どこよりも早い第五回WBC結果予想(プールC)
2023WBCグループCはアリゾナ・ダイヤモンドバックスの本拠地でもある、チェイス・フィールドで行われる。3月11日からの五日間に渡って行われるので、アジア側の2グループに少し遅れて始まる。
参加予定国は、アメリカ、カナダ、メキシコ、コロンビアでこれに予選からの勝ち上がり国を加えた形となる。文字通り死のグループだろう。一目アメリカが一位通過をし、二枠目を四チームで争うことになるか。
世界ランク12位・カナダ
トロント・ブルージェイズが本拠地を置くカナダは世界ランク12位。ただWBCは常にベストメンバーを組むことを目指し、熱意ある選手たちも多い。WBCのために現役復帰する選手も2017では見られ、片方ではタレント不足とも見れるが所属選手が熱心ともいえる。2023ではジョーダン・ロマーノ(TOR)やゲレーロJr(TOR)がカナダ以外でのWBC出場を表明しているが、2017以来MLBに昇格し成長するカナダ出身選手は増えてきた。アメリカに一発入れる可能性も十分あるチームになってきたと思っている。
2017WBCを辞退したジョーイ・ボット(CIN)が代表に復帰するか一つ注目。ここにフレディ・フリーマン(LAD)、エイブラハム・トロ(SEA)、ジョシュ・ネイラー(CLE)、タイラー・オニール(STL)が加わり強力打線が組めるだろうか。
カナダにおいて成長著しいのは野手だけではない。投手も同じで特に先発投手の質はかなり良い。ローテを4人組めと言われればMLBエース級で占めることが出来るかもしれない。デンプスターやガニエを投入していた2017も趣深かったが、2023では若く勢いのある投手たちが見られるだろう。
まずニック・ピベッタ(BOS)。PHIでキャリアをスタートさせた右腕は29歳。2017でもコロンビア相手に投げて好投。ボストンのローテーションピッチャーが軸となる。二人目はカル・クアントリル(CLE)。2019年にメジャーデビュー以降、着々と実力をつけ今ではカナダのエース候補。2016年にSDから一巡目指名を受けた素材が完成しつつある。
この勢いでカナダ先発陣は充実している、と言いたいところなのだが実は左右のエースが怪我で離脱中だ。マイク・ソロカ(ATL)は2019年に13勝を上げるも2020年にアキレス腱を痛めその後全休。ポテンシャルを持ちながらも未だ復帰できていない。ジェームズ・パクストン(BOS)は2021年にTJ手術を受け、こちらもリハビリ中。この穴をマット・ブラッシュ(SEA)やジェイムソン・タイヨン(NYY)が埋められるかが注目。
WBCでは球数制限がある。一次ラウンドでは規定がこれまで通りなら65球で制限となる。先発がいかに球数少なくイニングを投げるかもポイントだが、それを継いだ中継ぎがゲームを壊さないようにするかも重要だ。
ローワン・ウィック(TOR)やザック・ポップ(TOR)がリリーフエースとなることが予想され、ザストリズニーやアルバースなどが控える。
名捕手ラッセル・マーティンの引退によってチームに変化はあるとはいえ、フリーマンやボットなど経験値抜群の一流打者も健在。MLBに所属する選手としてはアメリカやドミニカ共和国と比べれば少ないが、質の高い野球が出来る。WBCグループCでは楽しみな存在だ。
世界ランク11位・コロンビア
2017WBCではアメリカを追い詰め、カナダに勝利を収めた注目国。LAAで終わったかと思われた、ホセ・キンタナ(STL)が復活しエースの調整は万全の状態。2017でアメリカ打線を封じたキンタナがまだ投げられるのは心強い。コロンビアが予選を抜けるためには、最低でもカナダかメキシコに対してキンタナレベルの先発を立てることが求められる。そこで誰がいるか。
ブレイク・スネル(SD)とのトレードで加入した、有望株ルイス・パッティーノ(TB)が務めるか、2021年にメジャーデビューのレイバー・サンマルティン(CIN)が投げるのか。メジャー経験のある先発を四人そろえることは難しくなさそうで、下馬評を覆す活躍が今大会も見られるかもしれない。
