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俺を誰だと思うとんのやっ!

こんにちは Minori です。
今回は 字幕で覚えるイタリア語

日本の映画やドラマの
イタリア語字幕。
イタリアの映画やドラマの
日本語字幕の中から、
これはへぇ〜と思ったものを
取り上げます。

今回取り上げるのはこちら、
桐谷健太主演『インフォーマ』より。
桐谷健太演じる元ヤクザの情報屋と、
佐野玲於演じるポンコツ週刊誌記者が
バディを組み、謎の連続殺人事件を
追うクライムサスペンスです。

今回取り上げるのは、
情報屋木原と、週刊誌記者三島の
短いやりとり。

木原:えらい大事(おおごと)やのう。
      お前が通報したんか?
三島:何してたんですか?
   木原さん来ないから
   大変だったんですよっ!
木原:だから俺は、危ないから近づくな
   言うたやんけ。人のせいにすな。
三島:あの3人組の眼鏡のやつ、
   殺されたんですよ!
   危うく俺も殺されるところでしたよ。!
木原:うっさいのぉ。
   ポンコツに説明されんでも分かっとるわ。
   俺を誰だと思うとんのや。

木原は関西弁を話します。
木原は三島のことを「ポンコツ」という
あだ名で呼びます。

プロはどんなイタリア語字幕を
つけたのでしょうか?
上から順に見ていきます。
まずは木原の台詞です。

È diventato un bel problema, eh?
えらい大事やのぉ。

大事(おおごと)。
字幕では un bel problema
なっていました。

この bel形容詞 bello ですね。
ですが当然意味は「きれいな」
ではありませんよね。

bello は一緒に使う名詞によって
意味がいろいろ変わる
カメレオンのような形容詞です。

probrema のような名詞と使うと
かなりの量・かなりの大きさ
という意味になります。
Questo è un bel problema.
= This is a big problem.

それから…。
普通のイタリア語の形容詞は
名詞の後ろに置かれますが、
bello は単独で使う場合、
通常「名詞の前」に置かれます。

その時に注意が必要なのが
bello の語尾変化です。
名詞の後ろに置く場合は、
普通の形容詞のように、
修飾する名詞の性・数に合わせて
bello, bella, belli, belle
と最後の - o を変えればいいだけ。

でも、名詞の前に置く場合は、
<定冠詞と同じ語尾変化>になります。

どういうことかというと、
こういうことです。
例えば…。

ragazzo という名詞を
bello で修飾したいとします。
普通に考えれば ragazzo
男性単数名詞ですから、
bello ragazzo と言いたいところ
ですが、これは ブッブー ❌
間違いだって話です。

ragazzo につける定冠詞は?
il ..... だから il ragazzo ですね。
この il と同じように bello
変化させるってことは、
bel ragazzo
にしないといけないって話です。

左が 定冠詞、右が bello です。
両者の形を確認してください。

子音で始まる男性単数名詞につける形
il ragazzo  bel ragazzo
子音で始まる男性複数名詞につける形。
i ragazzi   bei ragazzi

s + 子音、z, gn, pn, ps, x
始まる男性単数名詞につける形
lo studente  bello studente
s + 子音、z, gn, pn, ps, x
始まる男性複数名詞につける形
gli studenti  begli studenti

母音で始まる男性単数名詞につける形
l'albero               bell'albero
母音で始まる男性複数名詞につける形
gli alberi             begli alberi

子音で始まる女性単数名詞につける形
la ragazza    bella ragazza
子音で始まる女性複数名詞につける形
le ragazze    belle ragazze

母音で始まる女性単数名詞につける形
l'amica     bell'amica
母音で始まる女性複数名詞につける形
le amiche      belle amiche

いかがでしょうか、
ちなみに quello も同じ、
定冠詞に準ずる語尾変化をします。

ちなみに bello「名詞の後ろ」
置くのは molto とても といった
副詞とセットで使う場合です。

un bell'albergo
素敵なホテル
un albergo molto bello
とても素敵なホテル

una bella ragazza
きれいな女の子
una ragazza molto bella
とてもきれいな女の子

先に進みます。木原の台詞です。

Hai sporto denuncia?
お前が通報したんか?

sporto ?
スポーツ?と思っちゃいましたが、
スポーツは sport です^^;
Hai sporto で近過去ですから、
sporto は過去分詞ですねえ。

sporgere [他]突き出す
近過去でした。
denuncia[女]は、
告発、告訴、届け出、申告

sporgere denuncia。
ここでは 「通報する」 という意味で
使われています。

木原の台詞を受けて
三島が答えます。

Cosa stava facendo?
何してたんですか?
Sono finito nei guai per colpa sua!
木原さん来ないから大変だったんですよ。

Cosa stava facendo?
何を していた んですか?

