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映画「オッペンハイマー」を見る前に気をつけておくこと。

アカデミー賞7部門受賞で話題をかっさらった大作「オッペンハイマー」が、日本では3月29日に満を持して公開されました。国内での人気も高いクリストファー・ノーラン監督の長編12作目ということもあり、ファンの間では公開が待ち焦がれられていました。題材が原爆の父・オッペンハイマーの生涯を描いたものであるため、日本では非常にセンシティブな内容になっていることもあり注目を集めていました。そんなオッペンハイマーを見る前に知っておきたいこと、注意すべき点をまとめました。

①時代背景の前提知識が必要

この映画が舞台になっているのは主に第二次世界大戦に突入する前後の時代、そして終戦後のアメリカです。当然この頃に戦争があったことは皆さんご存知でしょうが、何故原爆が誕生することになったのかは、当時アメリカの相手国であるナチスが重要になってきます。そして終戦後の1950年代のアメリカでは「赤狩り」と呼ばれる共産主義者を厳しく取り締まる動きがありました。実際オッペンハイマーがこの流れに飲み込まれていく様も映画では描かれていますので、この辺の前提知識が必要かと思われます。

②日本に関する描写は少ない

被爆国である日本について、この映画ではほとんど描かれていないと言っても過言ではありません。劇中、徹底して敵国として扱われているのはナチスドイツであり(原爆を研究開発した大きな要因であるため)、戦後の軍拡競争に飲み込まれていくアメリカの敵はソ連になっています。あくまでもオッペンハイマーの生涯を綴った映画であるため、日本は結果として原爆が落とされた国としてしか登場しないのです。また原爆投下の直接的な描写もないため、日本では賛否ありましたが、そういったシーンが辛くて見られないと心配していた方には安心して見れらるのではないかと思います。

③時系列はぐちゃぐちゃ
初見では理解しにくいかも

これに関してはノーラン監督お馴染みの演出ですよね。何せ一定の時間軸や空間、常識というものをぶち壊す演出がお好きな監督ですので、初めて観る方にはついていけない可能性もありますが、ここはそういうもんだと割り切ってみるのがいいと思います。つまりは自由自在に先に進んだり、前の時代に戻ったりするのでそこは気をつけておかないといけません。

④ほとんど会話劇(法廷劇)

これは戦争映画ではないし、科学者が発明をするだけの話かと言われれば、そんな単純な映画でもない。実は原爆実験に成功すり件までがおよそ半分までであって、後半は終戦後のオッペンハイマーの話になっていきます。先述した通り赤狩りに巻き込まれてしまい、オッペンハイマーに対する取り調べのシーンが延々と続きます。知らずに見ると、まさかこんな映画だとはと肩透かしを喰らいます。

⑤決してアメリカ賛美映画ではない!

アメリカ公開当時、所謂“バーベンハイマー”騒動が起こり、日米の原爆に対する捉え方の違いが如実に現れたこともあり、「これはアメリカの戦争賛美映画なのではないか」「結局原爆投下を美化しているのか」などという論争まで巻き起こりました。映画を観た身から言わせて貰うと、「決してそんな映画ではなく、是非とも日本人に観てほしい映画‼️」と言えるでしょう。映画ではオッペンハイマーという一人の男を深く掘り下げ、周囲の人間たちとの関わりも緻密に描かれています。一人の男の生涯を見て、何を感じ取るのか、何故原爆が誕生したのか、本当に止められないことだったのか、観客全員が考えさせられます。

まとめ

この映画では、物理学や量子力学など様々な科学が登場しますが、最後行き着くところは哲学なのかも知れません。それを紐解くヒントが劇中にはいくつか散りばめられていました。(私が思うに4つ、5つ?)是非そこに着目して自分の考えを落とし込んでほしいです。音響や映像には凄く凝っているので映画としてとても楽しめます♪まだ観てない方は劇場へ!

参考になれば幸いです🙇‍♂️

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