ガソリン国会と地獄の民主党政権

■ガソリン国会(第169回国会)

2008年の通常国会は「ガソリン国会」と呼ばれた。

同年3月31日を以て、「税率の特例」が期限切れになる事から、更に10年延長を主張する与党・自民党と、廃止を主張する野党・民主党が激しく対立した。


福田康夫内閣は、『租税特別措置法』などを含んだ「所得税法等の一部を改正する法律案」(閣法169-3)を提出し、特例税率の10年延長を盛り込んだ。


また、特例税率の廃止を主張する民主党は「ガソリン値下げ隊」なるものを結成したw


当時の参議院は、特例税率の廃止を主張する野党が過半数を占めていたために「ねじれ国会」になっており、与党多数の衆議院で可決されても、野党多数の参議院で可決されない可能性は十分にあった。

3月31日、「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律案」(衆法169-8)…いわゆる"新租特つなぎ法案"を可決成立させたが、
内閣が提出していた「所得税法等の一部を改正する法律案」(閣法169-3)は、3月31日までに可決されず(この時点で「否決」ではない)、時間切れとなった。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2008pdf/20080704010.pdf


■特例税率の失効と復活

2008年4月1日、特例税率は期限切れとなり、ガソリン税は28.7円(本則税率)へと減税される形となった。自動車取得税などにも適用されていたため、合計2.6兆円(国1.7兆円+地方0.9兆円)の税収減を見込まれた。


特例税率の廃止を主張する野党が過半数を占めていた参議院の一連の動き(野党の職場放棄)から、特例税率が失効すると予想した人たちによる「買い控え」や「必要最小限度の購入に留める」といった現象が3月31日まで起こった。4月1日になると、ドライバーは一斉にガソリンスタンドへとクルマを走らせて満タン給油するという「駆け込み需要」が起こった。

同年4月30日、「所得税法等の一部を改正する法律案」(閣法169-3)を衆議院本会議で再可決・成立した。

同年5月1日、特例税率が復活し、2018年3月31日までの継続が決まり、ガソリン税は再び53.8円へと再増税された。

この時も、特例税率の復活を予想していた人たちによる「駆け込み需要」が4月30日まで起こった。


■地獄の民主党政権によるガソリン税の大改悪

2009年の衆議院選挙で、民主党が「ガソリン税などの暫定税率を廃止」を掲げて勝利した。


しかし、「特例税率の廃止」による税収減を補うはずだった"埋蔵金"は見つからず、鳩山総理が国際公約した温暖化対策や、特例国債発行を制限する財政収支問題が出てしまった。

そこで、地獄の民主党・鳩山総理は、余計な事をひらめいた!

ピコーン!


2010年3月24日、『租税特別措置法』などを含んだ「所得税法等の一部を改正する法律案」(閣法174-14)が成立。3月31日公布、4月1日施行。


『租税特別措置法』第88条の8で、特例税率53.8円の期間が、
「1993年2月1日から2018年3月31日までの間」だったのが、
『2010年4月1日以後、"当分の間"』へと"大改悪"された。

更に、同法第89条に、いわゆる「トリガー条項」が盛り込まれた。



という事で、

2010年4月以降は"暫定措置"という仕組みが廃止され、当分の間「税率の特例」は継続される事となり、今日に至っている。


なるほど、「暫定税率の廃止」とは、
"暫定措置(期間を区切る)という仕組み"
を廃止する
という意味だったのか。そうだったのかー。

こうして、マニフェストという約束は破られ「詐欺フェスト」となったのであった。

.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?