「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論828」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第38号(2008.9.25発行)「世界のトップ25社」2~※名称等は当時、一部文章省略
2007年に話題となった企業
2007年の最も大きな話題は、8月のバリーの連邦破産法11条、いわゆる「チャプター・イレブン」の申請だろう。
僅か2ヶ月後、同社はヘッジファンドのハービンジャー・キャピタル・パートナーズ(アラバマ州バーミンガム)により2.34億ドル(キャッシュ)で買収された。
しかしながら、その前後で同社及び業界全体に様々な影響が及んだ。
4月には、プライベートエクイティのファルコンヘッド・キャピタル(ニューヨーク市)が、バリーがトロントで展開する6店舗を買収し、同社傘下のエクストリーム・フィットネスの店舗へと変換した。
バリーが株式市場から撤退したことで、アナリストたちのクラブ企業に対する見方が冷ややかになり、上場しているクラブ企業2社の株価が低迷した。
2007年のクラブ企業の新規株式上場は皆無であった。
しかし、上に挙げた以外にもいくつかプライベートエクイティ関連で注目すべきディールがあった。
2007年3月にはカナダに14店舗を展開し、4万名の会員を擁するワールドヘルスクラブが、コネチカット州グリニッジを拠点とするプライベートエクイティ、ノースキャッスルパートナーズにより買収された。
同社のマネージングディレクター、ダグ・リーマン氏は「ワールドヘルスクラブは、優良市場でトップに君臨するクラブ企業で、パーソナルトレーニング事業の強みや経営陣の質といった点からも非常に魅力的な企業でした。今後も社会全体の幅広い層がフィットネスやウェルネスに強い関心を持ち続けることが予想されるため、プライベートエクイティからのクラブ業界に対する注目は続くことと思います」と語る。
10月には、ニューヨーク市のプライベートエクイティ、リンカーンシャー・マネジメントがアラスカ州の都市部で17のハイエンドクラブを経営するアラスカクラブを買収した。
また、2008年初には、デンバー州のKSLキャピタルが、サンフランシスコを拠点に9店舗のハイエンド施設を展開し、5万名の会員を擁するウェスタンアスレチック(WAC)を買収した。
1月には、バージニア州マクリーンを拠点とする、ゴールドジムのフランチャイズ企業、タイタンフィットネスが、プライベートエクイティのウェストビューキャピタルパートナーズから資金援助を得て、今後5年間に60店舗をオープンすると計画を発表した。
上場しているクラブ企業2社、ライフタイムフィットネスとタウンスポーツインターナショナルは、2007年度、2008年度第1四半期とも業績は好調であったが、株式市場での評価は得られなかった。
その原因としては、バリーの影響や比較対象企業が少ないため、投資家が投資判断をしにくいことが考えられる。
2007年、ライフタイムフィットネスは10店舗をオープンし、総店舗数を70店舗とし、前年比28%増の6.56億ドルを売り上げた。
タウンスポーツインターナショナルは18店舗をオープンし、総店舗数は167となった。
売上は前年比9%増の4.73億ドルであった。
同社は新CEOとしてアレックス・アリマネスティアヌ氏を迎え、経営陣を刷新した。
このように業績の内容は良かったが、同社の株価は急下降した。
ライフタイムフィットネスの株価は今年4月時点で35ドル付近で推移し、直近52週の最高値65ドルを大きく下回っている。
タウンスポーツは7ドル前後で、やはり直近52週の最高値23ドルからかなり落ち込んでいる。
しかし、今年の第1四半期の業績が明らかになってからは、両社とも株価は回復傾向にある。
2008年以降の見通し
「小規模で専門性を高めたり地域に密着したクラブが今後の成長を牽引していくでしょう」と語るのはノースカロライナ州シャーロッテを拠点とするワチョビア証券のマネージングディレクター、ジョゼフ・ペリグリーニ氏である。
同氏はまた、マーケットがグループトレーニングやより高度なサービスを求める傾向にあることを指摘する。
「スナップフィットネスや、その他の地域密着型のフィットネスセンターはまだまだ成長を続けることでしょう。一方で、最先端のヨガを柱とするヨガワークス、ブリージングルーム、といった専門クラブが、この新しいカテゴリーの覇者となっていくでしょう」。
~ここまで~
米国フィットネス業界は、他の業界同様、M&Aがコンスタントに行われており、それが活性化にも繋がっていると言えます。
日本のフィットネス業界の場合、米国以上に投資家やマーケットから投資対象として見られていなく、今回のパンデミックのような激変期に、調子の悪くなった企業が、同じ業界の大手に買収されていくというケースが以前から多いです。
つまり、積極策というよりは消極策により業界再編が進んでしまうという構図です。
パンデミックから4年が経とうとする現在、その雰囲気はくすぶっており、同様の買収劇が増えていくことが予想されます。
お読みいただきありがとうございました。
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