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確定申告と新型コロナウィルス感染症

再び緊急事態宣言が、1都3県で発令されました。

これから令和2年(2020年)分の確定申告シーズンとなりますが、

普段の確定申告と異なる点があるので、まとめてみました。


給付金などの課税に注意!

”給付金”という名前でも課税対象になるものと、ならないものがあるので注意しましょう。

新型コロナ関連の給付金と課税

「困っているからもらったのに、税金かけるの?」と憤る方も少なくないと思います。

特に今回の場合には個人的にもどうなのかなと思います。

ただ、それでも法律は法律ですので、大変な時期に税金のことで時間と労力を割かれることがないよう、漏れなく申告していきましょう。


全部は書ききれないので、代表的なものだけ書いていきます。

(上記の画像にもう少し細かいのを記載しています。)

〇特別定額給付金

一人10万円の定額給付金のことです。

これは非課税ですので、申告する必要はありません。


〇持続化給付金

個人事業者については、一事業者あたり100万円を上限に給付されるものです。

これは、課税対象です。

したがって、事業所得を申告する際に「売上」に含めて申告が必要です。


〇東京都の感染拡大防止協力金

東京都からの要請にしたがって、営業時間の短縮等を行った事業者に支給されるものです。

これも、課税対象です。

したがって、事業所得を申告する際に「売上」に含めて申告が必要です。


〇雇用調整助成金

従業員に休業手当を支払った場合に、支給される助成金です。

これも、課税対象です。

したがって、事業所得を申告する際に「売上」に含めて申告が必要です。


〇Go Toキャンペーン事業における給付金

こう書くと、何のことか分かりづらいですが、

Go To キャンペーンを利用して割引を受けた金額のことです。

例えば、Go To トラベルを利用すると、宿泊代の35%の割引と15%分の地域共通クーポンをもらえます。

これらは「一時所得」に該当して課税対象になります。

一時所得は下記の計算をします。

「受け取った金額 - 50万円」


つまり、50万円を超えていなければ、課税所得はゼロです。

相当利用した人でなければ、まず税金は生じないと考えられます。


※ふるさと納税の返礼品も、厳密に言うと一時所得に該当します。

 Go To キャンペーンをフル活用し、

 ふるさと納税も、がっつり利用した場合には、

 税金が発生してしまう可能性があります。

 

確定申告に関係する措置

〇チケット寄付税制

1.概要

イベントが中止になった場合に、チケット代を払い戻してもらえる場合が多いと思います。

ただ、主催者を応援したいという気持ちなどから、

この払い戻しを受けなかったケースもあるかと思います。

この場合には、払い戻しを受けないことを選択したチケット代は、

主催者に寄付したものとして、寄附金控除の適用が受けられます。


どのイベントが該当するかは、文化庁のホームページに掲載されています。

リンク先の中ほどに <指定イベント一覧> という項目があり、

エクセルの一覧表があります。

落語、クラシックコンサート、サッカーJリーグの試合、純烈のライブ、刀剣乱舞など、2020年12月25日指定分までで1,169件のイベントが該当しています。

また、COUNT DOWN JAPANなど年末に行われる予定だったイベントも現在指定申請中です。


2.適用を受けるための手続きや要件

①主催者に対して、払戻を受けないことを伝える。

 → 具体的な方法や書式は、主催者の案内にしたがってください。

②主催者から「払戻請求権放棄証明書」「指定行事証明書」を受け取る。

③確定申告で「寄附金控除」として申告。

 :印刷して紙で提出する場合には上記の2つの証明書を添付する。

 :電子申告の場合は、原本を手許に5年間保存する。


3.留意点・注意点

〇放棄した日付に注意!

令和2年分の確定申告で対象となるのは2020年12月31日までに払い戻しを受けないことにしたチケット代です。

上記2の手続きで「払戻請求権放棄証明書」に

主催者側が放棄する連絡を受け取った日付が記載されているので、

この日付で判断します。


なお、今からチケット代の返金を受けないことにした場合には、

来年、令和3年分の確定申告で適用できます。


〇都道府県や市区町村の取り扱いに注意!

