イタリア語の関係代名詞 3 CHE と CUI
こんにちは Minori です。YouTubeで学ぶイタリア語。今月は《関係代名詞》をテーマにお送りしております。今回取り上げるのは,こちらもお馴染み Ferrara 出身 Francesco さんのチャンネルから。YouTubeで《italiano》と検索すると,必ず出てくるチャンネルです。チャンネル名は Impara l'italiano con Vaporetto Italiano。解説動画はもちろんのこと,文法クイズだったり,朗読だったり,いろんな動画を配信されています。一人二役のコントで状況説明するなど,笑いを誘う努力も感じます。では今回は,その Francesco さんの関係代名詞解説動画,2本をお届けします。
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今日のビデオはとても、とても、とても重要です。なぜなら、イタリア語における関係代名詞 CHE と CUI の使い方について話すからです。このビデオを作ろうと思ったのは、多くのイタリア語の学生にとってこれらの代名詞が難しいと知っているからです。また、多くの人がコメントでこの代名詞について話してほしいと言っていたからです。というわけで、ここに登場です。
まず大事なことは、CHE と CUI という関係代名詞はイタリア語では 不変化 invariabili であり、性別(女性形や男性形)や数(単数や複数)に応じて変わることはないということです。また、イタリア語の代名詞は、以前に言及されたものを置き換えるために使われます。
いくつかの例を見てみましょう。これらの代名詞が,イタリア語の自然な文章でどのように使われるかを紹介したいと思います。
ここで、私は CHE を使いました。
一方,この例では,私は CUI を使っています。この例からもわかるように、CUI は常に,前置詞があるときに使われます。
Il libro di cui mi hai parlato è molto interessante.
※ parlare di qualcosa《何かについて話す》。
La ragazza con cui parli è molto simpatica.
※ parlare con qualcuno《誰かと話す》。
関係代名詞 CHE から分析していきましょう。
イタリア語では、CHE は 《主語》と《直接目的語》を置き換えます。つまり、文の主語や直接目的語を置き換えるために使われます。
例を一緒に見ていきましょう。
この場合、CHE は la ragazza を置き換えています。それは,parla の主語は la ragazza だからです。
この場合、abitano qui の主語は i signori です。したがって、CHE は文の主語を置き換えています。
また、関係代名詞 CHE は目的語も置き換えることができます。
この場合も CHE を使いました。この場合も,CHE は la ragazza を置き換えていますが、この例文では,la ragazza は主語ではなく、ho incontrato の直接目的語です。
この場合, CHE は il libro を置き換えていますが、il libro は直接目的語です。sto leggendo《私が読んでいる》,che cosa?《何を?》 ,il libro《その本を》。つまり、主語は io 私 であり、il libro は,sto leggendo の直接目的語です。
これらの例からわかるように、関係代名詞 CHE は文の主語や目的語を置き換え、前述されたものを繰り返さないために使われます。
次に、関係代名詞 CUI に進みましょう。冒頭、CUI は文に前置詞があるときに常に使われると言いました。したがって、CUI は,《間接目的語》を置き換えるのです。間接目的語とは、前置詞を伴う目的語のことです。
CHE を使った例と,CUI を使った例を新しい例と比較してみましょう。
この場合、CHE を使いました。なぜなら、CHE は,主語 la ragazza を置き換えているからです。
この場合、Sara は主語ではなく è una persona con cui parlo《私が話している人》,であり、前置詞 con を伴う間接目的語です。この前置詞 con を文から取り除くことはできません。前置詞 con がないと,意味が成り立たないからです。このように、前置詞があるときは関係代名詞 CUI を使うことになります。
この場合、La città che vengo si chiama Ferrara. ということはできません。なぜなら,前置詞 da があるからです。 io vengo da una città《私はある町から来る → 私はある町の出身です》と言いたい時,前置詞 da を省略することはできません。città は,必ず前置詞 da を伴いますから,この場合は,CHE ではなく CUI を使うことになります。
この場合、前置詞 di が必要です。parlare di qualcosa《何かについて話す》という構造があるので、前置詞 di が必要です。よって,関係代名詞 CUI を使い,di cui となります。CUI は il libro を置き換えていますが、前置詞があるので CHE は使えません。
io vivo in una casa《私は家に住んでいる》。置き換える名詞は casa ですが、casa が,前置詞 in を伴っているため,関係代名詞には CUI を使わなければなりません。
もし CHE を使うなら ….。
ho comprato una casa《私は家を買った》この casa は,直接目的語ですから,前置詞を伴っていません。なので,CHE を使うことになります。
これが CHE とCUI の使い方における基本的なルールです。CUI は,
置き換える名詞が,前置詞を伴っている場合に使います。parlare di qualcosa《何かについて話す》,parlare con qualcuno《誰かと話す》、あるいは,町から来る,町の出身だ《venire da una città》というように。
これが不変化の関係代名詞です。変化するものもあります。例えばil quale、la quale、i quali、le quali などです。これらも同じ役割を果たしますが、単に変化するだけです。これについては別のビデオで説明します。
クイズの時間がやってきました。少し前に、私は 関係代名詞 CHE と CUI についての動画を公開しました。今日は、イタリア語における CHE と CUI の使い方を練習するためのクイズをやりたいと思います。
今回のクイズは,CHE と CUI の使い方に関する練習です。今日の練習では選択肢を与えません。選択肢の中から答えを選ぶのではなく、あなた自身がどの代名詞を使って文を完成させるかを考えなければなありませn。いくつかの文に空白があり、そこに che または前置詞を伴った cui を入れる必要があります。さあ、始めましょうか? 行きましょう!
