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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論474」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第11号(2004.3.25発行)「コラボレーション」14~※名称等は当時、一部文章省略

5.コラボレーションの実際

(3)メーカー・サプライヤーとのコラボレーション

商品を製造・販売する企業とのコラボレーションは冒頭に挙げたイトーヨーカドーグループのチームマーチャンダイジングに見られるように流通業ではごく当たり前に見られるようになってきている。

フィットネス業界においても、ここ数年間に注目に値する好事例がいくつか見られるようになってきていた。

筆頭に挙げられるのはセントラルスポーツと伊藤園のコラボレーションにより開発され、セントラルスポーツの各店で販売されているスポーツドリンク「アクアビクス」だろう。

誕生のきっかけはセントラルスポーツがCRMの一環として会員に対してアンケートを取ったことにあった。

「クラブで軽食が取れたら嬉しい」、「プールのコース数を増やして欲しい」といった回答の中に、相当数「オリジナルのスポーツドリンクを作ったらどうですか」といった回答が寄せられていた。

同社G常務は「お客様からの有難いご意見なので、何とかお応えしようと思たのですが、自社ではなかなか難しいことなので、メーカーさんと組むことを考えました。そんな中で以前から当社と縁のあった伊藤園さんが思い浮かびました。率直にお話しをさせて頂いたところ、快く引き受けて頂けたのです。」という。

セントラルスポーツ側としては、スポーツドリンクに関する調査協力とアイデアの提供程度で済むことになった。

製造や在庫に関するリスクは伊藤園が持ってくれることになった。

4ヶ月7万本を一応の販売目標として販売を始めたが、この目標を楽にクリア、5ヶ月目で10万本近くを売り上げるヒットとなった。

1本140円なのでトータル1,400万円の売り上げがあったことになる。

この結果について後藤常務は次のように言う。

「確かに数字も大切なのですが、それ以上にこうしてコラボレーションが組めて一定の成果を挙げることができることで多くの方がこういう取り組み(コラボレーション)を知り、他社さんからもお声がけを頂くとまた別の取り組みができるようになっていきます。当社もそうですが、段々業界の地位も上がっていくのではと思うのです。」

1つのコラボレーションは業界の内と外を結ぶ成長のコラボレーションにもなるということだ。

~ここまで~

販売開始当時、セントラルスポーツに属していたアバター近藤は店舗の販促策を講じていた立場ですので、こちらの評価は明確にできます。

記事の通り、店舗内でのスポーツドリンク販売数は他のスポーツドリンクを越えることとなり、定番化していきましたので、このコラボレーションは成功したと言えます。

成功要因の一つは、(これはアバター近藤が提案しましたが)自社商品のため、販売価格に融通が利かせられたということです。

その当時、定番商品としてアミノバイタルなどのスポーツドリンクがありましたが、これらは150円で販売されていたところを、10円安い140円での販売を可能にした点です。

運動シーンでの購入目的は、主にのどを潤すことですので、味やブランドではなく、手に取りやすい価格が重要であると考えたからです。

そしてもう一つは、伊藤園さんという信頼ある企業がドリンク製造を担ったという安心感です。

さらにそれを全社挙げて売ろうという発信が強かったことも影響していると思います。

これらの要因が重なり、結果、成功となりましたが、特筆すべきは現在も販売されているロングセラー商品となっていることです。

やはり中長期的に成功してこそコラボレーションは評価するべきだと考えます。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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