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【書籍レビュー】翻訳スキルハンドブック〜英日翻訳を中心に(駒宮俊友著・アルク刊)

 こんにちは。先日、ある翻訳スキルに関する本を読んだところ、翻訳だけではなく、文章の書き方や読み手への伝え方、さらには職種を問わず仕事に対する心構えに至るまで様々な学びや気づきを得ることができました。そこで今日はその本を紹介したいと思います。

購入した本:「翻訳スキルハンドブック」(駒宮俊友著・アルク刊)

 購入したのはこちらの本。

 この本は現役のプロの翻訳者であり翻訳学習の指導も行う駒宮俊友さんが、英日翻訳に特化して「翻訳原稿を入手してから訳出、校正、最後に納品に至るまでのプロセスとそれぞれの段階で必要とされるスキル」を余すところなく解説した指南本です。

購入した理由

英日翻訳の通信講座で煮詰まり、翻訳の基礎を学ぶ必要があると痛感

 今年の春からナショナルジオグラフィックの翻訳講座(以下、ナショジオ翻訳講座)を受講しています。これは英日翻訳の講座で、先日初級コースが終了し、今月から実践コースが始まったばかりです。

 元々ナショジオの雑誌が好きで、毎月講座の副読本として届く最新号を読むのは楽しいとはいえ、肝心の添削はずっと5段階評価で真ん中のままという状況が続いていますorz💦

 添削はとても丁寧で、講評・参考訳の解説も充実しています。しかし、「なるほどそうか」と一旦は納得するものの、実践コースで継続するにあたり「次のステップに進むためにはどうしたらいいのか」、そんな迷いが生じていました

 元々趣味の延長で始めたものであり、翻訳のスキルは一昼夜で習得できるものではないことも十分わかってはいたものの、「このまま消化不良になってもなんだかもったいないな🤔」と感じるようにもなりました。そこで実践コースが始まる前に翻訳の基礎を解説する本を読んでみようと思い立ちました。

翻訳者・指導者として活躍する著者に以前から関心があった

 早速検索をして何冊か見つけた中からこの本に決めたのは、著者が駒宮俊友さんだったというのが大きいです。数年前にテンプル大学ジャパンキャンパスの生涯学習コースでアカデミックライティングの授業を受講していた頃、同校で翻訳講座を担当していた駒宮さんのお名前だけは目にしていました。

 また当時の講座案内で特に関心を持ったのは、ロンドンの大学で翻訳学を学んでいたという経歴です。日本人の翻訳者の方が海外の大学院でこの学問を学び、活躍しているのは珍しいなと思いました。

 機会があれば一度は受講してみたいとは思っていたものの、なかなか都合がつかず、しばらくして気づけば駒宮さんの講座は無くなってしまったという苦い経験がありました。そんなことから今回は迷わずこの本を選びました。

この本の特に良かった点

翻訳以外でも学びがたくさんある

 一般に翻訳本と言えば、訳し方のテクニックであったり、誤訳をしないための注意点に目が向きがちです。

 しかし、この本では冒頭でも話した通り、それらに加えて例えば翻訳会社への納品の際のメッセージの書き方であるとか、さらには連絡や質問の仕方など社会人としてもビジネスマナーも具体的に解説されています。

 全編に渡ってプロの翻訳者や翻訳学習者だけではなく、ビジネスで文章を書く機会が多い人にとっても有益なアドバイスが満載で、一社会人としての著者の仕事に対する熱意や真摯に取り組む姿勢も学ぶことができました。

翻訳で必要な5つの基本スキルとプロセスがあることを知る

 この本では翻訳者に求められる5つの基本スキルが紹介されています。

「翻訳に必要な基本スキル」5つ
①原文分析スキル
②リサーチスキル
③ストラテジースキル(※)
④翻訳スキル
⑤校正スキル
(※)「誰に向けて翻訳するのか?」、「どのようなメディアに掲載されるのか?」などのストラテジーを検討するスキルのこと)

引用及び参照:翻訳スキルハンドブック(駒宮俊友・著)

 各スキルの詳細はここでは割愛しますが、まず私の場合は4番目の「翻訳スキル」ばかりに囚われていたことに気付かされました。

 いつもナショジオ翻訳講座の課題が届くと、2週間という作業期間はあるものの「直前に慌てたくない」と言う心理が働いてしまい、いつも単語や用語を調べながら翻訳作業を並行して行なうという状況になってしまいます。

 こうした進め方によって「リサーチ不足→適切な日本語を探せなくなる→時間切れになる→結局、不自然な表現のまま提出」という悪循環に陥っていたんだなと本を読んで改めて気付かされました。

わかりやすい文章を書くことの大切さを説き、著者もそれを実践している

 本の中で駒宮さんは一貫してわかりやすい文章を書くことの大切さを説いていますが、気づけばこの本自体も非常にわかりやすくて読みやすいです。

 章の構成も上手くまとめられており、結構ボリュームのある本でありながら一気に読めてしまいました。なので、具体的なプロセスやテクニックの解説している文章そのものも参考になると感じました。

この本をきっかけに早速実践してみようと思ったこと

まずは原文分析、リサーチと校正の3つのスキルを意識する

 自分には圧倒的に足りないと感じた原文分析、リサーチ、校正の3つのスキルを意識したいと思います。まずはナショジオ翻訳講座で以下の通り実践する予定です。

・記事の内容を理解することからスタート(原文分析)
・用語から関連する情報を調べる(リサーチ)
・上記2点をクリアしてから翻訳スタート←慌てて訳し始めない!
・「わかりやすい文章になっているか」、「自然な日本語になっているか」という点を特に注意しながらを何度もチェック(校正)

 もちろん3番目の「ストラテジースキル」も重要ですが、ナショジオ翻訳講座では掲載するメディアも読者層も明確なので、今は毎月届く最新号で学べるかなと思っています(もちろん時間はかかりますが😅)。

巻末のチェックリストをnote原稿作成でもフル活用する

 この本の巻末には翻訳納品前のチェックリストがついています。これは「抜けや漏れがないか」、「用語やスタイルは統一しているか」、「わかりやすいか」などのチェックポイントが細かくリスト化したもので、ナショジオ翻訳でも次回課題から最後に見直しをする際に活用することにしましたが、note投稿でも同じく活用することにしました。

 これまでも気をつけてきたつもりですが、今でもたまに誤字や脱字、不自然な言い回しがどうしても出てきてしまいます😅そのため、記事の「精度」を上げるためにもリストをフル活用したいと思います。

最後に

 本を読み終えて、初めての翻訳学習でこうした教えを直接駒宮さんから学べた人たちが本当にうらやましくなりました。

 この記事で紹介したこと以外にも内容が盛りだくさんで、私も正直なところまだ全てを覚えきれていません。

 ですが、駒宮さんも「焦らず、ゆっくり」と説明する通り、まずは無理せずできるところから実践し、この本も読み返しながら自分なりの翻訳や文章作成の「軸」ができればと願っているところです。それくらい初学者にはありがたい本でした。

 今回は以上になります。最後までお読み頂きありがとうございました。


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