異常筋緊張
おはようございます。理学療法士です。
先日、北京オリンピックで、スキージャンプで高梨選手が失格になった出来事。落ち込む彼女に声をかけていたドイツの方。ドイツチームのスタッフである理学療法士との記事が…
同じ資格を持つ方の活動、刺激になりますね。
今日は筋緊張について書きます。
筋緊張
むずかしい話かもしれませんが、ちょっと書きますね。
筋肉が緊張しているという話。緊張とは、マイナスイメージがあります?
どんな筋肉でもある程度の緊張は必要で、病気で緊張が落ちすぎることもあるんです。”程よい緊張でない”場合、異常筋緊張ということになるんじゃないかな。言葉の定義を再確認します。
よく使うワードですよね。
臨床で。脳血管障害の後遺症で、片麻痺を呈するクライアントのアプローチに使うワードです。
この場合、中枢神経(上位ニューロン)ある脳の損傷によって、筋肉を支配するαニューロン(下位ニューロン)への刺激が亢進し、コントロールを失うということ。中枢神経の不具合によっての”異常筋緊張”ですね。
もし、中枢神経系の損傷ではなく、「痛みを起こさない」ために異常に筋肉を収縮させることで、日常をやり過ごそうとする逃避性を動作習慣が悪さしていることもあるという話。
膝関節 内側側副靭帯
今回の症例です。膝関節の内側、内側側副靭帯を損傷して症例です。
解剖学的なことを確認しておきます。
膝の内側を安定させる靭帯。すぐそばを内側ハムストリングスの腱が通っていることがわかります。
鵞足炎はスポーツなどでのオーバーユースで起きることがあります。ハムストリングス(縫工筋、薄筋、半腱様筋、半膜様筋腱)が束になり脛骨に付着する部分です。鵞足には、滑液包があり、層状に重なる組織の緩衝材としての役割を果たしているようです。内側側副靭帯損傷と同時に鵞足の炎症を起こした選手も経験しました。
「ブヨっとなる」もも裏にチカラを入れると鵞足にそんな感じがあったようです。滑液包が不安定になっているのかもしれませんね。確認できないですが…
今回の症例
サッカーをしていて、内側側副靭帯を損傷しました。
順調に回復しています。
外反ストレステストで靭帯の痛みがまだまだ誘発されます。
ストレスをかけたときに、しっかり止まる感じ(end feel)はリジット。
靭帯の機能を保持できているということですね。
治癒過程で、組織の回復とともに、その部位にかかるストレスで痛みを誘発するこのテストで靭帯の修復度合いを評価しています。
あとは動作時痛でしょうか。
痛みがある動作は靭帯の修復を阻害する可能性も考えられますので。
痛みは、嫌な刺激なので、痛みのないように動くことは自然なことですね。
「かばっている」そんな風に見える歩き方もよくもかけますね。
足底をみてみましょう。
形状が違うと思いません。
医学的な制限(たとえば荷重制限など)があり、代償することはあるにしても、全荷重を許可されたあとに、このようにアライメント(骨配列)を崩して動作を行うことはよくあります。
足の裏から読み取れることは、外側の足部は硬さを維持しているような使い方をしているのかなということ。
歩行をみると、右脚立脚期に早期に左側への重心移動がみてとれます。今回は、動画で示すことできませんが。
これから仮説ですが。
「内側側副靭帯を避けるために、右下肢で支える相で代償的に痛みの出ない動作をしている。」
とすると、修復過程の靭帯を少し補助してやることが、代償的な動作を少なくすることができるかも。
そこで…
自覚的にも楽らしいです。歩いてみると、立脚後期を比較すると、
歩幅も広くなっているし、上肢もリラックスしているようにみえます。
日常生活で損傷靭帯への負荷が高いのであれば、適切な補助をして、異常筋緊張を起こさない工夫をしてみました。
異常ということは、正常があるはず。でも、どの程度の緊張が”適切”な緊張か、わからない部分です。個人的には、そこは選手とともに共有し決めていくことかと思います。
しばらくテープを使用して、ハムストリングスの緊張が落ちてくるか、”異常筋緊張”の改善が図れるか、セラピストの主観ではありますが、その客観的に評価した現象の変化を追いかけてみたいと思います。もちろん選手に「どんな感じ?」選手の主観も大事ですけどね!