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「資本主義と奴隷制」エリック・ウィリアムズ ちくま学芸文庫

【目次】
第1章 黒人奴隷制の起源
第2章 黒人奴隷貿易の発展
第3章 イギリスの商業と三角貿易
第4章 西インド諸島勢力
第5章 イギリスの産業と三角貿易
第6章 アメリカ革命
第7章 イギリス資本主義の発展
第8章 新産業体制
第9章 イギリス資本主義と西インド諸島
第10章  <実業界>と奴隷制
第11章  <聖人>と奴隷制
第12章  奴隷と奴隷制
第13章  結論

【趣旨】
・植民地運営をする上で労働力が必要であった。
・インディアン、白人季節労働者では十分な労働に耐えられなかった。
・黒人奴隷は安価・労働できる体力があり植民地経営に必要な労働力であった。
・イギリスの植民地では比較生産性で負けた。
・イギリス本国では産業革命が起こり、賃労働を行う労働者が必要となってきた。
・農業は季節的に集中的に大量に作業をする労働が求められる(体力が必要)。
・工業は定時的に作業をし続ける必要がある(組織的に労働を行う)(需要に伴い柔軟に労働力を調達できることが理想)。
・イギリス本国では工業を関税低く輸出したい。
・イギリス植民地では他国からの農産品の輸入に高い関税をかけてほしい(保護貿易)。
・初期植民地経営でお金を貯え、貴族となった議員が保護貿易と奴隷制を維持するロビー活動を行う。
・産業革命で勃興しつつある工場経営者は「人権を盾」に民衆に奴隷制廃止(植民地経営に打撃を与え)、植民地経営者の議会からの排除を訴え、関税を低く、自由貿易の推進をすすめる。
・奴隷制の廃止は推進されたが、奴隷の人権の回復は宗教界も実業界も求めていなかった。
・奴隷解放は植民地経営について打撃を与えたが、奴隷の人権の回復に取り組む主体者はいなかった。
・奴隷制の制度は廃止されたが実態として奴隷に同等の環境は与えられなかった。
・現在もその流れは残っている。

【所感】
・奴隷の人権は政争の種だった。
・イギリスのグダグダ感(自身の利益誘導)は民主主義が正常に機能している結果である。他の事象でイギリスが起こしている他国に干渉した問題も同じ現象であるものと思われる。
・イギリスという国であっても意見の相違があり、この国はこの考え方なのだとは言えない。そして、その時の結論の積み重ねで進むが、国としての一貫性はとれない場合がある。
・民衆の支持を得るために情緒的に訴えられる争点を利用する(誰が考えてもこっちのほうが正義だよね)。背景となる狙いは別にある。
・どこに責任を負っているのかで意見が異なる。
・それぞれが背景をもっている中で、有利に物事を運ぶために、相手にダメージを与える、もしくは自陣に支持を集めるため、副次的な事象をもっともらしく話題を提示していく。
・その提示した内容が思ってもいない結果を生むという歴史あるある。

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