住民税については、都道府県・市区町村によって適用できるかどうか、取り扱いが異なっています。

都道府県や市区町村のホームページに掲載されていることが多いのでチェックしてみましょう。

〇住宅ローン控除の適用要件の緩和

住宅ローン控除の適用を受ける要件として、

「住宅を取得した年の12月31日までに入居する」

というものがあります。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響で建設が遅れたなどの理由で入居できなかった場合には、令和3年12月31日までに入居すれば適用を受けられます。

 この適用を受けるためには「契約日」がポイントです。

・新築の場合 ・・・ 令和2年9月30日までに契約

・分譲住宅を購入した場合 ・・・ 令和2年11月30日までに契約

・中古住宅を購入した場合・・・令和2年11月30日までに契約


〇消費税の届出期限の特例

消費税の届出については、

適用を受けたい年の前年12月31日までに提出が必要です。


つまり令和2年分の申告で適用を受けたかった場合には、

本来は令和元年(2019年)の12月31日までに届出が必要です。

これについて、令和2年分の申告で適用を受けたい場合には、申告期限(令和3年3月15日)までに申請書を提出すれば、適用を受けられるようになります。

要件は

・令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間の任意の1ヶ月間の売り上げが概ね前期比50%以上減少していること、

です。


例えば、次のケースではこの制度を利用した方が有利になると考えられます。

※ 消費税について、どの制度を利用するのが有利になるかどうかはケース・バイ・ケースで、かなり複雑です。下記のケースにあてはまっていても、本当に有利になるかどうかは、個別にシミュレーションが必要です。どうすれば一番有利になるかは、税理士に相談することをお勧めします。


・新型コロナ対策で多額の設備投資をした場合

 消費税の免税事業者が、急遽、多額の設備投資をすることになった場合には、課税事業者を選択することで、消費税の還付を受けられるなど有利になる可能性があります。

 また、簡易課税の適用を受けている事業者が、多額の投資を行った場合には、簡易課税の適用を受けない方が有利になる可能性があります。


・大きな設備投資を予定していたが、中止になった場合

 設備投資を行う予定だったので、この分の消費税の還付を受けようとして課税事業者になった。ところが、設備を延期することになった。

 このような場合には課税事業者の選択をとりやめた方が有利になる可能性があります。


・売り上げが減少した場合、事務処理が間に合わない場合

 売上が5,000万円以下だと「簡易課税制度」の適用が受けられます。簡易課税制度の適用を受けたい場合には、届出が必要です。

 当初は、簡易課税の適用を受けないつもりだったが、やっぱり受けたいという場合には

申告期限はどうなるのか?

昨年、令和元年の申告については、4月16日まで申告・納付期限が延長されました。その後、更に個別での延長が認められました。


これに対して令和2年(2020年)分の申告については、

この記事を書いている令和3年1月8日の時点では、

全体に一律での延長措置は特に出されていません。


ただ、個別に延長を受け付けてくれます。

延長を受けたい場合には、2つの方法があります。

①「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出する。

② 確定申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載して提出する。国税庁の確定申告作成コーナーからe-Taxで出すときは、「送信準備画面」の「特記事項」に記載して送信する。

現時点で間に合わないことが分かっているのであれば、①の手続きをしておいた方が無難です。

ただ、実際には②の方法で提出するときに延長を受けたいと記載する方が簡単なので、こちらの方法で期限延長している方が多いと思います。


※令和元年の申告をまだしていない場合は注意!

令和元年(2019年)分の確定申告については、延長措置が設けられており、

提出した日=申告期限とすることができました。


ただし、令和2年分の確定申告を提出すると、令和元年分の延長措置が終了してしまい期限後に申告したとされます。

令和2年分の申告書を提出した日 = 令和元年分の申告納付期限

となる訳です。


国税庁の説明をざっくり要約すると、「令和2年の申告ができるのに、令和元年の申告がまだできないってどういうこと?」と、まあ、当然と言えば当然の理由が書かれていますね。

期限後の申告になると、特例措置が受けられないものも出てくるので、

「去年はドタバタで申告できなくて、気が付いたら年が明けてしまった!」という人は、令和2年の申告をするときに、必ず令和元年分の申告もしましょう。


納税猶予措置について

申告書は作成できたけれど、納税資金が用意できないといった場合は、

納税を猶予してもらえる制度があります。

この制度を利用して申請が認められると、

最長1年間納税が猶予されます。

猶予期間中は延滞税がかかりますが、税率が通常8.9%から1.6%に軽減されます。

何もしないと、延滞税や加算税が増えてしまい、

最悪の場合には預貯金などの財産差し押さえもあります。

まずは、国税庁猶予相談センターに相談をしてみましょう。


 ちなみに、令和2年4月30日に成立・施行された新型コロナ税特法では、延滞税がゼロになる特別措置が取られています。

 ただ、この特別法は令和2年2月1日から令和3年2月1日に納期限が到来するものに適用されます。したがって、令和3年3月15日が納期限の令和2年分については、この特例の対象外と現時点ではなっています。

今後、延長されるかどうかが注目されます。


確定申告会場の事前予約が必要

毎年確定申告会場は混雑していますが、

今年は確定申告会場事に行くには事前予約が必要です。

LINEでの申し込みもできるので、早めに対応しましょう。


確定申告会場への来場を検討されている方へ(PDF/1,521KB)


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