見出し画像

玄米を食べても白米とダイエット効果は変わらない!?科学的研究で明らかになったこと

白米を玄米に変えた方が痩せやすくなると思っていませんか?
玄米にしたからと言って痩せるなんてことはありません!
もっと意識しないといけないことがありますよ!!


【要約】

玄米は白米よりも血糖値の上昇が緩やかで脂肪が付きにくく、カロリーも低いからダイエットをしていく上で白米を玄米に変えた方が良い、という考えが浸透していますが、実際はダイエットで白米と玄米、どっちを食べてもいいです。

白米と玄米のカロリーはほとんど変わりませし、GI値の低い玄米を選んで食べて血糖値の急上昇を抑えても、結局のところは1日のカロリー摂取量がオーバーしてしまえば玄米を食べていても体重・体脂肪は落ちません。

1.結論

「玄米は白米よりも血糖値の上昇が緩やかで脂肪が付きにくく、カロリーも低いからダイエットをしていく上で白米を玄米に変えた方が良い!」という考えは当たり前のようになっていますが、果たして本当にダイエットで白米を玄米に変えなければいけないのでしょうか?

白米を玄米に変えたから痩せるということはありません。確かに、血糖値の上昇を数値化したGI値は玄米の方が低く、栄養素も良いですが、GI値が低い食材を食べているからと言ってカロリーオーバーすれば痩せることはないですし、玄米にはフィチン酸というミネラルの吸収を妨げてしまう物質が入っています。

GI値が高い低いに関わらず、カロリー収支をマイナスにしていれば体重は落ちますし、玄米に含まれている栄養素も野菜などをしっかりと食べていれば十分に摂取することができます。

玄米の風味や味が嫌いな人は白米を食べても大丈夫ですし、玄米に変えても平気な人は玄米を食べても大丈夫です。臨機応変に食事管理はしましょう!

2.白米と玄米の違い

玄米は稲のもみからもみ殻を取った状態であり、これを精白したのが白米です。精白していない玄米の方がビタミンやミネラル、食物繊維が豊富であり、白米よりも栄養価が高く健康的であるとされています。

そして、玄米は血糖値がどのくらい上昇しやすいのかを数値化した『GI値』が白米よりも低いため、血糖値の急上昇を抑えることができ、インスリンの分泌を抑えることで白米を食べるときよりも脂肪が付きにくいと言われています。

また、玄米の方がカロリーが低いのでダイエットを成功させるには白米を玄米に変えた方が良いと言われてきています。

3.本当に玄米の方がGI値が低く、カロリーも低いから痩せやすいのか?

世間一般で、白米よりも玄米を食べた方が痩せやすいと言われている理屈は次の通りかと思われます。

①玄米の方が、血糖値の上昇度合を数値化した『GI値』が低い。
さらにカロリーも玄米の方が低い。

②玄米のGI値が低いことで、食後の血糖値の上昇が緩やかになり、血糖値を下げる作用がある『インスリン』というホルモンの過分泌を抑えることができる。

③インスリンには「脂肪細胞を合成する・脂肪細胞の分解を抑制する」2つの働きがあるので、インスリンの分泌を少なくすれば体脂肪も作られず、痩せやすい身体になることができる。

④これらから、インスリンの分泌を抑えるためにGI値の低い玄米を食べよう!

先に結論から言いますと、玄米と白米でカロリーはほとんど変わりませんし、GI値が低いからと言って痩せやすいなんてこともありません。

●まず、カロリーについてですが、白米と玄米とではカロリーに差はほとんどありません。

(白米1膳 160 gあたり269 kcal 、玄米1膳 160 gあたり264 kcal)
米の品種などによって若干変化はあるでしょうが、両者のカロリーで差がないことに変わりはありません。

そしてGI値についてです。

GI値について調べられた研究結果の論文はいくつかありますが、今回はGI値と体重減少について調べられた研究を紹介します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
2005年の研究で、「肥満の男女において、低GI値とカロリーを低く設定した食事が高GI値よりも持続的な体重減少と代謝改善をもたらす。」と仮説を立てて対照研究をしました。[1]

