見出し画像

サッカー選手トレーニング Part 2 ~加速を極める~

サッカーの選手のスプリントトレーニングを紐解いていくと、サッカーにおけるスプリントはゼロからイチに加速する局面の方が30m以上走る局面より圧倒的に多いことがわかります。もちろん、スプリンターのように30m以上スプリントを効率的にできる能力も必要です。ここで伝えたいのは、サッカーの選手のポジションによってどの動作が試合では多く行われるか優先度を定めましょうということです。よって、サッカーは加速する局面、減速する局面が必然的に多くなる球技スポーツですので、この2つをトレーニングする必要性があるのです。

前回のNoteでは、股関節主導で走動作を行う必要があるということを記述しました。

今回は、加速動作だけに焦点をあてたいと思います。

まず、トップスプリンターと球技kあそくを比較します。

もちろん、球技選手は方向転換や相手ありきでのスポーツなので純粋に加速をするシチュエーションは少ないのでここでは動作(キネマティクス)という観点からの比較です。一つ大きな違いとしては、ストライドの大きさが言えます。一歩で移動できる距離が大きいということが伺えます。では、それを達成するためには、どういったフィジカル要素が必要になってくるか説明して行きます。

加速動作においてまず重要になってくるのは、水平成分に力積をどれだけ発揮できるかが爆発的なスピードをうむために必要であるということです。
これをもう少しわかりやすくいうと、前に進みたければ、後ろ方向に大きな力を加えろということです。その大きな力をうみだすのは、股関節周囲の筋肉群です。体幹を適切な位置関係で、股関節の伸展パワーをいかにうみだすかが重要ということです。接地時間は、体幹が起きている中間疾走での局面よりも長いため力をうみだすための時間的な猶予は大きいです。そのため、力積(力x時間)を大きくもしやすいことが、加速における鍵になります。

水平方向に大きな力を出力する

そのために必要なフィジカル要素を長期的には以下のようにデザインしております。

加速の向上において特に注力してトレーニングしていくのは、体幹と股関節の伸展パワーです。

今回は、股関節にフォーカスを当ててどのような手段で達成していくかをいくつか抜粋します。

股関節の可動域
股関節の伸展パワーをうみだす上では、こういった可動域をだすためのエクササイズも丁寧におこないます。

アップでハードルドリル

ヒップロック
オランダのスポーツ科学者 フラン・ボッシュが提唱している原理で、骨盤の挙上を促すことで支持脚の進展パワーが助長されるというものです。フランボッシュは、2015年のジャイアントキリングを達成した、15人制ラグビーの男子日本代表のS&Cコーチとして招聘されました。そこで、ラグビー選手に動作特異的なトレーニングをしたことで注目を浴びました。(トレーニング界隈で)ヒップロックをつくることで、具体的には遊脚の骨盤を挙上させることで、支持脚の大臀筋や中臀筋さらには、臀筋筋膜、大腿筋膜、腸脛靱帯が同一ユニットして動員することを可能にして股関節の伸展パワーを助長させるのです。

女子7人制ラグビーのS&Cとして活動していた際のウォームアップ

※腰椎の伸展が気になりますが導入としてこういったエクササイズも行います

このヒップロックの動作の質をあげていくことで
ラグビーでいえば、ディフェンスを交わすために突破する加速力、ディフェンスではタックルにいくための初速のはやさ。
サッカーでいえば、ドリブルで相手を置いて突破する加速力。
野球でいえば、盗塁や内野ゴロでも塁を進めるための加速力。

他にも加速がスポーツにおいて重要になってくる局面は多々あるかと思います。普段のウォームアップでエクササイズを少し入れてみたり、ウエイトの種目で入れてみたり、最適な手段で加速力を向上させていきましょう。

※トレーニングのご相談、指導のご依頼はいつでも承っております。

TWOLAPS TC / FIRST TRACK
和田俊明

wada@twolaps.co.jp

関連記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?