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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論830」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第38号(2008.9.25発行)「顧客をしぼる(商業アドバイザー・小柳剛照」2~※名称等は当時、一部文章省略

元気な家電店

電球一個でもすぐに配達する、というのは当たり前。
お客様に頼まれれば、ペットの面倒から庭の手入れまで、生活に関わるどのような相談にでも応じる親切サービスがあるから、「値段は高くても、あの店から買いたい」というお客様が多いのでしょう。

さて大型家電量販店の粗利益率は、おおむね15%前後かと思われます。
それに対し、同社を含めた地域家電専門店は、25%程度。
もし量販店に対抗するため、値下げ戦略をとったとしたら、粗利益率はぐんと小さくなり、「いくら働いても、手元に利益が残らない」という事態になりかねません。

しかし「でんかのヤマグチ」は、顧客を絞り込み、その代わり粗利益率を確保することを目指しました。
粗利益率の目標は35%に。
その結果、全国チェーンの大型量販店の出店にもびくともしない、強い経営体質が構築されたのでした。

「でんかのヤマグチ」は、東京商工会議所主催の「第5回勇気ある経営大賞」特別賞を受賞しました。
厳しい経営環境の中で、勇気ある挑戦をしている中小企業を顕彰する制度です。
地域に密着した、徹底した外回りサービスなどが高く評価されたものです。
しかも、顧客満足を向上させながら、粗利益率が向上している点は、他の企業にとっても大いに学ぶべき点でしょう。

お客様を選ぶ

小売店も、フィットネスクラブのようなサービス産業も、自社を「お客様から選んでいただく立場」と考えがち。
でも「でんかのヤマグチ」は、数年来店のない方、一度きりの方を顧客名簿から外しました。
つまり、「よく店を利用してくださる、いいお客様に対して、心からサービスできる体制を作ろう」としたものです。
いわば、「お客様を選ぶ」という手法をとったと言えるでしょう。

なお同社は、毎週のようにイベントも実施しています。
それは、顧客へのサービスであると同時に、これから顧客になっていただけるかもしれない、「いいお客様」との出会いのきっかけとしても活用されているものです。
顧客は無理に増やそうとするより、じっくり、絞りながら歩むというほうが今の時代には合っているように思えませんか。

~ここまで~

商売の世界では、「よいお客様はよいお客様を紹介する」と言われており、経験則としても、それは大いに感じるところがあります。

「お客様を選べる」状態を作れることは経営の理想であり、当社の直営店でもそれを目指しておりますが、難易度はやはり高いと言えます。
同業他社に比べ、退会率が低く、有料プログラム受講率や物販購入率も業界水準を相当に上回っているものの、退会者を補充する入会者の経路は、まだ紹介者だけでは満たせず、そこができれば、外部販促は限りなくゼロに近づけられます。

その点では、いまだ発展途上ですので、口コミや紹介だけで、会員数を維持・向上できる運営をこれからも追求していきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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