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大手だけど生産者の情熱を感じるワイナリー コルドルチャ

大手ワイナリーに行くと、スタッフの対応がとても事務的なことがあります。
大規模ワイナリーの見学では、たいてい、シフト制の見学ツアー担当従業員が台本通りの話をするため、生産者の情熱を肌で感じることがなかなかできないのです。(念のため補足しますが、大手ワイナリーのワインを批判しているわけではありません。ワインはすばらしいです。)

大きな企業に人間味を求めるのは難しいかもしれませんが、ワイナリーは「生産者」です。百貨店やスーパーのような小売店ではありません。生産者には自分の生み出すプロダクトへの愛や、モノづくりの情熱を語ってほしいというのは、私の勝手な想いでしょうか。

「生産者の顔が見える」食品が人気を集めている近年、生産者のこだわりを見たいという消費者の願いは、ますます強くなっているのではないでしょうか。

小さなワイナリーでは、生産者の熱い想いを充分すぎるくらい感じることができます。それは、オーナーやその家族、ワイン造りに直接かかわっている人たちと話すことができるから。

そんななか、大手でも造り手の情熱を感じることができるワイナリーがあります。

モンタルチーノのコルドルチャです。


コルドルチャのワイナリー

コルドルチャは、イタリア・トスカーナ州中部モンタルチーノの最南端エリアに位置するワイナリーです。モンタルチーノは、イタリアで最も偉大なワインのひとつ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの産地です。

コルドルチャのオーナーは、フランチェスコ・マローネ・チンザノ。「チンザノ」と聞いてピンときたお酒好きのかたもいると思います。そう、チンザノは、スパークリングワインとベルモットで知られるブランドで、チンザノ家が生みの親です。現在、チンザノ・ブランドは、カンパリ・グループの傘下になり、チンザノ家の手からは離れています。

チンザノ家は、ピエモンテ州出身の伯爵ファミリーで、モンタルチーノのこのコルドルチャの地を購入しました。その面積540ヘクタール。広大です。そのうちの144ヘクタールがブドウ畑になっています。

コルドルチャに到着すると、ツタに覆われた石造りの建物が目に入ります。緑が美しいこの建物は、チンザノ伯爵の住居になっています。ピエモンテにも家があり、両方を行き来しているので、いつもいるというわけではありませんが、ときどきチンザノ伯爵を見かけることがあります。
毛髪も髭も白く威厳のある姿ですが、親しみやすい笑顔で挨拶してくれます。

ツタに覆われた石造りの建物。ここにチンザノ伯爵が住んでいます。

庭は先が見えないくらい広く、その真ん中には樹齢数百年のオリーブの木がどっしりと生えています。

庭の真ん中に生えるオリーブの木

季節折々に木々や花々が美しく、心が浄化されるような気持ちになります。

コルドルチャはオーガニック農法をおこなっていて、トスカーナで一番大きなオーガニックワイナリーです。広大な土地でオーガニック農法をおこなうのは容易ではありません。でも、庭の周りに広がる豊かすぎる自然を見ると、ここにはオーガニック農法をじゃまするものがなく、オーガニック農法が可能だと納得します。

コルドルチャのワイナリー見学

受付のある建物は、大企業にしては素朴でこぢんまりとしています。

長年ここで働いている気さくなシニョーラが温かく迎えてくれます。

見学を担当するのは、気配り上手なベテランのマネージャーまたは、地元愛のある若いスタッフ。

「フィレンツェはどう?」「モンタルチーノでは昨日雨が降ってね」などと、にこやかな笑顔で話してくれます。それも表面的な親切さではなく、旧友のような温かさがあります。

そんな温かい雰囲気を持ったスタッフが案内してくれる見学は、美しい庭を通ってたどりつく蔵から始まります。

まず、想像以上に巨大な樽にびっくりします。大きな樽を使っているモンタルチーノのワイナリーはたくさんありますが、ここまで大きな樽を使用しているところはなかなかありません。

コルドルチャの蔵。右側に巨大な木樽が並ぶ。

ここにコルドルチャのこだわりがあります。大きな樽は小さな樽に比べ、ワインの熟成がゆっくりと進みます。巨大な樽で熟成されるコルドルチャのブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、ゆっくりとゆっくりと熟成していくのです。
コルドルチャの説明を聞いていると、時間をかけて熟成するブルネッロ・ディ・モンタルチーノを誇りに思っているのが伝わってきます。

樽を見た後、醸造用のタンクを見学し、ブドウがワインになるまでのプロセスを説明してくれます。

見学の後は、お待ちかねの試飲です。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノも試飲。

香りや味わいの説明をしてくれ、専門的な質問にも答えてくれますが、個人的な質問にもこころよく答えてくれます。

「毎日ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを飲んでいますか?」

「毎日ではないですが、週のうちの多くはブルネッロ・ディ・モンタルチーノを飲んでいます。自分のところのワインもよく飲みますが、他の生産者のワインを飲んで比較しています。」

といったように、テクニカルな話より、実際にワイナリーの人の日常が見えると、もっといろいろと質問したくなるような温かな雰囲気になります。

そんな親しみのある会話の中から、スタッフたちもブルネッロ・ディ・モンタルチーノを愛していることが伝わってきます。

生産者の情熱が見えるワイナリーツアー

ワインは、自然の産物でもありますが、人が造るものです。

当たり前のことですが、ワインには必ずそれを造っている人がいます。お店に並んでいるボトルやグラスに入ったワインだけを見ていると、なかなか生産者のことを考える機会がないと思います。

ワイナリーのみんなが情熱をもって働いている姿を見ると、そのワインにもっと敬意を払わなくてはと思わずにはいられません。

私は、ワインに対する熱い想いが伝わってくるワイナリーが好きですし、そんなワイナリーを案内したいと思っています。

コルドルチャは、そんなワイナリーのひとつです。

コルドルチャのワイナリーツアーはこちらから

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