下線にいれる関係代名詞は,CHE でしょうか,CUI でしょうか。正解は CHE。
次の問題です。
この場合はどうですか?che でしょうか,前置詞を伴った cui でしょうか。正解は cui です。
この場合、前置詞があるので cui を使います。libreria《書店》は,主語でも目的語でもなく、ho comprato il libro in libreria《私は書店で本を買った》,その《場所》です。そのため、libreria は,前置詞 in を伴いますので,関係代名詞 cui を使います。
この文の主語は |io《私》。io studio《私は勉強している》,そして,直接目的語は,何を?の部分で l'italiano《イタリア語》です。この場合,関係代名詞は,il professore を置き換えますから,主語でも直接目的語でもない il professore に che は使えません。この文で il professore は,間接目的語になるため,前置詞を伴います。正解はこちらです。
先生と一緒にイタリア語を学んでいる studio l'italiano con il professore,あるいは,先生のところ(オフィスや家など)でイタリア語を学んでいる studio l'italiano da il professore 。いずれにしても,前置詞を伴いますので,関係代名詞は cui を使います。
こちらはどうでしょう。che でしょうか,cui でしょうか。この場合は,前置詞が必要で。なぜなら,Simone viene da una città《シモーネはある町から来る→シモーネはある町の出身だ》。出身地を言うときは必ず,venire da と,前置詞 da が必要です。したがって,cui を使うことになります。
次の問題です。
正解は che です。
che は il piatto《料理》を指しており、il piatto は主語です。il piatto italiano che piace《あなたが最も好きな料理》。関係代名詞が,主語に置き換わる場合は,常に che を使います。
この場合も正解は che です。
この場合、che は la donna《女性》を指しており、donna は主語です。la donna sta entrando 。なので,関係代名詞は che となります。
ここでは前置詞が必要です。ci siamo sposati in una chiesa《私達は教会で結婚式を挙げた》。chiesa は,主語でも,直接目的語でもなく結婚式を挙げた《場所》ですから,前置詞 in が必要です。したがって,関係代名詞は cui を使うことになります。
次の問題です。
この場合、関係代名詞は l'uomo《男性》を指していますが,l'uomo は主語でも目的語でもありません。主語は io《私》 。io ho prestato《私は貸した》。そして,直接目的語は,何を?に当たる部分 i soldi《お金》。正解は ….。
prestare 〜 a 人《人に〜を貸す》。つまり,ho prestato i soldi all'uomo《私はその男に金を貸した》。前置詞 a を伴うので,関係代名詞は cui です。
次の問題はちょっと難しいですよ。
イタリア語の perdere la testa《人に夢中になる,人に一目惚れする》は,perdere la testa per 人 という使い方をします。Giorgio ha perso la testa per la donna《ジョルジョはその女性に夢中になった》。関係代名詞が指す la donna は,前置詞 per を伴いますので,関係代名詞は cui を使います。
Il libro ___ mi hai prestato è noiosissimo.
関係代名詞が指す il libro《本》は,直接目的語です。したがって,正解は …. 。
このテスト、または練習は、選択肢がなかったため少し難しかったかもしれません。クイズや練習が役に立ったかどうか、コメントで教えてください。またお会いしましょう。
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はい,本日はここまでです。クイズ,意外と難しかったです,私には。どうでしたか?空欄が空いてて,そこに che か cui を入れるって案外難しいなあ。イタリア人は,ぱっと分かるんでしょうが,どこで判断しているんでしょうか。che か cui の判断は,こうするんだというのが,私が所有しているこの参考書にヒントがのっていたので,ご紹介します。
では,参考書の例文をお借りして。
参考書の順番で考えていきます。
① 関係節の動詞に注目する。→ ho fiducia
② 次に,ho fiducia が前置詞を必要とするか考える。
ここで,|avere fiducia in 人《人を信頼する》 が ,パット出てくればいいんですが,出てこない場合は,残念ながら,ここでストップということになります。
次に,動画の中に出てきた1問。ちょっと一捻りありますね。動詞 piacere を使った問題。
piacere は,特殊な動詞です。イタリア人にとっては特殊じゃないんでしょうが,日本語とは,全く異なる表現だという意味で,ここでは,特殊だと言いました。例えば,日本語の「私は犬が好きだ」は,イタリア語では,次のように表現します。
Mi piace il cane.
piacere 文の場合,文末にある il cane が,主語です。主語を頭に持ってきて,語順を並べ替えるとこうなります。
Il cane piace a me.
直訳すると,「犬は私に気に入られる」となります。これが,イタリア語の「私は〜が好きだ」に当たる表現なのですが…。こう深読みして,先程の参考書の指示通りに考えると piacere の後に a me があるから,あれ?前置詞必要じゃん!となって,さらに,前置詞使うんだから,じゃあ a cui かあ?という,負のスパイラルに陥ります。でも,正解は che なので,参考書のアドバイス通り考えると,間違うパターンもありそうです。
イタリア人によって,同じことを説明するにも個性がありますね。言ってることは同じなんだけど,切り口が異なるというか。次回もご期待ください。