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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論829」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第38号(2008.9.25発行)「顧客をしぼる(商業アドバイザー・小柳剛照」1~※名称等は当時、一部文章省略

原油価格の値上げに続き、食料品などの生活必需品や外食産業で、値上げが相次いでいます。
企業サイドとしては値上げは本意ではないでしょうが、原材料の値上げ分を企業努力で吸収するのも、もう限度。
価格競争の激しい業種においては、ライバルの動向を見ながらの価格設定の駆け引きが今後も続きそうです。

ディスカウントストアや回転寿司に象徴されるように、「安さ」を標榜する経営の根幹は、薄利多売です。
しかし、原材料値上げで、その薄利さえ危うくなってくればどうでしょう。
利益を度外視して売るか、あるいは断腸の思いで値上げに踏み切るしかありません。
薄利多売は、現代にマッチした新しい商法のようでいて、経済事情が悪化した際は、すぐに危機に突き当たる、もろい一面があったということです。

それに加え、薄利多売は小規模経営の場合はきついものです。
そこで発想を変えて、お客様を絞り込みながら、粗利益をしっかり確保する手法が注目されるところです。

元気な家電店

「でんかのヤマグチ」(東京都町田市)は、1965年(昭和40年)5月創業。
当初から、町田市と相模原市を中心に、御用聞きを主体とした商いをしてきました。
しかし、その後、家電量販店が相次いで出店。
近隣に6店もの大型店が誕生しました。
当然のことながら、価格競争ではかなうはずはありません。
そこでY社長がとった策は、「粗利益で勝負しよう」ということでした。

価格は量販店より高くても、量販店にはない満足を提供すれば、喜んでくれるお客様がいる、と確信したものです。
そこで「でんかのヤマグチ」は、顧客名簿を絞り込むことを決めました。
顧客名簿に載っているお客様の中には、ここ数年来店のない方、あるいは一度きりで、それ以来、足を運んでくれない方もいます。
そういうお客様を名簿から外して、本当に店を信頼して、利用してくれているお客様だけを、顧客名簿に整理し直したものです。

それまで3万4千軒分あった名簿は、半分に減りました。
しかし顧客数が半分になるということは、御用聞きで訪問できる回数が倍に増えるということです。
これによって、徹底した地元密着のサービス体制が確立し、同店と顧客との信頼度は、ますます高くなっていったのです。

~ここまで~

記事前半部分は、日本の現在の姿をまる写ししているかのようで、このような危機は何度も襲ってくることが改めて分かります。

当社は、小型クラブを展開する段階で、顧客を絞るという戦略を志向した訳ですが、ここ最近、以前から行っていた顧客プロフィール(クラブ内での活動状況)をさらに精緻に分析し、具体的アプローチする対象を手法ごとに絞ることに着手したところです。

その意味で、記事に取り上げられている家電店のシンプルかつ踏ん切りの良い決断と行動は、小規模企業の目指す方向性として確かなものだとの信認を得た思いです。
パンデミック以降、試行錯誤で乗り切った後の、来年、ニューノーマル5年目は、この方針を推進する1年になることでしょう。

お読みいただきありがとうございました。

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