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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論545」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第15号(2004.11.25発行)「スイミングクラブの成長戦略」18~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ成長クラブの事例研究

事例研究5「新業態・大人専用のスイミングクラブを開発、ウェルネスマーケットを開拓する」(株式会社マイティスポーツ「マイティアクアクラブ」)

このビジネスモデルに確信を持ったT氏は、すぐさま2号店の計画に入った。
本社所在地である福島県郡山市に空いていた土地があることを知っていた同氏は、周辺人口を調査、7㎞圏に20万人と米沢店の約4倍あったことから「ここなら行ける」と狙いを定めた。
ところが4億円もの借金をしたすぐ後なので資金がない。
そこでT氏はまた制度融資に目をつける。
ちょうど平成11年7月に施行された「中小企業経営革新支援法」に基づき、「経営革新計画」が県で認められれば最大3億円までの制度融資が受けられる。
そこで早速T氏はこれに応募。
見事に認証をとり、資金の目途がついた。
だがもう一つ問題があった。
T氏が狙いを定めたこの土地が「調整区域」に指定されていたのである。
商業施設を建てるためには用途変更が必要である。
T氏は県に交渉を続けていたが中々話が進まない。
そこで同氏は先手を取って資金が得られた時点でこの土地を購入してしまう。
3億円をかけての大胆な行動だ。
T氏は「役所の人に本気になって貰うため」というが、結局T氏の交渉力と情熱で無事、用途変更が認められることとなった。
「経営革新計画」が県で認められたこともあり市中銀行からも融資が受けられ、3億円をかけて建物を建設した。
米沢店での反省を生かし、バージョンアップさせた施設が完成した。
T氏は「会員2,000人で十分ペイできる」と踏んでいた。

プロモーションではこの「大人専用スイミングクラブ」という新しい業態を浸透させるべく「スーパースイミングスクール」と名称を付け、これを前出ししてプロモーションを行った。
だがこれが裏目に出る。
「スイミングスクール」という言葉に「子ども向け」とのメッセージが強かったため、そのメッセージがターゲットとしていた大人に思うように届かなかったのである。
結果、1,000名を切ってのスタートとなる。

この誤算に、オープン後T氏は大人向けのイメージづくりに専念した。
まず厚生労働省の「健康増進施設」の認定を受けるとともに地域の医療機関を回り、それらの医療機関からの紹介があれば、通常の月会費より低い月5,000円で利用できるという「メディカル会員」を設け、地域の7医療機関と提携した。
また、プロモーションでも徹底して「健康増進・病気予防のための施設であること」を打ち出し、商圏に多い中高齢者を啓発する内容を盛り込んでいった。
徐々に会員が増えると、その後は「口コミ」での入会が増えていく。
同クラブではスイミングに馴染みのない人でも参加できるプログラムを数多く用意し、その前後にスイミングレッスンを組んでいる。
当初は歩くだけのクラスに興味を持てるようにしているのである。
T氏いわく「水が怖いと感じていた人が少しずつ水に慣れ、少しでも泳げるようになった時の感激は子ども以上。そういう感動を味わった人は絶対辞めないし、人にもその体験を話してくれます。」

2年目には会員が2,000名を超え、安定軌道に入った。
ところが2003年10月に同クラブから4㎞のところに大手クラブが約1,000坪の総合施設を出店、この影響を受けて一旦は在籍会員数を落とすことになる。
だが2004年に入り、再び会員数は戻り、T氏はこの業態の競争力に自信を深めた。

~ここまで~

行政との交渉や説得は、難易度レベルが高く、アバター近藤も過去に非常に苦労して、とある認可を勝ち取った経験があります。

その特徴を挙げて見ると、
①提出資料が膨大であり、さらに何回も修正して提出させられることが多い(しかも修正の指摘をまとめてしないので、時間がいたずらに掛かる)、
②担当者は自分の発言に基本、責任を持たないと考えた方が良い、
③その担当者も数年でコロコロ変わるため、差し戻しや一から説明することも多い、
などがあります。

この前提を知っておかないと、イライラすることしばしばですので、まずはこのようなものだということを踏まえて、交渉に当たるのが良いでしょう。
その上で、法が求めている原理・原則に則って、正当な主張を粘り強く続けていくと突破口が見えてくると思います。

お読みいただきありがとうございました。

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