「ザイム真理教」という妄想
■「ザイム真理教」という言葉の出処
「ザイム真理教」という言葉が、SNSをはじめとしたネット上でよく出回るようになったのは、2022年10月17日の現代ビジネスの記事からのようだ。
だが、その10年も前から「ザイム真理教」という言葉を使っていた人もいるようだ。
■「ザイム真理教」とは?
意味としては、「財政健全化」や「増税」といった緊縮財政を絶対正義とし、デフレが慢性化しようと、日本経済が瀕死に陥ろうと、全く意に介さない財務省の事。または、その教え。
「オ◎ム真理教」から来ている事は明白である。
財務省の中でも幹部連中(事務次官、財務官、大臣官房長、総括審議官、主計局長、主税局長、関税局長、理財局長など)は非常にタチが悪く、幾多もの政治家をコントロールし、あの安倍をも騙した、という事のようだ。
そして、そんな財務省にレクチャーされて洗脳された政治家や経済学者や国民、あるいは、身内に財務省の関係者や出身者の多い岸田総理は「ザイム真理教」の信者もしくはポチという事のようだ。
財務省は、とある界隈では、「ラスボス」「世界最悪の組織」みたいな位置付けになっているようだ。
だがしかし、結局のところ、財務省の官僚は、財務省設置法・財政法・特別会計法などを遵守しているにすぎない。
そんな事など、安倍総理も麻生総理も菅総理も、そして岸田総理もわかり切っている事である。
しかし、不思議な事に、「それらの法律を改正するべきだ!」という建設的かつ冷静な意見や議論は、どこにも無いようだ。
■IMFは財務官僚の天下り先?
日本の財務省とIMF(国際通貨基金)とは、関係が根深いようで、財務省出身の者がIMFで勤務しているようだ。
その事を揶揄してなのか、「IMFは財務官僚の天下り先」などと言われているようだ。
IMFが2022年6月22日に公表した資料によると、
2021年にIMFで勤務した日本人職員は65名で、全職員のうちのたった2.3%であった。幹部クラスとなると、副専務理事に1名だけ。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/imf/what_is_imf/press_release/imf_20211111.pdf
■IMFへの出資額と投票権
IMFの加盟国数は190カ国である。
IMFへの出資額は、日本は2番目に多い。
最も多いのはアメリカであるが、日本の約2.7倍もの出資額である。
IMFは、特に経済力の大きな加盟国であるほど大きな出資額を求める傾向にある。
IMFにおける投票権は、1国1票ではなく、出資割当額に比例して割り当てられており、出資国は会社で言うところの"株主"のような位置付けになっている。
■ネット上の妄想によって作り上げられた虚像
消費税増税の話題になると、
「"消費税率を2030年までに15%に"は、財務省が裏で操り圧力を掛けて、IMFにそう言わせるように仕向けている」
…などという『財務省最強論』が巷であるようだ。
だが、財務省の背後関係を見ずに『財務省最強論』に終始していては、事の本質は何も見えてこない。
・戦中のブレトンウッズ協定(IMF・世界銀行の設立締結)の経緯
⇒後に「ワシントン・コンセンサス」へと進化(深化)
・戦勝国はアメリカ
・敗戦国は日本
・戦後、数年間の日本はGHQ占領時代
⇒日本国憲法、財政法、大蔵省設置法等の制定
これらの事を考えれば、少なくとも、
『 日本の財務省 > IMF・世界銀行 』
…というふうには絶対にならない。
それに、最も出資額の多い"超・筆頭株主"でもあるアメリカを前にして、2番目以降の国が、IMFやアメリカに対して何か多大な影響力を与える事などできるのだろうか??? いやっ、できない。(反語)
確かに、安倍総理の言っていたように、財務省は予算編成を担っているという意味で、他の省庁よりも強いのは間違いない。
国民から選ばれてもいない国家公務員の財務官僚が、国民に選ばれた国会議員で構成された内閣を平気で潰しにかかるのであれば、それはもはや民主主義の否定そのものである。
だが、財務省が強いというのは、あくまでも日本国内での話であり、一歩世界に出れば、IMFや世界銀行の支配下にあるのは戦中戦後の歴史や「ワシントン・コンセンサス」の成り立ちから考えても明らかである。
それは誰よりも安倍総理が理解していた事だし、そんな中で、既に法律化された消費税増税を二度も延期した。
緊縮財政三法律(財政法第4条、財務省設置法第3条、特別会計に関する法律第42条2項)を改正しようとする事は、IMF体制「ワシントン・コンセンサス」が絶対に許さない。その意向に従わない者には、最悪の場合、暗殺が待っている。
それこそが、これまでに見てきた歴史である。
財務省に対して、「世界最悪の組織」みたいな謎の妄想をしてラスボス設定している者こそ、ある意味で『ザイム真理教』と言えるのではないか。
もっと、地に足の着いた議論をするべきだ。
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