この研究は全部で36週間という研究結果に見込みのある期間を設定し、3つのグループが並行して行われる試験として計画されました。

29人の被験者は、以下の3つの設定の異なる低カロリー食のうち、1つをランダムに割り当てられています。

①高GI値食:GI値63/タンパク質15% /炭水化物60%/脂質25%/食物繊維9.1 g
②低GI値食:GI値33/タンパク質15% /炭水化物60%/脂質25%/食物繊維16.7 g
③高脂質食:GI値59/タンパク質15% /炭水化物40%/脂質45%/食物繊維8.6 g

また、この研究は0~12週間目を食事供給期、12~36週間目を自由生活期としています。
・食事供給期では、被検者は個別に研究センターからのカロリー制限された食事を食べており、供給された食事以外は食べないように管理されていました。
12週間の食事供給期の1日のカロリーレベルは1883±13.8 kcalでした。

・自由生活期では、三大栄養素などの食事設定の割り当ては維持されていましたが、被験者自身で食事を用意して過ごしていました。

実験開始から12週間後の結果は、
①高GI値食:-9.3±1.3 kg/体脂肪-2.8±0.7%
②低GI値食:-9.95±1.4 kg/体脂肪-2.9±0.4%
③高脂質食:-8.4±1.5 kg/体脂肪-2.5±0.8%

12週間後の時点での結果としては、高GI値食のグループと低GI値食のグループの両者で体重の減少に有意な差はありませんでした。
インスリン感受性に関しては、12週間後では低GI値食のグループのほうが改善していました。

そして、自由生活期を含んだ36週間後では、3つのグループで体重減少のスコアは維持されていました。(12~36週間目での体重減少の幅)
①高GI値食:-1.6±1.9 kg
②低GI値食:-1.8±1.9 kg
③高脂質食:-1.1±1.5 kg

さらに、36週間後の結果として、体重減少の改善のほかにインスリン感受性も3つのグループで改善が観られ、体組成にも有意な差はありませんでした。
この研究結果から分かる通り、36週間という長い期間の間にGI値の高い食事(例えば白米)をしようがGI値の低い食事(例えば玄米)をしようが、体重の減少に差がないことが分かります。

最終的にこの実験を行った研究者たちは、『食事の組成(GI値)に関係なく、カロリー制限で体重が減少されていくことを示唆しており、GI値を変えて得られるメリットについては区別ができる程の差はない。』と結論付けています。

ダイエットをしていく中で、GI値の低い玄米を食べてもGI値の高い白米を食べても、1日のカロリー摂取量がオーバーしていなければ、体重の減少に変わりはないということが示されました。

4.栄養素での違い

白米よりも玄米の方が栄養価や食物繊維が豊富なことは間違いありません。
ただし、玄米にも栄養素でデメリットがあり、食べ過ぎてしまうと健康に悪影響を与えてしまう可能性があります。

そのデメリットとは、玄米には『フィチン酸』が含まれているということです。

フィチン酸は金属イオンと強く結びつく『キレート作用』という働きが強く、多くの金属イオンと強く結びつくことが分かっています。

このキレート作用によって、体内の鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウムのミネラルと結びつくことで「フィチン酸塩」となってしまい、身体への吸収を妨げてしまう可能性があります。

よって、いくら玄米が健康的だからと言って、フィチン酸を含んでいる玄米を食べ過ぎてしまうと身体でミネラルを効率よく吸収できなくなってしまい、ミネラル不足になることも考えられます。

 5.総論

ダイエットでは白米よりもカロリーとGI値の低い玄米に変えるべきだという考えは妥当ではなく、GI値よりも『1日のカロリー摂取量がオーバーしないように気を付ける』ことに意識を向けることの方が重要です。

玄米の味や風味が苦手な人は無理に食べる必要はないですし、白米を食べられないことが苦でなければ玄米でも構わないでしょう。

玄米にするべきなのかではなく、米と一緒にタンパク質や野菜など、何を一緒に食べるのかが大切です。

【参考文献】
1 .https://academic.oup.com/jn/article/135/10/2387/4669838
“Reduced glycemic index and glycemic load diets do not increase the effects of energy restriction on weight loss and insulin sensitivity in obese men and women.”

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?