セキュリティポリスと警護対象者
■警察官の職務
警察官は、「警察法」によって動いている組織であり、治安維持のために任務を遂行している。
警察法第1条には、以下のように書かれてある。
警察法第2条には、「警察の責務」について書かれてある。
■セキュリティポリス(SP)
警察官の中でも、「警護対象者」の身辺の安全を確保することを本旨とする警察官を『セキュリティポリス』(以下、SP)と呼ぶ。
警護の実施については「警護要則」によって定められている。
■警護対象者
「警護要則」第2条によって定められている。
[1]内閣総理大臣(三権の長)
[2]国賓
[3]その他その身辺に危害が及ぶことが国の公安に係ることとなるおそれがある者として警察庁長官が定める者
[1][2]については、本人の意思に関係なく、強制的にSPが付く。
[3]は、警察庁長官の定めによる。定められた対象者本人の意思により「警察庁長官が定める者」から外してもらう事もできる。
「警察庁長官が定める者」については、「警護細則」の第1条に書かれてあるようだ。
■「警護細則」の第1条による警察庁長官が定める者
公開されてはいないようだが、以下の方々が対象になっていると思われる。
・衆議院の議長(三権の長)
・衆議院の副議長
・参議院の議長(三権の長)
・参議院の副議長
・最高裁判所長官(三権の長)
・国務大臣
・公賓・公式実務訪問賓客
・その他警察庁警備局長が定める者(指定要人)
・総理大臣経験者(三権の長 経験者)
・政党代表者
・与党の幹部(幹事長、政調会長、総務会長、参議院議員幹事長など)
・駐日大使
更に、自治体レベルでは、条例に基づき、東京都・大阪府・千葉県の知事にもSPが付くことがある。
公人以外の警護対象者は非公開となっている。
なお、上記に記した警護対象者の家族については、家族という理由だけでは警護対象者にはならない。
あくまでも、警察庁長官に定めてもらう必要があるようだ。
■内閣総理大臣のSP
内閣総理大臣の周囲には大勢のSPがぴったりガードしている。
SPはスーツ姿であり、ジャケットのフラワーホールにはSPバッジ(不定期更新)が着いている。また、ノーネクタイで、ジャケットのボタンをはめていない事も少なくない。おそらくは、少しでも動きやすくするためなのではないか。
昔のSPは「忍者型」だったらしいが、現在のSPは「威圧型」となっている。
筆者は、選挙演説会場ではないトコロで、安倍総理に直接お会いした事が何度かあったが、
警護対象者である安倍総理の安全を護るために、すぐ近くに大勢のSPがゾロゾロとピッタリ張り付いてガードしており、離れた所からもSPが見張っており、周囲に目を光らせている威圧感に圧倒されまくった事は、今も鮮明に覚えている。
背後や斜め後ろから近付こうものなら、すぐさまSPに払い除けられてしまう。
こうしてみると、総理大臣というのは一分一秒たりとも気が休まる事がないのだな、と思った。
そして、あれこそが「抑止力」なのだと。
■AERAのゴミ記事
2021年10月26日の衆議院選挙期間中に、AERAという名の朝日新聞社がこんな記事を撃ち込んできた。
明らかに選挙期間中を狙い撃ちしてきたとしか思えないこの記事。
いかにも「安倍による税金の無駄遣いを許すな!」と言わんばかりの内容である。案の定、この記事に釣られた者は非常に多かった。
この記事を、主に一般層や無党派層にも向けて発信する事で、自民党への票を減らそうとしていたわけだ。
朝日新聞社は、どこの組織の機関紙なんだろうな。
まぁ選挙の結果は、自民党の圧勝であり、安倍総理もあっさり余裕のゼロ打ち当選だったが。こんなゴミ記事ごときで安倍の牙城は崩せないっつーの!
■二つの事件が与えた影響
総理大臣経験者であれど、法律によって定められた「警護対象者」である事に変わりはない。
現職の総理大臣や国賓以外でも、公共の安全と秩序維持の観点から警察庁長官が定めた者であれば全て法律で定められた「警護対象者」となる。
ましてや、憲政史上最長の総理大臣となった安倍総理となれば、尚更、警護は当然である。
しかし、あの事件が全てを変えてしまった……。
あの日の応援演説中。
安倍総理の周囲には、候補者と自民党奈良県連の関係者がいた。
安倍総理のすぐ周囲を警視庁SP1名と奈良県警3名が警護していた。
しかし、前方の警護に気を取られるあまり、後方がモロに手薄になってしまった。
その隙を突かれてあのような事が起こってしまった。
いろいろな原因があったのだろうが、警護していた警察はたったの4名。
あまりにも手薄すぎじゃないのか???
事前の警護計画に不備があったんじゃないのか???
現職時代に多くのSPがゾロゾロと張り付いていた光景を目の当たりにした事のある筆者からしたら、とても信じられない光景だ。
現職ではなくなったとはいえ、こんなにも差が付くものなのか。
あの事件をキッカケに、警護対象者にはSPが増強されるようになり、厳戒態勢を取られるようになった……
……はずだった。
しかし、2023年春の補欠選挙の演説中に事件は起こった。
そして、またしても、警護対象者の後方に隙があった。
ほんの僅かな一瞬の隙を突かれて、パイプ爆弾の投擲を許してしまった。
すぐに気付き、SPが岸田総理を素早くクルマに避難させて移動した。
犯人はすぐ近くにいたおっちゃんに取り押さえられた。
投擲されたモノは少し経ってから爆発したが、あんなパイプ爆弾でもかなりの爆発音だった。
もしも、あれがD級のモノだったとしたら?????
特に、選挙中ともなると、大物政治家に物理的に近付ける機会でもある。
直接会った事のある筆者が言うのもアレだが、
演説後に近付いてハイタッチできる事に大きな喜びを感じられる反面、
あれだけ物理的に至近距離まで近付ける事に危険さも感じていた。
ただ、だからといって、それを止めてしまえば、民主主義が暴力に屈してしまう事になる。
従って、屈服する事を回避するべくして、その後の警護は更に更に増強されたようだ。
その事がよ~くわかる動画がツイッターに上がっていた。
あの日あの時、安倍総理にお会いした時よりも遥かに増員増強されていた。すぐ近くをゾロゾロ歩いていた人たちだけでなく、この映像には映っていない離れた箇所にもSPは大勢いるはずだ。
しかし、スマホのWi-Fiネットワーク名には、まだまだ隙があった模様。
もし秘書官本人が本当にこんなネットワーク名を付けているのであれば、変えたほうがいい。
全く思い出したくもない話だが、、、
「憲政史上最長の総理大臣経験者」(安倍)と、「現職の総理大臣」(岸田)を狙った二つの襲撃事件。
警護体制を大幅に変えた事件であった。
「警護対象者」は、命を狙われたり襲われたりするリスクが非常に高く、国家の治安を脅かされたり周囲の人にも危害が及んだりする事も当然考えられる。
従って、「警護対象者」について、税金(警察)を多く投入してでも身辺を警護するのは当然である。
※参考
https://www.tokio-dr.jp/risk_info/up_file/200706211.pdf
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