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退職するといった彼を一度は許せたけどやっぱり許せなくなった話

「ちょっと話があるんですけど」いつもトーンが低めの彼。
今日は、もう一つ低い。
彼は同じ会社で働く同僚。私が彼の上司になっている。
「じつは……離婚したんです。」

「まじか……仕事やめるっていうかと思ったわ」
「いいよ仕事辞めるって言われるより。おれも離婚してるし。」
といったの会話がなされたのが去年の5月

彼は、三重の出身で仕事場は愛知県(ここ) 妻の実家が愛知県
で彼はますおさん状態でした。でも、離婚したということは、ここに住む必要がなくなったということです。

その彼が11月に、「ちょっと話があるんですけど」と言ってきました。離婚のときよりずいぶん軽く。
「会社を辞めようと思っています」といいました。
昨年一驚いた出来事です。44歳の初産の妻が妊娠、出産したことよりもおどろきました。

「おっせーわ」わたしが彼に言ったことばです。
いつもながらの決断の遅さにいらっとしてしまいました。
というのは、離婚してから半年がたっています。もう家族は別のこことして仕事を続けるんだなと思っていました。
そして、その前提で私が先に辞め彼を後任に育てようと思っていたからです。
今後の私の人生が変わるし、現状維持でも仕事の量が2倍になります。

なによりも、目にかけていたからです。

「ちょっと、のみに行こう」と彼が入社して初めて飲みに誘いました。
遅いのはこっちも一緒。
こうなったら、ひきとめるの無理ですよね。ひごろののみゅにケーションもとれていません。

寿司屋に行きました。
取引先の寿司屋さんです。
かれは私の話をすしを食べるのをやめて聞いてくれました。うにがすこし潤いをなくすくらい一生懸命聞いてくれました。が、「やっぱ無理です。」といいました。若干くいぎみに。
「早く話し終わらないかな?」とでも思っていたのでしょうか。

そのうにのかわきは偽物か?

でも、もういいかとおもいました。初めて本音を聞きましたし。
「この仕事向いてないと思います」とか「体がしんどい」ともいわれました。
しょうがないか。

パートさんに朝礼で彼が辞めることを伝えます。
朝からしんみりしてもいけません。

「彼は会社をやめて海賊王になることにしたそうです」と退職の理由を伝える私。きょとんとしているパートさん。
宙に舞うおびただしい?? 。
みかねた48歳の最若手パートさんが「フィッシュさん、みんなしらないよたぶん(ワンピース)」

そうだった、パートさんみんな55歳超えてた。
こういう私の気の利かないところが彼が辞めていくほんとの理由なのかもしれない……

とは思わなかった。

「こら、お前が会社やめるっていうから、おれが滑っただろ!」
といった。「いや、いや」と彼はいった。
「いやいやじゃねーだろ、どうしてくれるんだ!」
「恥ずかしいじゃねーか」
「はあ、すいません」

おそらくめんどくさくなったのでしょう。

さて、彼の最後の出社の日、机のかたずけをし、掃除して帰りますといった。「そう、ありがとな」
「はいありがとうございました」
「じゃあな」

すっきりした気持ちで靴を履くとかれが、出口まできて
「フィッシュさん、お世話になりました。」
そのくだり、またやるのか。
「おう、じゃあな」
いつも、タイミングが変。
でもなんか、なみだがでてきました。

一生彼が退職して1か月。懸命に彼がつくった引き継ぎ書類のおかげでなんとかまわすことができました。1か月は困らないだけの在庫。きれいに整理されたフォルダ。

なんかありがとう。もっといろいろ話したかったな。
昨日はいってきた新人のあいさつを聞きながら彼のことを思い出しました。

2020/2/2




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