エルネスト・フリエリやシュガーレイ・マリモン、フリオ・テヘラン、ヨハン・ピノといったこれまでの世界大会を支えてきた投手が年齢を重ねている今、第二先発からクローザーまでどう繋げるかチームとしては詰めなければいけないだろう。
もちろんそれには2017WBCでも投げていたナビル・クリスマット(SD)の参加は望みたいし、LAAマイナーのダヤン・ディアスや千葉ロッテでプレーするタイロン・ゲレーロも不可欠か。日本ではおなじみのモスコーソの参加もあるかもしれない。コロンビアは最近勢いがあって生きのよいマイナーリーガーが多く在籍する。上記の選手以外にも有力な選手がいるわけで、彼らの力と融合し優勝候補と接戦を演じてほしい。
野球は打たねば勝てない。いくらキンタナが0封しようが1点取らねば勝てない。そこでコロンビアの打線の軸は誰になるのだろうか。
これは間違いなくジオバニー・ウルシェラ(MIN)だろう。NYY在籍時三年間で41本のホームランを打ったウルシェラがチームの核になる。ただ、先述したようにコロンビアは成長著しい有望なチームだ。ここ数年でプロスペクト達がどんどんメジャー昇格を果たした。
まずメイブリス・ビロリア(TEX)がメジャーデビューを果たした。コロンビアにはホルヘ・アルファーロ(SD)という正捕手がいるものの、チームの厚みはより増すものとなる。2017WBCにもビロリアは登録されているが、やはりメジャーデビュー後の持つ意味は違うと思う。
ほかにも、ハロルド・ラミレス(TB)は2019年に11本塁打した外野手でチームでも活躍。CLEマイナーに所属する、オスカー・メルカドのパワーとスピードは魅力。STL傘下所属のプロスペクト、ジョン・トーレスも呼ばれるだろう。一時期話題になったジーター・ダウンズ(BOS)もコロンビアのプロスペクトだし、ベテランではドノバン・ソラーノ(SF)が控える。
メキシカンリーグのキンタナロー・タイガースでは多くのコロンビア選手がプレーしmlb組と合流する形になるか。コロンビア打線に昔からいるティト・ポロなどもそう。
ダウンズ→ラミレス→ウルシェラ→ソラーノ→アルファーロ→メルカドのように繋がる打線を作ることが出来て、うまくはまればコロンビアのグループリーグ通過は近づいてくるだろう。決してこれは絵空事ではない。
世界ランク4位・メキシコ
投手のタレントが豊富なメキシコはこのグループリーグの通過候補。名前を上げていけばその質の高さがわかるだろう。
エースはフリオ・ウリアス(LAD)で2021年に20勝を上げた左腕は2022年も好調を維持。先発の名前は数名上げられ、ホセ・ウルキディ(HOU)が先発右腕としてはベストだろう。第二回プレミア12のメンバーでもあるウンベルト・カステヤーノス(ARI)もWBCでは先発を務めるだろう。
東京五輪のロースターにも入っていたヘクター・ベラスケスは今メキシカンリーグでプレーしているが、先発経験も豊富なため予選組に対して投げたり、ショートスターター的な存在でも考えられる。
メキシコは中継ぎの質も高い。日本で有名な中継ぎは千葉ロッテのロベルト・オスーナか。
アンドレス・ムニョス(SEA)、ビクター・ゴンザレス(LAD)、ジオバニー・ガジェゴス(STL)、ルイス・セッサ(CIN)とメジャーレベルの中継ぎ投手も多く、第二先発以降も盤石。ビクター・アラノやフェルナンド・サラスのようにマイナーやメキシカンリーグにも人材は豊富。2017WBCで高所であるハリスコにて打撃戦をやったメキシコではあるが、今回はアリゾナなので投手が試合を作ればわからない。
2017で選出されなかったものの、2023では確実に選ばれるだろう選手として、ブルージェイズのアレッハンドロ・カークがいる。セバスチャン・ヴァレに代わる正捕手候補として楽しみ。既に今季二桁本塁打にops800超えと打線を組むうえでも信頼したい選手だろう。
