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THE 日記(10/10〜10/21)

十月十日
 歯医者の予約を入れていたのになぜか行かなかった。日記を書いている今、なんで行かなかったのかは忘れているから、理由はわからん。群像新人の〆切に向けて頑張った。

十月十一日
 こればっかり聴いてる。とにかく良い。
https://music.apple.com/jp/album/music-for-saxofone-bass-guitar/1389926275

十月十二日
 落合くんも群像新人に出すらしく、読んでほしいと送られてきていた原稿を読んだ。電話で話す。「落合くんが何を大切に思ってるかだと思う」と偉そうに言った。

十月十三日
 何も覚えてない。『誰かの日記』の発送作業が大変、という全体的にぼんやりとした記憶。

十月十四日
 群像新人の〆切は明日。『影分身と饅頭』を仕上げようと読み直していると、落合くんが原稿を送ってくれていたおかげで、「友達(他人)の書いた小説を読む」というテンションというか距離感みたいなものが掴めていて、そのテンションで自分の小説を読めた。ダメだと思った。最初らへんがダメだ。中盤からはかなり良いから、そこに行くまでを丁寧に考えないといけない。これは一晩でどうにかなるものじゃない。やろうと思えばどうにかなるけど、そのどうにかしたものはきっとおもしろくない。何かを書くっていうのは状態の放出だから、何の状態でもないのに書くということは、どんどん書かなくていいことを書いていくことになる。「最初らへんがダメだから書き直さないといけない」というのは物理的な領域で、実際に書く時に俺は物理的な領域に居ちゃいけない。物理的な領域っていうのは俺がしっくり来ている言葉なだけであって、まぁ要するに「あ、今書ける」みたいな瞬間しか書いちゃダメっていうそれだけです。それで机の前でぼーっとして、家の前にある環七を車がぶんぶん通った。漆が垂れてるみてえな真っ黒な夜だった。古道具屋で買った卓上灯だけが白く光っていて、「詩織ちゃんが昔を思い出してる、という始まり方にすれば全てが解決するんじゃないか」と思って、そうすることにした。落合くんとも話したけど、文学文学しようとするとそれはバレる。会ったことがない人が書いた文章でも、魂に馴染んでいる言葉で書いているのかそうじゃないのかというのはなぜかバレてしまう。俺はそれで冷めることが多い。上手に嘘をついてほしいのに、語り口から「嘘を喋ります」という空気がぷんぷんに漂っていて、話を聴く気にならない。本当のことを喋っている人は緊張もするだろうし言い淀んだり間違えたりもする。しないと変だ。圧倒的な素直さが見たい。素直さで圧倒されたい。

十月十五日
 ストファイをたくさんやって、俺がこんなに勝てないのはコントローラーが悪いんじゃないか? と思う。雑魚の発想。すぐ人のせいにする。AmazonでQANBAのObsidianを遂に買った。
 引き続き『影分身と饅頭』。まぁ良い感じになってきたかなぁ、でも流石に今日中は無理、と思って群像のホームページを見たら、インターネットから応募するのが今日までで、郵送だったら三十一日まで大丈夫だった。あ、三十一日ちょうどいい、と思ってそうすることにした。
 ずっと文字見すぎて頭おかしくなりそう、チャリでも漕ぐか、と思っていたところにちょうどポテサラとぺっちゃんから連絡が来て、荻窪まで自転車を漕ぐ。めちゃくちゃ寒い。服装を間違えた。荻窪の駅前のローソンであったかいマスカットティーみたいなやつを飲んで、ポテサラの父ちゃんが死んじゃったから、ポテサラと会うのは久しぶりだった。ぺっちゃんが来て、上着を貸してくれた。それでとりあえず井荻までチャリを漕いで、井荻の駅が64のカスタムロボの戦うところみたいで「なんだこの駅は、カスタムロボかよ」と俺は言った。ぺっちゃんが「カスタムロボ2」と言った。別に1で良くない?と思った。そこからまたうろうろとチャリを漕いで、どっかの駅で、それは西武新宿線か西武池袋線かの駅で、駅前にガールズバーの客引きの人が二人いて、マジで誰も通らないから大変そうだった。それを見ながら三人で缶コーヒーを飲んだ。時々通る電車がやたら静かで、これが滝口さんの『高架線』の電車か、と思った。
 
