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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論430」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第7号(2003.9.25発行)「業態の研究」24~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ業態の分析

(5)パブリック系のフィットネスクラブ(ワンコイン型時間制コンビニエンスクラブ)

強みの源泉

さらにもう1つの強みとして、ローコスト出店・ローコスト運営を行いながらも、A・B1つのスタジオでたっぷりとプログラムを提供したり、ジムでもきちんとトレーナーがお客様をフォローしたりするなどして、ノンサービスのクラブに陥っていないことが挙げられる。

ジョイフィットの利用者のほとんどがフィットネス初心者であり、その7~8割がスタジオプログラムに参加していることなどからして、これはたいへん重要なことと思える。

ではなぜ一定水準のサービスを提供しながらローコスト運営を行うことができるのか。

それはあらゆる経費項目を変動費化しているからである。

これはスタジオインストラクターも例外ではない。

「ジョイフィット」のスタジオインストラクターは1クラス毎の参加客数に応じてレッスンフィーが決まる仕組みになっている。

また利用者のおよそ8割は時間・利用料制の会員種別であるが、このことのメリットの1つとして、シャワーの機数を少なくできることや水道光熱費を抑えられることがある。

利用者は好みのプログラムを受けて、すぐにプリペイドカード(※「ジョイフィット」では100円単位で入金できるプリペイドカードを発行している)を退館ゲートに差し入れて帰っていく。

利用者の平均的な滞在時間は1時間~1時間半程度(金額にして500~600円程度)と短い。

運営上の留意点

商品・サービスの品質を維持させながらローコストマネジメントを貫くことが大切となるが、とりわけ重要となるのは前者で特に次の3点がポイントとなる。

①接客応対

一般的な接客対応はもちろんだが、フィットネス初心者にきちんとトレーニングを継続していただけるよう、都度ポイントをついた応対ができる能力をジムスタッフが身に付けること。

②クレンリネス

お客様が不快感を持たないように文字通り、清潔さを保つこと。

低料金のクラブだからといってクレンリネスを多少とも疎かにするとすぐに売上に響く。

③プログラムの充実

スタジオでのグループエクササイズプログラムが看板商品となるため、ここを充実させ顧客を常に惹き付け続けること。

~ここまで~

前回までで、この事業モデルの難点を解説していきましたが、記載されている運営上の留意点にも無理があることが分かります。

まず、ローコスト経営にした場合、人件費抑制のため、恐らくジムに社員トレーナーが立つことはほとんど無く、指導面でフィットネス初心者を定着させられるレベルの接客応対力を提供するには限界があると言えます。

またクレンリネス面でも清掃スタッフを別雇用できないことで、安定的に清潔さを担保することもスタッフ巡回だけでは物理的に難しいでしょう。

そして看板商品とされるプログラムについても、参加数連動のレッスンフィーでは、高額フィーを得られやすい優秀なインストラクターほど固定フィーの他クラブを選ぶことになると思われます。

つまり、理想はあって良いものの、仕組み上、実現不可能な方針を掲げることは、現場を苦しめるだけであり、事業設計上の不具合であると現在は評価できます。

もちろん当時、新しいビジネスモデルを創出し、初期登録者を増やすことに成功した努力や結果を否定するものではありませんが、歴史的には成功モデルにはなり得なかったという総評であると考えます。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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