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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論797」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第36号(2008.5.25発行)「独立系クラブが成功するために必要なことーMAC CEOティム・ロード氏に聞く」1~※名称等は当時、一部文章省略

1996年、ロード夫妻は米国メリーランド州ボルチモアのロードサイドにメリーランド・アスレティッククラブ&ウェルネスセンター(MAC)を開設した。
延床面積702坪のプールレスクラブで月会費は5400円(1ドル100円換算、以下同様)。
開業1年後の会員数はわずかに1600メンバーシップだった。
MACはその後、実に様々な革新的な取り組みをして、ここから毎年のように成長していく。
今では売上高9.65億円、経常利益率18%、会員数で5000メンバーシップを超えるクラブとなっている。
さらに、ロード夫妻はこの旗艦店以外にも次々と新業態を開発。
独立系クラブとして複数業態を組み合わせてドミナント化を実現しようとしている。
調整期、転換期にある日本のクラブ、とりわけ独立系企業がロード夫妻から学べることは多い。
ティム・ロード氏にインタビューした。

ーまず、MACについて教えてください。

ティム:MACのあるメリーランド州ボルチモアはアメリカの東海岸、ワシントンDCの北に位置しています。
MACはここに1996年にクラブをオープンしました。
当時、私たちは業界に新しい風を吹き込もうと考えていました。
それでウェルネスにフォーカスしたクラブを作りました。
こういうクラブはそれまで業界にありませんでした。
私たちはクラブを作るに当たり、それまで業界でクラブの課題とされていた、いくつもの問題を全て解消したいと考えました。
例えば、混雑やクリンリネスの不徹底、集客の悪さや煩雑な会費の回収といった問題などです。
こうした問題を解決するばかりでなく、さらに地域の生活者の方々が抱くニーズやウォンツを革新的な方法で満たしたいと考えました。
例えば、それは開放的な空間やフルサイズのアリーナ、パーソナルトレーニング専用スペースの設置、メディカル機能の充実、1人紹介する毎に紹介した会員の月会費が5ドルづつ安くなるユニークな会員紹介システムなどです。
こうしたことを少しずつ実行していきました。
オープン時の延床面積は700坪程度でしたが、今は総延床面積は1900坪です。
最初はアリーナを含む敷地上部エリアでスタートしましたが、その後、98年にプールを付けました。
2000年にはストレングスエリアとカーディオエリアを拡張しました。
この拡張はプールや、ストレングス、カーディオエリアへの需要が増えたためにしたのです。
2001年にはクラブの横にライフスタイルセンターを設けました。
そして2007年には内装を一新しています。
最近、またアクアエリアやストレングスエリア、カーディオエリアを拡張しています。

ーライフスタイルセンターとは何でしょう。

ティム:私はクラブを運営しているなかで、多くの生活者が健康面において助けを必要としていることを実感しました。
それで2001年にライフスタイルセンターを付設したのです。
ここは初めて運動をする方や相当に運動不足の方、健康を害している方などを手厚くサポートするセンターです。
そうした方々が使いやすいマシンを揃えています。
内容やBGMなども馴染みやすいものにしています。
専用のロッカーもあり、トレーナーもクラブの中で最も優れた者を配置しています。
ここではフィットネス初心者もしくは再入会者向けのプログラムを提供しています。
2ヶ月間・週2回参加で6000円に設定しています。
ただし、このプログラムへ参加できるのは基本的にクラブと提携している医師または企業の紹介がある方のみです。

~ここまで~

メリーランド・アスレティッククラブ&ウェルネスセンターは、業界誌でも度々取り上げられ、エクセレントクラブとしてご存知のベテラン業界関係者は多いと思います。

記事当時は殊更に注目した訳でありませんが、現在の会社で初心者や低体力者、セルフ型のフィットネスクラブでは続かない方がメイン顧客となっている為、そのエッセンスには大いに共感できるものがあります。

そして恐らく、既存のクラブで課題とされていた問題を全て解消したいという強い意気込みが、様々な革新的な取り組みを実行させたのでしょう。
日本のフィットネス業界も今回のパンデミックにより、以前から認識していた問題点が在籍会員数の大幅減という事実をもって、否応なしに実感できたと思います。

その反省、改善なくして、回復は見込めないことを関係者は肝に銘じた方が良いとアバター近藤は考えます。

お読みいただきありがとうございました。

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