十月十六日
 ぺっちゃん家に十二時半集合だったのに時間通りに着いたのは足立だけで、俺とポテサラとアンジーが遅れて到着して、西邑とさよぴぃと日下部は大遅刻っぽいから、先に五人で立川に行った。俺が焼肉を食いたいと言い張り、テキトーに入った焼肉屋がマジでやばくて、店員がギャルすぎて、マジで全然肉が出てこない、ごはんは無茶苦茶カピカピで、サラダは塩が大さじ二千杯ぐらい入っていて激辛、という最悪の店だった。IKEAの前に行ったら西邑とさよぴぃがいた。みんなで爆笑しながらIKEAを回った。犬のぬいぐるみを買った。日下部はいつの間にか合流していた。外に出たら夜だった。荻窪に移動してボウリングをした。チーム戦にした。俺、ぺっし、さよぴぃ、アンジー、のチーム。ポテサラ、西邑、足立、日下部、のチーム。最初は俺らが勝って、二回目はポテサラ軍が勝った。俺のスコアは137と138。安定。二回目をやる時にチームメンバーを変えるか?と提案したら足立が「いやこの四人で勝ちたいです」と言った。
 帰った。とにかく楽しい日だった。珍しく大人数集まった。恋人とオリジン弁当食ってすぐ寝た。
 アンジーが撮ってくれた写真が綺麗だった。

十月十七日
 体調が凄い悪かった。吐きそうだった。

十月十八日
 昨日の体調不良を踏まえて、タバコをやめることにした。今まで俺は多分煙を二割ぐらいしか肺に入れてなくて(無自覚)、全部肺に入れるようになってからずっとヤニクラモードで、「もうめんどいわ」と思って、やめることにした。QANBAのObsidian(格闘ゲーム用のコントローラー)が届いた。開封してみると、ピカピカでかっこいい。少し触ってみると、一発で「こりゃ良いコントローラーだ……」とわかった。
 ストファイを少しやったらやっぱりある程度入力遅延があったっぽい。めちゃ感じる。ちゃんと押した瞬間に技が出てる。良かった。

十月十九日
 頭のサイズを測った。ニューエラのサイトから福岡ダイエーホークスの帽子を買った。

十月二十日
 何も覚えてない。煙草やっぱり吸お、と思った。

十月二十一日
 福岡ダイエーホークスの帽子が届いた。嬉しい。
 高円寺までチャリを漕いで、家賃を振り込んだ。上島珈琲に入って『影分身と饅頭』の手直し。良い感じ。閉店までやって、北口で煙草を吸いながらブルーハーツの『NO NO NO』を爆音で聴いた。名曲。
 IKEAで買ったでっかい犬のぬいぐるみの名前は「自転車」になった。恋人と一緒につけた。二人で湯船に浸かりながら俺が候補を二十個ぐらい出して、やっと「自転車」になった。ぬいぐるみって安易に買うものじゃないな、と思う今。愛着というか、もう本当にファミリーだから、一つの命だから、例えば何か破けたりとか何か失くしたりとかが起こるのかわからないけど起きたら耐えられそうにない。そのぐらいもう好きになっている。
 加藤純一さんの放送を少し前からちまちま観るようになっていて、今日偶然再生させたマインクラフトをやるためのメンバーを募集している動画が凄かった。感動した。障害を持ってる人とか指がない人とか色盲の人とか五十代の風俗嬢の人とかお医者さんとかがたまたま集まって、加藤さんがその人たちの障害を笑いながら「一緒にやろう」と言い続ける放送で、それでも障害者のことを馬鹿にしていると感じる人もそれはもちろんいると思うけど、いやわからないけど、俺はここには本当に膨大な愛しかないなと思いながら観ていて、弱視の人が「色盲の人と僕が組んだら良いと思います」みたいな感じで入ってきて、加藤さんは爆笑して「一緒にやろう」とまた言って、とにかく俺は感動していた。色盲の人が、ニワトリにエサをやる時に、色が見えないから間違えて花をエサとしてあげていて、加藤さんがそれを笑いながらでもみんなが死なないように落ちそうな穴を塞いだり、参加した全員がそれぞれをサポートしながらエンダードラゴンを倒すために、そしてただみんなと遊ぶために、ゲームをしていた。めちゃめちゃ笑ったしめちゃめちゃ感動した。
https://youtu.be/0OHkdLwdeTk
https://youtu.be/IVl8x6CdPA8

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