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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論695」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第24号(2006.5.25発行)「世界の動き~フィットネスクラブの空間設計の行方」3~※名称等は当時、一部文章省略

進化を続けるスタジオ
グループエクササイズの利用者の年齢層が高まり、またその洗練度が増すにつれ、より魅力的かつ効率的でクラスの目的に合致したスタジオを設計する必要性が高まってきている。
ニューメキシコ州アルバカーキーのdrjデザイン社の社長兼チーフ・インテリアデザイナーのデルリアン・ルーカス氏によれば、ヨガ、ピラティス、ジャイロトニクスなど個々の用途に応じた小さなスタジオを多数設置するクラブが増えてきているという。
同氏は「今後こうしたスタジオは、クラスの進行に合わせて自動で室温や照明を調節できる機能を設けたり、竹やコルクなどを使った洗練された内装を施したり、グラフィックデザインでソフトなムードを演出したり、暖炉や水で雰囲気を出したり、サラウンドのオーディオシステムを採り入れたりと、益々カスタム化が進むことでしょう。」と語る。

また同氏は従来の平面的な壁面のグラフィックが、プロジェクターを使った斬新で変化にとんだ演出に取って替わられつつあると指摘する。
このアプローチは様々な演出が可能なため、コスト面でも従来の手法よりも優れている。
同氏は「かつては、スタジオのデザインと言えば、ハイエナジーなエアロビクスやステップ、格闘技のクラスを想定した、パワー溢れるものばかりでした。しかし、現在ではより年齢層が高く特定の目的を持ってクラブに来る会員が増えてきているので、こうした人々を意識してこれまでとは全く異なるタイプの新しいデザインのスタジオを作るケースが増えてきています。」と現在の状況を語る。

ロッカールームのリニューアルが必要な理由
「持ち物をしまい、シャワーを浴び、身だしなみを整え、トイレを使う、というロッカールームの基本機能は不変ですが、今後は、ロッカールームがクラブの差別化をする上で、重要な役割を果たしていくことになるでしょう。」と、コロラド州デンバーを拠点とする設計事務所OLCシニアプリンシパルのドナルド・H・ヴァサーニ氏は語る。
同氏によれば、この差別化を果たすためのアプローチの一つは、温かいお茶や冷たい水を提供したり、温かいボディタオルとスチームしたフェイスタオルを用意したり、より大きなベンチやロッカーを提供するなどアメニティを充実させて、ロッカールームを小さいスパのようにすることであるという。
「シャワーブースは少なくとも120㎝四方で、三方に湯温の調節可能なシャワーヘッドがあり、頭上のシャワーヘッドには幅広く湯量の豊かなものを設置し、ブース内にはベンチと複数の棚があるといいでしょう。」と同氏は語る。

従来のスチームバス、ドライサウナ、ジャグジーという3点セットは今後も引き続き人気が続くだろうが、これからはもっと多様な温浴アイテムが求められるようになるであろう。
温浴アイテムの数は今後増えていき、レイアウトやスタイル、湿度、温度、スチームの種類、エクスペリエンスの質が多様化し、見た目にも質的にもスパに匹敵するようなものが登場することだろう。
温浴アイテムを増やすには、必ずしも沢山の設備を設ける必要はない。
温度や湿度、また演出をコントロールできる設備を作れば、一日の中で変化を持たせることも可能である。
「創造性を発揮すれば可能性は無限大です。ある時はスチームサウナとして使用し、その1時間後にはドライサウナにする、またマッサージやジャグジー、水風呂、冷水シャワーなどを組み合わせれば、温浴設備自体が一つのプログラムとなり、目的地となるでしょう。」と同氏は語る。
導線の観点からは、着替えを素早く済ませたい会員の為に、ロッカールームの基本機能は前方に分かりやすく固め、スパ的な付加設備はロッカールームの後方に配置すべきである。
そしてこれらの設備を取り囲むように、メンバー相互の交流を促進するラウンジエリアを設けるといいだろう。

ヴァサーニ氏は、省エネルギーの流れから、自然光の直接・間接利用と明るい色調の採用が進み、それらにマッチする観葉植物が多用されるようになるだろうと予想する。
またスペース毎、時間帯毎に、明るさに変化を付けるような演出も増え、ロッカールームのエクスペリエンスが向上するだろうとも語る。
また同氏は、自然素材が再び注目をされるようになるとともに、メンテナンスコスト節減へのニーズから、素材の使用方法やコーティングといった面で様々な工夫がされることを予想する。
また、ロッカールームのアメニティの充実が進む中で、家族で使用できるようなスペースを設ける動きも出てくるだろうと予想する。
今後、ロッカールームは、人々がそれを目的にクラブに入会し継続するような場となっていくことでしょう、とヴァサーニ氏は語る。

~ここまで~

15年以上前の記事にも関わらず、遥かに現在の日本の演出よりも多様かつ洗練されたアイデアが示されています。

アバター近藤はユーザーとしても、多数のクラブの会員や体験利用をしてきた中で、体感としてロッカールームの重要性を認識してきました。
それは運動エリアが充実していても、ロッカールーム(スパエリア含む)が貧弱だと一気に評価が下がるからです。

皆様もフィットネスクラブに限らず、スーパー銭湯などで、5秒ほどしか出ないシャワーで何度もプッシュする時、ガッカリした経験はあるのではないでしょうか。
その瞬間に「せこい」と思われてしまった施設に対しての見方が否定的になることを考えますと、ロッカールームの充実はハードを売りにするクラブにとって無視できない要素だと考えます。

お読みいただきありがとうございました。

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