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「現代俳句」2024年2月号

 暖かい日が続き、花粉も大飛散していた矢先の雨。意地でも三寒四温を成さんとするその姿勢、いっそ清々しいですね。厚手のセーターを引っ張り出し、レッグウォーマーを引っ張り出し、どうにか寒さをしのいでおります。
 みなさん、いかがお過ごしでしょうか。うっかり続きのわたくし、2月号をうっかり書き忘れておりました。後回しにする癖を治したいです。
 では、うるう年の2月号(関係ある?)の感想です。


列島春秋

王将がここにもあって少し春  久留島元/滋賀

 知らない街を歩いていてふと「あ、ここにも王将ある」と思う、春の陽気の漂う日常。さすがに将棋の駒が落ちてるわけないと思うので(だったら将棋の駒って書くよね)、餃子か大阪のどっちかでしょう。「少し春」とあるので、勝手に餃子の王将にしておきます。餃子は味噌ダレ派です(聞いてない)

栄螺焼く匂いも淡路人形座  中澤矩子

 淡路島には江戸時代から人形浄瑠璃文化があって、淡路人形座は有名な一座です。「匂いも」とあるので、栄螺の香りすら淡路人形座の一部なんですね。人形座の賑わいと栄螺の香りと……淡路島いいな~~~(そこ?)

第十五回現代俳句の風

 今回は興味深かった句に小見出しをつけて紹介していくスタイルでいきます。冬の句はどこか切実で、夏とは違った潔さを感じる気がします。

ぼくらはみんな生きている

冬銀河わたくしといふ不安定  平子玲子/北海道
デブリって何デブリってどこ雪催  丹波裕子/東北
生きるとはかすかに動く冬の蝶  宮沢子/東京
セーターを脱いでどことなく中性  麻生明/関東
冬の月みんな何かに生かされて  里見美季/関東

たましいれぼりゅーしょん

たましいの触れ合う時間寒夕焼  田中悦子/関東
たましいは火色と思う三島の忌  田沼美智子/関東

かがやけわたし

完璧な片恋ダイヤモンドダスト  渡辺智恵/関東

マスクの孤独

マスクしてひとりひとりの孤独かな  村田佐和子/東海
マスクして一億人の孤独かな  森一心/関西

平穏な日常

音立てて割れる板チョコ二月尽  徳見淳子/関西
リビングに移す遺影やクリスマス  檜田陽子/関西

「翌檜篇」(58) 青年部編

胎児に触れ  安部知菜美

いつかただの水になって天の川
 天の川は、川にして川にあらず、です。なにを今更、という話ですが、あの神聖な、神秘の存在に「いつかただの水になって」という表現がどうしようもなくしっくりきてしまう。ぴったりだな、と思ってしまう。この説得力はなんなんでしょう。だって、ただの川なら渡れるからね。ロマンのへったくれもないんですが。

冬林檎  髙橋句美子

旅人に線路に沿って花あじさい
 旅人に「も」線路に「も」と読みました。ずっと続いているし、行く先々に紫陽花が咲いているんでしょうね。京都……あ、鎌倉かな。江ノ電だったらいいな、と思いながら読みました。

まやかし  吉川拓真

木星と月の接近おでん鍋
 おでん鍋のたまご、大根。テレビでは木星と月の接近のニュース。という、日常感。いや、たまごとも大根とも言ってませんが。言ってませんけど、ありますよね。多分ね。なにがどうってことはないけど、なんとなくありそう。そんな句も、好きなんですよね。

最新はいま  東砂

雪晴や黒糖パンのまるき艶
 黒糖パンがおいしそう。わたしの中で食べ物の句は、おいしそうならオッケーというものさしがあるんですけど、おいしそうなので好きですね。「雪晴」という景色もいいです。寒い日に、これは出来立てかもしれませんね。あ~~おいしそう~~~(食べたいだけ)

地区協だより

群馬地区篇 堀越胡流

 地区協だより、なかなか明るい話題がなくて(というか切実で)もどかしいですね。今回の群馬地区は、最後のほうにこんなことが書いてありました。

 これからの群馬地区協の運営ですが、地区協のみの会員も受け入れるとの事で、会員の皆様にお仲間を勧誘して頂くようにお願いしようと思います。会員の高齢化や減少で役員の受け手がいない。また、若い人がほとんどいない。なにか魅力のある行事をと思い話してみますが、途端に尻込みをされてしまいます(後略)

『現代俳句』2024年2月号

 「地区協のみの会員」とありますが、具体的にどういうシステムなんでしょうか。こういうことが独自で出来るとなると、いよいよ「現俳協とは」と思わないでもないですが、地区協を足掛かりとして、もし気に入ったなら現俳協へという感じなんだと思います。もし稼働したら内容を教えていただきたいなと思いました。どんな感じなんだろう。ピンとこないな。
 「役員の受け手がいない」というのは、シンプルに自分の時間がない人がいて(自分時間120%のわたしが言うのもアレですが)、句作の時間や参加することでいっぱいいっぱいになりがちな気がします。あとは生活ですからね。かと言って、高齢者の方がみんな健康で、自分時間にきびきび動けるわけではないので、この問題を解決するのは難しいと思います。ただ、諦めたらそこで試合終了なのでね。わたしは関西ですが、関西にも群馬地区協だよりを読んで気に掛けている人もいるよ~とここに記しておきます。届くかはわかりませんが、わたしは全国津々浦々、地区協のみなさんを応援しています(誰!?)
 
 ここから余談、というか雑談なのでラフにしゃべりますが。
 会員って、お客さんではないけれど、役がなければなにも動きようがないとも思っていて。ひとりひとりの責任って、言ったらまあ「現俳協会員を名乗るからには軽率なことはしない」みたいな、社会に出たら大体そうですよねって感じのことだと思うんですよね。その中で、会員を増やすために動かなければ、みたいな流れは、ちょっとどうかなって思うので。入るメリットって人それぞれだし、会誌を読むか読まないかも自由なので。この自由さがわりと好きで、わたしは会員やってるんですけど。だからそうだなぁ、まずは「今の充実」なんじゃないですか。今いる人が、満足できる会であることが必須なんじゃないですかっていうことで、わたしは関現俳が好きなんですけどね。いい意味で、放ったらかされないというか。気に掛けてもらってるなぁって実感するんで。
 自分にとってどういう場が最適か、その場を提供してくれるのはどこか。今はそうやってコミュニティを選ぶことができるし、いろんなコミュニティがあったほうが選びやすいと思うので。現俳協も「こういうもの」という確固たるものはありつつ、地区協ごとに特色が違うくらいがおもしろいと思いますけどね。関現俳は「アットホーム」に尽きる。距離感が近いと怖い、近いのいやだって人には向かないけど、さみしがりには向いてます。前にもこんな話したような。まあいっか。

 というわけで、遅ればせながらの2月号でした。3月号が手元にあって「はよ読め~」と訴えているので、ぼちぼち読みます。
 それでは今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。また次回。 

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