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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論844」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第41号(2009.3.25発行)「事業存続のための4つの指針ー経済の荒波を乗り切るクラブ運営のヒント」2~※名称等は当時、一部文章省略

2.会員の記念日を演出する

カンザス州オーバーランドのプレーリー・ライフ・フィットネスのフィットネスディレクター、マット・テリー氏は、現在の経済危機を逆手にとり、これをマーケティング・キャンペーンにすることに成功した。
「今は金融市場に投資する時期ではありません。こんなときにこそ自分自身に投資しましょう」というのが同クラブの会員向けキャンペーンの謳い文句である。
同クラブがこのキャンペーンで提供するパッケージには、マッサージやパーソナルトレーニングが含まれ、金融危機の中でストレスを抱える会員に好評を博している。

この「自分自身への投資」キャンペーンと並行して開始されたのが「バースデーキャンペーン」である。
誕生月になると、会員にクラブから「90ドル相当のバースデーギフトを用意してお待ちしています」との電話が掛かってくる。
このギフトパッケージには、フィットネス診断とパーソナルトレーニングが含まれている。
このキャンペーンの導入初月では、200本の電話を84名の会員が受け、12名がギフトを行使し、その中の5名が600ドル相当のパーソナルトレーニングを追加購入した。
「まだ実施後1ヶ月目のデータしかありませんが、僅かな努力が3000ドルもの売上増につながりました。さらに会員の間では、バースデーギフトの電話はあった?というような会話が広がっており、会員維持のプログラムとしても非常に大きな手応えを感じています」と同氏は語る。

3.投資効果を強調する

経済危機をマーケティングメッセージに取り込んでいるクラブは他にもある。
イリノイ州バーリントンのグッド・シェパード病院ヘルス・アンド・フィットネス・センターのロバート・バスラー氏は、22の競合クラブがひしめく中で、同氏のクラブが飛び抜けた業績を上げている理由について以下のように語っている。
「我々のクラブにはプールもテニスもありませんし、16歳未満にはご利用いただけません。もっと大きなクラブは他にあります。我々は医療サービスに注力することで差別化を図りました。もちろん病院の関連施設であるということで、有利な立場にあることは確かですが、我々が実施したマーケティング・キャンペーンが大きな成功要因だと考えています」。
彼らのキャンペーンには「健康への投資は優れた投資」「自分の健康のために、1日コーヒー1杯分の投資をしよう。健康を諦めないで」といったキャッチコピーが並び、消費者の心を掴むことに成功している。

もちろん、このコピーだけで成功したわけではない。
各種のキャンペーンとの相乗効果が結果へと繋がった。
昨年5月、同氏は「会員感謝ウィーク」と称して、同月中に1週間利用可能なゲストパスを発行した。
134のパスが利用され、うち22名の新規入会へと繋がった。
同氏は、当月の新規入会の23%がこのキャンペーンからもたらされたと推測する。
9月には「トレード・イン」と称して、入会希望者が家で利用していないフィットネス機器を持ち込んだ場合、それを400ドル相当のクラブ利用料に充てられるようにする、というキャンペーンを実施した。
このキャンペーンは92名の新規入会へと繋がったうえ、地元新聞2紙にも取り上げられて、広報の観点からも非常に大きな成功を収めた。

~ここまで~

「健康への投資は優れた投資」というメッセージは、「健康習慣の実践」を標榜している当社にとって、強く主張したい文言ですが、日本人にはあまりフックが掛かりづらいとこれまでの経験で感じます。

現在、政府など積極的に金融面での投資活動を推進しているものの、まだまだ日本人には「投資」というワード自体に馴染みないことが影響しているのかもしれませんし、米国と比べて、健康に関する深刻度が物心両面で低い傾向であることも影響しているのかもしれません。

そう考えますと、今のところ日本では、記事で紹介された「トレード・イン」のようなキャンペーンの方が、未利用者層は動きやすいのではないかと思いました。

お読みいただきありがとうございました。

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