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【連載】この人生を生きるのに大切なこと 5

「私も連載を持ちたい!」という欲求のまま勝手に始めた月1連載。
HSP気質で、片頭痛、うつ、喘息を持病に持つ私が、生きるのに大切だと思うこと1つをテーマに、経験や考えを書いていきます。
毎月第1水曜日更新予定。

第5回 命の価値は

昨年、転職し、自動車保険のコールセンターで働いている。保険業界もコールセンター勤務も初めてだったが、接客は10年ほど経験があるし、研修を3ヶ月もさせてもらえるので保険の勉強は問題ないだろうと判断。無事就職し、現在1年3ヶ月が経過した。これは入社してすぐ、研修中の話だ。

自動車保険の補償内容に「人身傷害保険」というものがある。
これは契約の車に搭乗中に事故があり損害を負った場合に、その実際の損害額を保険金額を上限に補償するものである。
つまり自分や家族の命やケガに対する補償である。
補償範囲は契約の車に乗っている人全員。運転者範囲で範囲を狭めていても乗っている人全員が補償される。
補償額はあらかじめ設定した保険金額を上限に、実際の損害額を保険の約款に従って算出した金額。損害には治療費だけでなく、休業損害、精神的損害なども含まれる。いわゆる実損払い。
実際の損害額というと、ケガの場合、治療費は病院で支払った金額だから想像しやすい。だが命の場合はどうなのか…亡くなった場合の「実際の損害額」、つまり失われた命の値段を算出しなければならない。
研修中にその計算方法を勉強し、実際に手計算した。
(正直めっちゃ大変だった。今から同じことをやるかと思うと気が重い)

死亡による損害

勤務先の保険約款にはこう書いてある。「死亡による損害は、葬儀費、逸失利益、精神的損害およびその他の損害とする」
①葬儀費
「60万円とする」
②逸失利益
「死亡によって生じた得べかりし経済的利益の損失をいい、原則として次の算式により計算する」
(収入額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
③精神的損害
「被保険者区分別に次の金額を基準とする」
一家の大黒柱かどうか、年齢はいくつかで3区分。
④その他の損害
「①から③まで以外の死亡による損害は、事故と相当因果関係のある範囲内で、社会通念上必要かつ妥当な実費とする」

私を実例に計算してみた

計算するにあたっての条件はこうです。
・人身傷害保険の保険金額:無制限
・年齢:37歳
・職業:オペレーター(派遣・時短)
・現実収入額:夫の扶養内
・被扶養者なし、一家の支柱ではない
・相手からの賠償金等なし

①葬儀費
60万円
②逸失利益
(収入額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
*収入額:169,600円×12ヶ月=2,035,200円
*生活費:84,800円×12ヶ月=1,017,600円
*就労可能年数(30年)に対応するライプニッツ係数:19.600
⇒(2,035,200-1,017,600)×19.600=19,944,960円
③精神的損害
*被保険者区分:被保険者が一家の支柱でない場合で65歳未満のとき
⇒1,600万円
④その他の損害
なし
【合計金額:36,544,960円】

多い?少ない?

今、私が死んだら保険金としてもらえる金額は約3700万円という結果になりました。よって、人身傷害保険の保険金額は4000万円に設定しておけば、上限額でカットされて貰い損なうこともなく、保険料を払い過ぎることもないと言えそうです。
さて、この金額、多いと思いましたか?それとも少ないと思いましたか?
私は意外と多いなと思いました。
生命保険にはこんな保険金額はかけてないので、死ぬなら自動車事故で死のうと思います(笑)自損事故で(笑)

認識することの大事さ

人の命に値段をつけるなんて、と思うかもしれないが、私は逆に数字ではっきりして安心したのだ。
「私の命には最低でも3700万円の価値があるのだ」と。
そしてそれが失われたことによる損害に対しては保険で備えられている。
残された夫も感情面はさておき、金銭面では安心だ。
私は金銭的安心を残してあの世に逝ける。

「もし死んだらどうしよう」と不安になるのは、もしそうなったときにどのくらいの損害が出るのか不明確だから不安になるのだと思う。全てのリスクを想定することはできないし、全ての損害に備えることはできないけど、人は必ず死ぬ。それだけは確実な事実だ。
怖い気持ちもあるけど、勇気を出して立ち向かっていく。
その時にこういう計算の仕方があるのだと知り、損害額がいくらなのかを知ることは「じゃあどうするのか」を決める判断材料になる。

損害保険は火災や自動車事故など大きな損害を被ることが考えられる事象に備えるための保険だ。保険料の算定にはこれまでの膨大な統計データが用いられる。高い保険料には理由があるのだ。
保険会社に就職して「もしそうなったときにはどのくらいの損害が出るのか」「それは自分にとってどのくらい大きなことなのか」という視点ができた。
この視点を生かすには「自分軸を持つ」ことも大事になる。
不安や心配に思うことを一つずつ考えたり調べたりして「自分はどう思うのか」を感じていく。
そうして決めたことで自分が作られていくのかなぁと思う。

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