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猫のモモ。

モモが亡くなって半年経った。

社会人2年目。仕事に慣れてきたころ、モモは家にやってきた。
小さくて丸っこくてふわふわしてるやつ。
抱き上げると肋骨の生々しさが伝わって、生き物というか命というか、妙な気持ち悪さも感じた。

山に捨てられていたモモ。シャム猫で綺麗な白と黒茶の短毛。
お上品な感じの見た目。

女の子なので可愛いくて呼びやすい名前にと『モモ』と命名。
数か月呼んできたが、成長するにつれ、なんかあるぞ!と発見し、
『モモ太郎』に改名した。

家に帰ればモモがいる。そんな毎日が10年以上続いてきた。

2023年10月、3連休の初日。モモが急に苦しみだした。息も絶え絶えで血も吐いている。病院に行って診てもらうと、お腹を開かなければわからない、でも高齢なので、そもそも麻酔に耐えられるかどうか、と言われた。

緊急手術。その前に少し時間をもらえた。

「モモ…頑張ってな」
「ニャーッ!」絞り出すような声でモモは強く鳴いた。

その時は大丈夫だろうと思っていた。
昨日までは元気だったし、手術すれば治るんだと。

数時間後、電話がかかってきた。
モモが亡くなった。

お腹を糸で縫われた、冷たく硬くなったモモ。
喪失感と後悔と淋しさで泣くしかなかった。

一晩、仏壇の前にモモをおいて、仏様に見守ってもらった。
翌日、火葬場へ。
………
淡々と、ただ淡々と。

家に帰った。が、モモはいない。

存在するだけで満たされていた。
存在するだけで救われていた。

嗚呼。


月日が経った今でも、あいつはひょっこり現れる。
衣替えの服や布団、お気に入りのソファ。
2㎝弱の白くて細い毛。

それを指で噛みしめながら、心の中でつぶやく。

モモ!
まだ、おったんか?!

ありがとう



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