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7月21日(金):カルチャーの変革に必要な「要素と時間」

このところは中古車販売のビッグモーターによる自動車保険の不正請求から派生して組織のカルチャーに触れています。

今回のような組織的、かつ常態化した不正を生む温床になった一因には間違いなく組織のカルチャーが関係していると思います。

昨日は遠藤功さんの著書「『カルチャー』を経営のど真ん中に据える」を引き合いにしましたが、同書では組織風土の劣化は知らないうちに組織を蝕み、気付いた時には取り返しのつかない事態になることから「組織風土の病は『死に至る病』である」と述べられているほどです。

そこでも記しましたが組織風土の劣化にいたるメカニズムの一例としては次の流れが示されており、ビッグモーターの不正についてメディアで報じられている内容とも重なります。

「上司による高圧的な態度・言動」⇒「組織内に忖度が広がる」⇒「ミドルが疲弊する」⇒「部下に対するケア不足」⇒「部下のやる気の喪失」⇒「退職や不正リスクの高まり」

こうした組織風土の劣化は決して一夜にして起こるものではなく時間をかけてそのようになっていく分だけ、それまで固着化したカルチャーを変革していくのもまた容易ではありません。

だから今回の問題発覚がひとつの契機になる面もありますが、それだけで自浄作用を伴って組織のカルチャーがより良い方向に向かうかといえば、そんな簡単な話ではないと思います。

そうしたなか、同書では何からスタートするのか、どのような順番で展開するのかは会社の状況によって柔軟に対応する必要があるものの、カルチャーの変革に必要な条件は次の4つに集約されると説明しています。

●カルチャー変革に必要な4つの条件

1、経営トップの覚悟
カルチャー変革はトップダウンであり、「なんとしてもカルチャーを変えるのだ」というトップの強い意志と覚悟、コミットメントがなければ絶対に成功しない。最も重要な経営トップの仕事は、良きカルチャーを醸成すること。

2、「草の根運動」の粘り強い展開
カルチャーの変革はトップダウンでスタートするが、実行は現場主導のボトムアップであり、社員一人ひとりが意識、考え方、行動を変えなければ何も変わらない。だからカルチャー変革の草の根運動を泥臭く、現場から仕掛けなければならない。これはとてつもなく手間と時間を要するプロセスであるが、それを経て点から線へ、そして面への展開が不可欠。

3、「見える化」による意識変革と行動変容
草の根でじっくり取り組むといっても全社に対する情報発信は継続的に行われなければならない。経営トップが明確な意思表示をするだけでなく、草の根運動での取り組みの様子や成果を「見える化」し、啓発していく努力が必要になる。

4、「仕組み化」
変革の「芽」を伸ばし、育てるためには、どこかの時点で「仕組み化」が必要である。仕組みができることによって、変革を加速させ、定着させることができる。

この4つの条件はトップダウンはもちろんのことボトムアップも要るし、さらにはそれを時間をかけて取り組み、小さな成果から広がりをつくって仕組み化をする、ということだから会社として全方位的に取り組み、なおかつそれを時間軸のなかで継続し続けることを意味します。

裏を返せばそこまでの熱量や取り組みをしなければ良いカルチャーは醸成されていかない、定着しない、ということでもあるでしょう。

書籍には「組織の規模にもよるが、新たなカルチャーが醸成され、組織に根付くには最低でも10年はかかる。」と記載されていましたが、それぐらいの覚悟と取り組みが要るとの理解が妥当です。

だからこそどんなカルチャーをもった組織であるのか、それが大事だといえます。

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