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4月21日(木):フィットネスクラブ・マネジメント技能検定 インターミディエイト第4章解説⑧

こちらでは「フィットネスクラブマネジメント公式テキスト」の最新版「Vol3」のインターミディエイト(中級)、第4章「営業管理」についての解説を進めています。

前回までは1節の「販売管理」を解説してきましたが、今回から2節の「商品・サービス管理」に入り、フィットネスクラブにおける商品・サービスのマネジメントです。

クラブ運営の現場で品質を維持・向上させていくには体系的な視点やサービスの特性への理解に基づく継続的な取り組みが大切だと思っています。

では、品質マネジメントについて触れた以下、テキストの文面から確認をしていきましょう。

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1、フィットネスクラブの品質マネジメント

フィットネスクラブは設備としてのハード、各種プログラムのソフト、それを提供するヒューマンの要素など、会員へ提供すべき価値、サービスのためにマネジメントすべき点が多岐にわたる。

これらの品質を適正水準に保ち、会員に長くクラブを継続してもらう必要がある。

そのためには品質マネジメントについて体系的な理解をしておくのが望ましい。

品質マネジメントするシステムとして代表的なのは「ISO9001‐2015」の「品質マネジメントシステム」が挙げられる。

ここで言うところの品質マネジメントとは、顧客ごとに異なる品質を求められる製品やサービスを提供するために、方針や目標を設定し、その目標を達成するために活動することを指す。

とりわけポイントになるのは「品質マネジメントの原則」として挙げられている以下、7つの事項である。

・顧客重視:顧客要求を満たし、顧客満足を向上するように努める
・リーダーシップ:目的や目標を一致させ、組織の人々を積極的に参加させる
・人々の積極的参加:能力(力量)ある人が権限を与えられ、積極的に活動する
・プロセスアプローチ:システムをプロセスのつながりとしてマネジメントする
・改善:内外の状況変化に適切に対応するためにシステムを改善する
・客観的事実に基づく意思決定:意思決定の不確かさを少なくするために、データ・情報の分析・評価から意思決定する
・関係性管理:品質保証や顧客満足の向上を継続的に成功させるため、サービスのリソースや利害関係者の関係をマネジメントする

顧客重視の姿勢はもちろんのこと、特にフィットネスクラブの場合はサービスの提供を中心とする現場があるため、前述した7つの項目のなかでも「プロセスアプローチ」や「改善」が大事になり、PDCAサイクルを機能させてサービスの提供価値を維持・向上させていく連続的な取り組みとして理解する必要がある。

冒頭でも記したようにフィットネスクラブが会員へ提供する価値はハード、ソフト、ヒューマンの総体によってなされる。

ハードに関連する設備などは施設管理の第7章、ソフトに類するプログラムはジムやスタジオ、プールの店舗業務に関する第2章、ヒューマン要素は人的管理の第5章や顧客管理の第6章になるが、ここではそれら全体を包含したサービスについて触れる。

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品質マネジメントの原則から敷衍すると「顧客重視の姿勢」は良いサービス、良い現場づくりには不可欠で、なおかつ土台になる要素だと思います。

顧客起点で物事を考えるのか、それとも常に企業やクラブ側の内部の論理が優先されるのか、そこは現場でのありように大きな違いが出てきますからね。

ここは目指すべきクラブ像や企業文化とも密接に関係しますが、良い現場づくりの前提になる部分です。

続く「プロセスアプローチ」は利益や会員数などの定量的なマネジメントで目標達成のためにプロセスをコントロールするのと同じで、サービスのような定性的なマネジメントにおいても目の前の現場を変えるためにはプロセスへのアプローチが求められます。

そのプロセスへのアプローチの仕方としてはテキスト内に出てくる「システムをプロセスのつながりとしてマネジメントする」観点が大事になってきます。

例えばお客様が退会される場合、それは1つの固有の事象に見えるものの、一方でそれは何らかのパターンが生み出している側面もあります。

そのパターンを形成しているのはクラブに埋め込まれた仕組みやオペレーション、体制などのシステム全体です。

そして、こうしたシステムを形成しているのはそのクラブや企業、現場に流れているメンタルモデルがその根幹です。

だからサービスをより良く変えようと思った時には、問題ある事象を個別に対処するだけでなく、それを生むパターンやシステムなど問題の上流まで遡って、その構造を変えていくような考え方、アプローチが必要になってきます。

その他、「改善」の要素は言うまでもなく現場において重要となり、継続的・段階的な改善を積み重ねることで、現場力が養われます。

書籍「現場論」では「保つ」「より良くする」「新しいものを生み出す」の3段階で現場の能力、アウトプットを説明をしていますが、これは階層構造だから低次の保つができていて、はじめて改善に相当するより良くするに至り、その先にイノベーションに当たる新しいものを生み出す力が備わってくる、との考え方です。

同書では「平凡な現場」と「非凡な現場」といった表現で対比がなされていますが、私たちフィットネスクラブのようなサービスの現場においても、強い現場を有していくためには先のような点を踏まえていくのが大事だと思っています。


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