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感情の記憶

「イタタタタタタタ」

夜中に急に術後の傷口が痛み始める。

2週間前に、腹腔鏡の手術をし傷口の痛みも随分落ち着き始めてきたな
と思っていたのに・・・。
なぜ?急に痛みがきつくなったの?

眠気と傷口の痛みと葛藤しながら、ぼんやりと考える。

そういえば!!
台風7号が関東接近中。
これって関係あるかも。
眠い目をこすりながら、ネットで検索してみる。

「傷口の痛み」「台風の影響」

そうしたら出てきた。
「術後の傷口の痛みが台風などの気象条件、特に気圧の変化と関連
することがあります。

やっぱり・・・(>_<)

気圧の変化で、痛みが復活している(T_T)

傷口の痛みで眠れない夜を過ごしていた時に、ふと高校生の時のバイク事故を思い出していた。

当時、最寄りの駅までバイク通学が認められていた私は、いつものように
友達とバイクで帰宅途中、急にふらっと目眩を感じた。
次の瞬間、身体が右側にふわりと倒れたな~と思っていたら

ガリガリガリ


鈍い音と同時に足に火がついたような激痛が走る。

スクーターのステップから足が飛び出し、歩道の段差に左足を
巻き込まれるように数メートル走ってしまっていた。

左足首の腱が切れ骨が見えている状態で、足に熱いという痛みを感じながら、頭では母の顔が浮かび・・・。
助けに来てくれた人には、「すいません。すいません」と謝っている私。

「あぁ~怒られる・・・。どうしよう、どうしよう」
その時は足の痛みよりも、母に怒られる。
その思いだけが頭の中でグルグル回っていた。

救急車で運ばれた病院で手術をし、当日は母が同じ部屋に泊まってくれた。
初めて自分の為に、母が付き添ってくれている。
足に痛みを感じながらも同時にうれしさもあったように思う。
ただ、その思いも一瞬だけ。

麻酔が切れて、ビリビリと足に痛みが走り、泣きながら母に助けを求める。「足が痛い!足が痛い!!」母に何度訴えても、返事は帰って来ず。
母は私の横に敷いた布団の上でイビキを掻いて寝ているだけ。
何度も何度も「痛い!痛い!!」
泣いて訴えても母が起きることはなく・・・。

自力で、ナースコールをさがし、「ビー」ブザーを押す。
看護師に鎮痛剤を打ってもらい、やっと眠りにつく。
その間も母は何ごともなかったように寝続けていた。

そんな数十年前のことを、痛みと共に思い出して苦笑いする朝。

そういえば、私が中学生の時に虫垂炎で手術して時は、祖母が1週間
泊まりがけで付き添ってくれたっけ。
母は退院の時に来ただけだったかも。
だから、事故して入院したときに、母が自分の為に付き添ってくれたのが
とてもうれしかったんだと思ったんだよな・・・。
でも、その喜びはほんの一瞬で諦めに変わってしまったんだと。。

感情がその時の出来事を覚えているって言うけれど、私にとっての苦い思い出は時間が経過しても優しい思い出には上書きはしてくれない。

NOTEに綴りながら、私はずっと母の事を求めていたのだな。
きっと、自分に振り向いてほしかった、自分の事に気をかけてほしかった。

そんな過去の記憶を思い出しながら、私は母に対してもっと声を上げれば良かったのかもしれないとも思う。
「私を見て、私はここにいるよ」って・・・。

「たられば」でしかないことだけど、
声を上げていれば何かが変わったのだろうか?

そう考えている私を、私自身がギュッとハグして
「あのときは辛かったね。怪我して痛くて痛くて・・・
声を上げているのに、聞いてもらえなくて、悲しかったね」
思い出した自分に寄り添ってあげる。
自分をしっかりと労ってあげる。よく頑張ってきたね。

その当時の辛い悲しい出来事は変わる事はないけど
その時の感情は今なら上書きできる。

「今、ここ」を生きている自分の感情を大切にしよう。

自分のことは、自分で癒やすことができるから。


#感情 #痛みの記憶 #母の記憶
#今ここ   #感情を大切に




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