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余分に食べた炭水化物が脂肪に変わるなんてことはありません! 炭水化物に対する間違った知識

炭水化物を食べ過ぎたら、食べ過ぎた分脂肪に変わって太るって思っていませんか?これは現実的に考えて起こりません!

1.結論

「食事の余分な炭水化物は消化されずに脂肪へと変わって体脂肪としてたまってしまう。」という考えが広まっていますが、これは現実的にまず起こりません。

炭水化物がそのまま脂肪に変わるのではなく、間接的な理由が原因で体脂肪として蓄積されてしまいます。

2.DNLについて

糖質が脂質に変換される反応のことをDNL(de novo lipogenesis)と言います。

この反応が多く取り上げられて「余分な炭水化物は体脂肪になってしまうので、炭水化物はあまり食べないようにしましょう。」という考えが広まったのだと思います。

この反応自体については間違いではありませんが、脂肪に変わる部分で誤解があります。

3.炭水化物が脂肪に変わるとき

まず、炭水化物(糖質)が脂質に変換される反応DNLが起きるときは、摂取カロリーが消費カロリーを上回っているオーバーカロリーの状態です。

ちゃんとカロリーを抑えている方であれば、炭水化物が脂肪に変わってしまうような心配をする必要はありません。

そして、DNLについて調べた研究があります。

内容としては、数日間、炭水化物を制限して血液中や筋肉中のグリコーゲンを枯渇状態にした後、続く数日間はたくさん炭水化物を摂ってグリコーゲンをいっぱいの状態=飽和状態にする。

この食事を14日間にわたって行い、グリコーゲンの飽和状態とDNLの反応を調べました。

結果として、「摂取カロリーの方が上回っているオーバーカロリーの状態では、4日間続けて炭水化物を775 g以上食べるとグリコーゲンが飽和状態になって、DNLの反応が起きる。しかし、炭水化物を脂質に変換するDNLの変換率は約32%と、低いものであった。」という結果が出ています。

炭水化物775 gは、白米15杯ほどです!

1日に白米15杯を4日間続けて食べるということはまず無いですし、現実的ではありません。

よって、炭水化物を食べた時に、余分な炭水化物が体脂肪として蓄積されるという考え方は、一般の方では当てはまらないということになります。


では、なぜ炭水化物をたくさん食べたときに太ってしまったと思うのでしょうか?

・オーバーカロリーの状態で炭水化物をたくさん食べた時、炭水化物は優先的に消費され、脂肪の分解と燃焼の働きが低下します。

つまり、食べた炭水化物が脂肪に変わる訳ではなく、炭水化物が優先的に消費される結果、食べた脂質がそのまま体脂肪に変わるということです。

・これはタンパク質でも同じことが言えて、オーバーカロリーの状態でタンパク質をたくさん食べた時、タンパク質が優先的に消費されて、炭水化物と脂肪の分解と燃焼の働きが低下します。

つまり「炭水化物をたくさん食べたから脂肪に変わって太ってしまった。」というのではなく、炭水化物・タンパク質・脂質のどれだと言うことに関係なく、ただ単に食べ過ぎでカロリーがオーバーしたから太ってしまうということです。

これを聞くと「炭水化物、もしくはタンパク質の量を減らせば、脂肪の分解と燃焼の働きが高まって痩せるのではないか?」と思う方もいるでしょうが、極端に栄養素が偏ってしまったら、摂食障害や自律神経失調症のような精神疾患になりかねないので絶対にやめましょう!何事もバランス良く食事することが大切です。

そして、脂質を全く食べない場合でも炭水化物が脂質に変換される反応が起きることに注意が必要です!

脂質の摂取量が総カロリーの10%を下回ると、DNLの変換率が高まってしまうことが分かっています。

4.まとめ

・アンダーカロリーの状態では炭水化物が脂肪に変換されるDNLの反応は起きない。

・オーバーカロリーの状態では、4日間続けて炭水化物を775 g以上(白米15杯ほど)食べるとDNLが起きるが、全く現実的ではないので、一般の方が心配する必要はない。

・炭水化物の食べ過ぎで太ってしまったと感じるのは、炭水化物の消費が優先的になり、脂肪の分解と燃焼の働きが低下したために食べた脂質がそのまま体脂肪になってしまったから。栄養素に限らず、カロリーがオーバーすれば太ってしまいます。

・総カロリーの10%以下の脂質の摂取量はDNLの変換率を上げてしまうので注意が必要。

・どの栄養素に限らず、低炭水化物ダイエットや低脂質などの極端に偏った食事は、摂食障害や精神疾患になりかねないので絶対にやめましょう!

【参考文献】
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10365981
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3165600

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