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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論827」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第38号(2008.9.25発行)「世界のトップ25社」1~※名称等は当時、一部文章省略

1年前のIHRSA世界のトップ25社では、フィットネスクラブ業界にとって2006年は、比較的動きの少ない、安定した年であったと報じた。
主要なM&Aは3件にとどまり、各社とも劇的な成長こそしなかったものの、着実に自社の強みに集中して足元を固めた。
更なる成長に向けて準備を整える、そんな年であった。

2007年も基本的にはこうした流れが続いたと言える。
景気が後退に向かい信用収縮が起きる一方、サブプライム危機がどのように収束していくのかのシナリオも未だ不明確であり、石油価格上昇が経済にもたらす影響についても悲観的な見方が支配的である。

このようなマクロ面での逆境に加え、業界内でも競争の激化が進み、厳しい状況が続いているが、多くのクラブ企業にとって、2007年は悪い年ではなかった、とマネジメントビジョン社(ニューヨーク市を拠点とするクラブ業界のコンサルティング企業)のリック・カロ氏は総括する。

「過去3~5年と比較すれば、ぱっとしない点は否めないものの、業界が置かれている環境を考えれば、各社とも手堅い業績を上げたと思います。ただし、景気後退を踏まえると、楽観視はできません。資金の調達が難しくなってきており、クラブ企業経営陣に対して、業績拡大やコストカットを求める圧力も強まってきます。クラブ企業は、この不景気を機に自社の事業を厳しく見直していかなくてはなりません」。

グローバル25のスター企業

マクロ面での逆境にも関わらず、世界のトップ25社の上位に名を連ねる企業の多くは、非常に力強い業績を上げた。
特に、低コストオペレーションを特徴とする一連の企業は高い成長率を上げ続けている。

売上で見ると、英国を拠点に世界各地でクラブを運営しているフィットネスファーストが、昨年に引き続き首位で、年間10億ドルを稼ぎ出した。
2位は、ダラスを拠点とするクラブコープ社で9.5億ドル、3位は日本のコナミスポーツ&ライフで、8.7億ドルとなっている。
こうした結果は、従来の直営型クラブ企業が繁栄を続けていることを示している。

直営店舗数で見ると、528の直営クラブを運営するフィットネスファーストが首位で、リゾート事業やカントリークラブなど多角的に事業を展開するクラブコープ社は12位(直営店舗数は149)、コナミスポーツは319店舗で6位であった。

前年比収益成長率で見ると、直営型クラブ企業、フランチャイズ企業の双方がそれぞれに業績を伸ばしたことがわかる。
前者の英バージンアクティブは、収益が6.16億ドルで前年比50%増、後者のスナップフィットネスは1900万ドルで280%増であった。
また店舗数増加率においても、英バンナタインフィットネスが74%増の61店舗、スナップフィットネスが133%増の626店舗となった。

アナリストの注目を集めているのは、低価格マーケットの企業である。
中心はフランチャイズ企業であり、スナップフィットネスを例に挙げれば、5年前の17店舗から、2006年は210店舗、2007年は全米48州で626店舗と、急速にビジネスを拡大している。

このセクターの覇者、テキサス州ワコを拠点とするカーブス・インターナショナルは、引き続き首位を独走中である。
同社は昨年新たに562店舗をオープンし、合計10,600店舗で400万名以上の会員を擁している。
同社の売上は前年比44%増の2億ドルであった。

こうした動きに関連してカロ氏は「新規にこの業界への参入を目論む投資家や実業家にとって、フランチャイズモデルは今後、益々魅力的になっていくことでしょう」と語る。

~ここまで~

「歴史は繰り返す」は使い古された格言であるものの、こうしてリーマンショック前の状況を記した記事を見ると、改めてそうだなと感じます。
以前の投稿で、日本ではリーマンショックの少し前から凋落傾向が見て取れたとの記事がありましたが、米国では2007年まで堅調に成長してきた様子が伺えます。

そして、少しずつ景気後退の足音(実際はリーマンショックという途轍もないマイナスインパクトでしたが…)が、忍び寄る中、悲観と楽観が交錯する雰囲気も文面から感じられます。

パンデミックから間もなく4年が経とうとしている現在の米国も、果たしてこのまま景気がリセッションすることなくソフトランディングできるか、同様に悲観と楽観が入り混じっているように思います。

現在の様々な地政学リスクの状況を踏まえると、来年はまた大きな激震が、日本及び米国フィットネス業界を揺るがすのではないかと内心、不安が募る方も多いことでしょう。
それにしても、当時は日本企業が3位に入っていたことを考えると驚きと残念な気持ちで一杯にもなります。

お読みいただきありがとうございました。

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