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小説というのは作家が難問を読者にぶっつけてあとはトンズラしちゃうわけでしょう


2023年2月3日(金)朝の6:00になりました。

ぼくの曲があるんだよ。RYDEENっていう曲。

どうも、高倉大希です。




高橋幸宏さんの訃報を聞いてから、YMOばかり聴いています。

あの機械のようなリズムが、人の手で生み出されていたのだということを、改めて思い知らされます。



細野晴臣さん、坂本龍一さん、そして高橋幸宏さん。

この3人で結成されたのが「YMO」こと「Yellow Magic Orchestra」です。

ただし、ここにはもうひとり、メンバーになる予定の人物がいました。


画家の横尾忠則さんです。

黎明期のYMOのトレードマークである「タキシード」も、本当は4人分用意されていたそうなのですが、1着は使われることがありませんでした。

YMOの結成を発表する記者会見に、横尾さんだけが姿を見せなかったのです。


横尾
ぼくは1980年に画家に転向したから、
どっちにしてもYMOに入って
何か手伝うことはできなかったと思う。

細野
うん、うん。
まぁ、結果はよかったです。
入ってたらもっと混乱してたと思います。
ほぼ日刊イトイ新聞「私と芸術、私の友情。」より


こうなると、この横尾忠則という人物も避けて通ることはできません。

三島由紀夫との関係性だとか、寺山修司との出会いだとか、調べればおもしろい情報がたくさん出てくるかと思います。

誰かがすでにまとめてくれているものを、わざわざここで書き重ねても仕方がないので、気になった方はぜひ調べてみてください。


小説というのは作家が難問を読者にぶっつけてあとはトンズラしちゃうわけでしょう。作家だって意志だか運命だか解るはずがないでしょう。それをまるで事件のように読者が作家の策略にはまり込んでしまったんですから大したものです。
横尾忠則(2020)「言葉を離れる」講談社



「小説というのは作家が難問を読者にぶっつけてあとはトンズラしちゃうわけでしょう」という1文が、とても印象にのこっている横尾さんのエッセイです。

たしかに小説という媒体は、読み手に努力を求めます。

読み手がページをめくらない限り、難問を理解しようとしない限り、物語は前へと進みません。


エンターテイメントの役割は「人を幸せにする」のではなく、「幸せになろうとする人の手助けをする」ということだと僕は考えています。
小林賢太郎(2014)「僕がコントや演劇のために考えていること」幻冬社


このマガジン「柿の種」は、毎朝6:00に更新します。

決してトンズラすることはありませんが、時にはタイムマシンにおねがいすることもあるかもしれません。

高橋幸宏さんのご冥福をお祈りします。






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