過去にしていたこと、
状態を尋ねていますから、
ここは stava 半過去 ですね。

ですが次に続く文は、
Sono finito nei guai per colpa sua!
Sono finito 近過去です。

動詞 finire は、
他動詞としても自動詞としても
よく使われる動詞です。
ここは sono finito で、助動詞に
essere が使われてますから、
この finire は自動詞の finire です。

他動詞 finire 終える
自動詞 finire 終わる

なんですが…。
そろそろここからワンランク
ステップアップしましょう。

ここの自動詞 finire は、
人が結果的にある状況に
陥る、行き着く、死ぬ

という意味です。

È finito all'ospedale.
とうとう彼は入院した。
È finito povero.
彼は貧乏になってしまった。
Siamo finiti in piazza del Duomo.
私たちはドゥオーモ広場に出た。
(ドゥオーモ広場に行き着いた)

guaiguaio [男]の複数形。
複数形で使うと
災難・苦境・苦難。
前置詞 nei = in + i が必要です。

finire nei guai
(結果的に) 苦境に陥る
トラブルに巻き込まれる

これを io 私を主語にした
近過去にして…。

Sono finito nei guai.
大変な状況に陥った
per colpa sua!
あなたのせいで!

三島は木原に対して
敬語を使っていますので、
per colpa tua ではなく、
per colpa sua となっています。

そんな三島の文句に対して
呆れた態度で木原が答えます。

Ti avevo detto di non avvicinarti
a questo posto, è pericoloso.

だから俺は危ないから
近づくな言うたやんけ。

Non dire che è colpa mia.
人のせいにすな。

Ti avevo detto。大過去です。
三島が危ない目にあった
過去の出来事 「より前」に言った
ですから、ここは大過去です。

Te l'avevo detto, no?
だから言ったじゃん!

でお馴染みです。
これは要暗記フレーズ。

Non dire che è colpa mia.
人のせいにすな。

直訳は
私のせいだと言うな です。
これで 人のせいにすんな。
なるほご。

そんな悪気の欠片もない木原に
頭にきた三島が言います。

Quel tizio ...
あの3人組の
Il quattrocchi è stato ucciso!
メガネの奴、殺されたんですよ!
Per poco non morivo anch'io!
危うく俺も殺されるところでしたよ!

ここはちょっと日本語と違います。
「3人組」にあたるイタリア語が
ありません。

tizio [男]。男性名詞で、
知らない奴
さして重要じゃない奴
不特定のある男

という意味です。

quello を前に置いて 「あの男」 と、
自分も相手も知っている男について
語っています。
先程言ったように quello
定冠詞と同じ語尾変化をします。

ragazzoquello をつけるなら、
quello ragazzo ではなく、
quel ragazzo だよって話です。

ちなみに questo 「これ」 は、
普通の形容詞の語尾変化になりますから、
questo ragazzo

questo これquello あれ とで
語尾変化の形が異なります。
ふざけんなよと言いたくなる事例です。

愚痴っぽくなる前に
先に進みます。

Il quattrocchi è stato ucciso!
メガネの奴、殺されたんですよ!

il quattrocchi 4つ目。
自分の目👀が2つ。
眼鏡の目🕶が2つ。
合わせて4つ目 なので、
「 il quattrocchi 」
これで 「眼鏡をかけた人」だって。
この表現は面白い❗

è stato ucciso
受身形の近過去です。
形、大丈夫でしょうか。

Per poco non morivo anch'io!
危うく俺も殺されるところでしたよ!

Per poco non + 半過去 です。
「危うく〜するところだった」
「あやうく〜しかけた
という意味になります。
実際にはそうなってない ので、
半過去 だってのがポイントです。

Per poco non morivo anch'io.
危うく僕も死にかけた。
Per poco non dicevo la verità.
危うく本当のことを言ってしまうところだった。
Per poco non perdevo il treno!
危うく電車にところだった!
Per poco non cadevo dalle scale!
危うく階段から落ちるところだった!

木原の台詞です。

Zitto. So già tutto.
うっさいのぉ。
Non c'è bisogno che
un idiota me lo spieghi.

ポンコツに説明されんでも分かっとるわ。

直訳は
黙ってろ!俺はもう全部知っている。
ポンコツが俺にそれを説明する
必要なない。

さて、ようやく本日の
メインディッシュでございます。

俺を誰だと思うとんのや?

これ、イタリア語だったら、
どう表現するんでしょうねえ。
私のレベルだと Sai chi sono?
私を誰か知ってる? くらいしか
思いつきませんが、違うな、絶対。
はい、プロに聞きましょう。

Per chi mi prendi?
俺を誰だと思うとんのや。

はぃ?🙄

調べました。
prendere 人 per ... で、
人を ... と思い違いする
人を ... とみなす
人を ... だと思う

と辞書にはありました。

Per chi mi prendi?
この mi は直接目的語です。

Mi prendi per un stupido?
私を馬鹿だと思ってるの?
Per chi mi prendi?
私を誰だと思ってんの?

これは出てこないね。
これも丸暗記フレーズに
入れちゃいましょう。

いかがでしたでしょうか。
短い会話でしたが、
いろんなことが凝縮されていました。

単調になりがちな語学の勉強ですが、
ときにはこんな字幕を使うと、
気分が変わっていいですよ。

今度はイタリア映画の
日本語字幕バージョンも
やってみたいと思います。

それでは今回も長らく
お付き合いありがとうございます。
最後までお読みいただき感謝いたします。

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