8月26日(土):コンビニで進む「個店経営」
先般の日経MJではコンビニの大手各社が地域に根差した個店経営を深掘りしている旨の記載がありました。
具体的にはファミリーマートで「個店コンサルツール」を使って総菜の売上を伸ばしたり、セブンイレブンでは地域によって移動販売を進めたり、ローソンではエリアカンパニー制を広げて独自性ある売場づくりをしたり、といった具合です。
ここで言うところの個店経営とはチェーンストアとしてオペレーションの標準化などをベースにしつつも、立地特性や地域にニーズに応じた売場づくりや商品ラインナップなど、現場へエンパワーメント(権限の大幅移譲)した店舗運営を指しています。
こうしたチェーンストアの個店経営は決して今に始まったことではなく、かねてからそうした方向性が模索されていました。
例えばビジネス雑誌の「販売革新」ではコロナ前の2019年10月号の特集が「チェーンストアの『個店経営』」となっていて、そこでセブンイレブンやヤオコーの取り組み事例もふまえながら、それについての解説がなされていた通りです。
その当時、小売チェーンが個店経営へと舵を切るような流れが生まれてきた背景には人口減少による市場の縮小傾向、ネット通販を含む異業態間の競争激化、ネットによる消費者の情報武装といった要素が挙げられています。
前述した外的な環境の変化に加え、チェーンストアの内部においても店舗の拡大・組織の肥大化によって店舗運営が立地特性やニーズにうまく適合できずに硬直化したり、本部の権限が強過ぎて店舗が指示待ちになって現場で問題解決ができなくなったり、といった状況もあったようです。
そういった背景のもとで個店経営の歩みを進めてきたものが、ここにきて徐々に結実してきたということでしょう。
冒頭に触れた記事のなかではコンビニオーナーのコメントで、夜の利用者がコロナ以前には戻らないことの予測、そして人件費や光熱費の上昇もあって将来的に24時間営業をやめた場合には、日中の売上を伸ばす必要があり、そのような危機感から移動販売としての「外商」に活路を見出している旨の話もありました。
店舗を取り巻く状況が大きく変化しているのは小売やコンビニだけに限った話ではなく、私たちサービス業やフィットネス業界にとっても同じことがいえます。
複数店舗を運営するなかで、単なる「支店経営」ではなく「個店経営」の度合いを深めていくことは小型のスクール制フィットネスクラブを運営する私たちにとっても必要なことなので、そこの観点を掘り下げていければと思っています。