2023WBCにはAゴンはもう出てこないかもしれない。確かにWBCはリトルリーグよりも酷いかもしれないが、いやしかし、Aゴンがメキシコにかける思いは強い。東京五輪でもAゴンを見たが年齢には勝てないようにも感じた。現役復帰の末のオリンピックだったわけだが、今後はチームのサポート側に回るだろうか。
Aゴンレベルには達してなくともメジャーでは、ラモン・ウリアス(BAL)ルイス・ウリアス(MIL)のウリアス兄弟に、アイザック・パレデス(TB)、ルイス・ゴンザレス(SF)など20代の野手が在籍する。
勿論、アレックス・ベルドゥーゴ(バデューゴ)(BOS)も当然いるわけであるし、今を時めくジョーイ・メネセス(WSH)もいる。アンソニー・レンドン(LAA)や元OAKのクリス・デービスにも参加資格がある。
NPBでもお馴染みのレアードをはじめ、クルーズやラミロ・ペーニャ、エフレン・ナバーロなど日本人がよく知る選手も選ばれるだろうか。投打共に強力で、プールCは激戦区であることがうかがえる。
世界ランク5位・アメリカ
世界最強軍団も世界ランクは五位。この矛盾はどうなってるのやら。
2006の頃から本気でやっていたアメリカはやってもやっても負けていたので、一時期拗ねていた。2013のメンバーはやはり2006や2009と比べると質が落ちていた。ただ2017に再起をかけ名実ともに優勝したことでMLBの中にWBC熱が返ってきた。大会までまだ半年以上あるというのに、ポジションが一つずつ埋まってきている。「やる気のある選手」だけを集めた2017を経て皆がやる気になっている。
まずマイク・トラウト(LAA)を筆頭にトレバー・ストーリー(BOS)ノーラン・アレナド(STL)ポール・ゴールドシュミット(STL)JTリアルミュート(PHI)ブライス・ハーパー(PHI)と続々と参加を表明した。放っておけば勝手にメンバーが埋まるんじゃないかというくらい前向きなメジャーリーガーを見るのは国際大会好きにはたまらない。
アメリカに関してはメンバーの予想が不要。誰が出ても強敵に変わりはなく、このプールCを一位抜けすることが決まっているようなもの。
アーロン・ジャッジ(NYY)ムーキー・ベッツ(LAD)トレイ・ターナー(LAD)ジェイコブ・デグロム(NYM)などが上の記事でもあげられ、ドリームチームを作るなら入ってほしいところ。しかしもはや今当確のメンバーだけでお腹がいっぱいなのである。
順位予想
大方の予想としては一位通過はアメリカだろう。ただ、一回勝負の国際試合は何が起きるかわからない。2017WBCではグループリーグでドミニカに負けているし二次ラウンドでもプエルトリコに負けている。前回大会より全てのチームでレベルアップが予想される今大会、アメリカが楽に勝てるとは限らない。
このグループCが例えばア・リーグ東地区と置き換わったりすればアメリカが地区優勝をするだろうが、全勝するわけではない。グループCはグループAやBと違って息を抜く相手がいない。全チームに照準を合わせなければ通過できない以上、アメリカに勝った国が通過に近づく。つまり各国アメリカにエースをぶつけることが予想される。
カル・クアントリル、フリオ・ウリアス、ホセ・キンタナと順番にぶつけられても勝たないといけないわけだ。この三試合を取れる国は果たしているのだろうか?
一位通過・メキシコ
二位通過・アメリカ
三位敗退・コロンビア
四位敗退・カナダ
五位敗退・予選勝ち上がり国
プールCはこの順番に予想したい。アメリカがまた拗ねなければいいが、王者はこれくらいがいいだろう。投打共に安定するメキシコを一位にした。コロンビアとカナダの差は打撃力か。前回大会のイメージもあるが、乗った時のチームの勢いはすごそうだ。
とにかく接戦が予想されるグループC。東京ラウンドとは少しずれて行われるので時差は置いといて心置きなく観戦できそうだ。これぞ世界大会という姿を存分に見せて欲しい。
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