6月1日(木):制度疲労の見直しを

昨日は今週の日経ビジネス(5月29日号)における特集記事「健保沈没」に関連したことを記しましたが、本日もその続きをもう少しばかり。

健康保険組合の現状は約1,400ある健保組合の8割ほどが赤字であるほか、近年は一定数が立ち行かなくなって組合数も減少傾向になっています。

このようになる背景は経済成長の鈍化により財源である労使双方からの保険料が頭打ちになったほか、高齢化は加速の一途で、なおかつ昨今では人生100年時代に向けて65歳以上の高齢者の就業者数も増加傾向になるなど、構造的な問題が大きい状況です。

こうした構造的な問題の改善にあたっては制度設計を見直す必要性が高いと思います。

保健の仕組みは「相互扶助」であり、換言すれば「受益」と「負担」ですが、これらがアンバランスになっている部分の是正でしょう。

仮に負担ばかりが重い世代や属性の人達であれば共助における公平感が薄れて制度自体への不満が募るし、負担なき受益が増せば制度が十分に機能しなくなる通りです。

そうなると是正に際して見直すべきポイントとしては以下のような観点が挙げられます。

1、負担に対しての上限を設ける

2、受益に対する条件を設ける

3、加入に対して条件を設ける

「1」はシンプルに負担の過剰な偏りを無くす意味合いで、「2」は受益に寄っている層への牽制、「3」は「2」と関連した入口部分でのスクリーニングになります。

「2」や「3」について補足をすると喫煙、過度の飲酒、運動しない等の生活習慣が各種疾病リスクを高めるのは周知の事実であるなか、あえてそうした生活を続けて疾病になって医療費を要する人は応分負担があってもおかしくはないし、加入時に条件を設けて最初から生活習慣を良い方向に変えてもらう働きかけもできるだろう、との考え方です。

すぐに仕組みを変えられるものではないでしょうが、制度疲労が生じているのは明らかなので、先送りし過ぎずに着手することも肝要だろうと思います。

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