結果としての具体的な対処法を公式アカウント上で公開します。

加えて更なる研究のためにフライパンの提供を広く呼びかけたところ、ユーザーから2,000個を超えるフライパンが同社に集まったという経緯で、今後はこれらの調査を進めて順次、報告をしていく旨を発しています。

まず、ここまでのなかでポイントのひとつにあげられるのはゴールの設定です。

同社は食品メーカーなので良いものをつくって買ってもらうことがゴールになっても何らおかしくはないわけですが、買ってもらって終わりではなく、美味しくそれを口にしてもらうところまでをゴールにしているからこそ、餃子の「焼き方」にまでアナウンスをしていくのだと思います。

冒頭でも触れたようにサービスデザインはサービスの初めから終わりまでをデザインすることですが、サービスの始まりとなる起点はどこで、その終わりとなる終点はどこなのか、そこの定義によってもデザインのありようは変わってきます。

同社にとっては自社の手を離れた瞬間でもなければ、ユーザーの手に渡ったところでもなく、その先でユーザーが調理して口に入る瞬間までもが一連のサービスの範囲であり、商品価値を左右するプロセスだと捉えているのでしょうね。

当然ながらサービスの始まりから終わりまでの期間を長く設定するほど、やることは増えるし、改善すべきことも増えていくので大変になります。

それでも口に入る瞬間までをゴールに据えて、その提供価値を最大化するために尽力する姿勢には頭が下がります。

一連の取り組みにおける別な観点にも触れようと思いしたが、長くなってしまいそうなので続きは明日に持ち越します。

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