見出し画像

長期積立投資でリスク分散は嘘(むしろリスクは増大する)

こんにちは、お越しいただきありがとうございます。

本日は、

× 長期積立投資はリスクが時間分散されている

という誤った説をなんとなく信じている人が多いので、それは嘘である、というお話を紹介します。

長期積立投資は、後半になればなるほどリスクが大きくなっていく投資法です。勘違いしている人が多いのですが、「ドルコスト平均法で積み立てればリスクが時間分散される」は大嘘です。

正直、ドルコスト平均法は、覚える価値すらない言葉では…と思っています。

結論

もう一度言います。「ドルコスト平均法で積み立てればリスクが時間分散される」は大嘘です。

積立投資が勧められるのは、

多くの人は現時点で資産がそれほどなく、これから資産を増やしていくので、そもそも積立しか選択肢がないから

です。積立投資が優れているからではありません。(むしろ、今、一括投資できる余剰資産を持っているにもかかわらず分散で放り込んでいるなら、愚策の可能性すらあります)

しかし、それと同時に、過去データを見る限り、S&P 500は魅力的な投資対象であり過去データでは積立しか手段の無い人も、S&P 500で30年耐えれば大きな果実を得られている、だからみんな投資している、というのが本当のところです。

以上が今回伝えたい内容です。

以下その話をしますが、後半の補足(本編と同じくらい長い)は、特に余剰資金を持っている方への(あと、宝くじ的な投資をしている人にとっても)示唆に富む内容だと思うので、ぜひ見ていってください。

長期積立投資は時間とともにリスク増大

とはいっても、今までドルコスト平均法神話を信じてきた人にはにわかに信じがたい話かと思うので、具体的にシミュレーションを行いましょう。

毎年10万円ずつ積み立て、毎年10%ずつ資産価値が上がるとして資産シミュレーションします。ただし、80%の暴落をシミュレーションに含みます。

暴落が起きなかった場合と2年目、15年目、30年目のそれぞれに暴落が起きた場合のシミュレーションをしたのが次のグラフです。なおエクセルで適当に作ったものですのであしからず(笑)

画像4

緑→オレンジ→紅色の順に比較していただければ明らかですが、積立初期に暴落が起きた場合の影響はわずかですが、暴落が積立期間の後半になればなるほど暴落の影響が大きいですね。…30年目に80%暴落した想定では、投資したお金が元本ぐらいまで戻ってしまう結果になりました。

これは冷静に考えれば当たり前の話で、

・投資初期は投資元本が少ないため暴落の影響が小さい
・投資終盤は投資元本が大きいので暴落の影響が大きい

というだけの話なのですが、なかなか実際に考えてみないと気づかない部分です。

ということで、積立投資は別に優れた投資法ではないです。
なぜ勧められるかというと、勧められているというよりも、実際のところ私も含めて資産形成の途中の人間には、それしか選択肢がないから、積み立てるしかない、というだけの話なのです。

そして、このような事情で、積立投資は、長期投資の後半に差し掛かったら、リスクが増大していくので、それに備える意味でも、いろいろな投資対象に分散してリスクを小さくしていきましょうという話がよく出てくるわけです。ただし、この話も、あくまで一側面に過ぎないですが…。まぁ、それはドルコスト平均法の誤謬に比べれば些細なことなので、また機会があれば。

…ということで、長期投資において、定額積立≒ドルコスト平均法はリスクを小さくしないということを、ご理解いただけましたでしょうか。

素朴な疑問:ではなぜ時間分散が勧められるのか?

ここまでだけを読むと、

「では、なぜ多くの書籍で積立投資を勧めるのか?」

という疑問が浮かぶと思います。

その一つの答えは、

S&P 500は「暴落込みでも」過去の平均リターンが10%近いから

です。つまり、先ほどの結果より、はるかにリターンがいいのです。
(※あくまで過去データですが)

先ほどのデータは、

毎年10%のリターンだが一回だけ80%の暴落

という想定でした。さて、この場合の30年(正確には満29年)での平均の年次リターンは何%になるでしょうか?

…答えは、なんと約3.7%になってしまいます
29年中28年は10%上がっていても、一度80%の暴落があると、平均リターンはそれほど下がってしまうんですね。

※一応気になる人のために言っておくと、平均リターンは決して
(10%×28 - 80%×1) / 29 = 200%/29 ≒ 6.9%
ではありません。正しくは、
((1.1^28*0.2)^(1/29) - 1) * 100 ≒ 3.7%
と求めます。

ところが、S&P 500などの指数は、暴落も込みで考えた年次平均リターンが10%近いのです。つまり、

先ほど挙げた例よりはるかに過去リターンが良く、歴史的に、十分長期投資をすれば、元本割れすることがなかったから長期投資を勧められている

ということです。そういう前提であれば、たとえ最終年度に暴落を起こしても元本割れは考えにくいので、積立投資でOKという判断も可能です。

参考までに、過去30年のSP500の年次リターンを%で並べておきます。
20%やら30%上がっている年がざらにあることが分かります。これだけの成長をするから、暴落があっても平均10%近いリターンが実現できるのですね。(念のため、この期間、この表のデータからの計算では8~9%の間の平均リターン、という結果でした。同じ30年をとっても、期間によりかなり差が出ます。)

画像5

[引用元:"Stock Market Indicators: Historical Monthly & Annual Returns", https://www.yardeni.com/pub/stmktreturns.pdf (2022/3/19閲覧)より表を作成]

このデータをもとに、1992年末から、2021年末まで、毎年10万円ずつ積み立てた場合の、元本、S&P 500の想定リターンと、S&P 500の平均リターンを用いた定率リターンのシミュレーション結果を比べてみましょう。(以下すべて、同じくエクセル様)

画像8

実際のS&P 500のグラフは、リターンが良く定率グラフを超える時期もあれば、暴落により元本割れを起こしかける時期もあることが分かりますね(17年目にして元本割れを起こしかけていることにも注目してください)。しかし、最終的には先ほどの仮想的なシミュレーションよりはるかに大きなリターンが得られた、という過去データになっています。これを見れば、S&P500なら分散投資でも十分リスクに見合ったリターンが得られる、と考えるのも自然な気がしてきますね。

ただし、未来のことは誰にもわかりません。結局、未来はわからなくとも、これまでの歴史から、インデックスが同様に成長を続けることを信じるから、みんな長期積立投資をしている、というところでしょうか。

以上が本題なのですが、一定以上の余剰資金をすでに持っている人には、ここからがむしろ本題かもしれません


補足1:積立ではなく一括投資ならばどうか?

積立ではなく、一括投資で最初に全額をぶち込んでいる場合、上記とは全く違う結果が得られます。

そのシミュレーションも示しておきます。

先ほどの積立での投資元本の合計は、10万×30年で300万なので、この300万を全部1年目にぶち込んでいたらどうなるか見てみましょう。

画像4


一括投資の場合、暴落時期に関係なく最終的な資産額は同じになりました。
数学が得意な人は一瞬で原理に気付くのですが、一括投資の場合、元本300万に対する、毎年利率を掛け算していくだけなので、以下のどの順番で計算するかの違いだけなんですよね。

(1) 300×0.2×1.1×1.1×1.1×1.1×…×1.1

(2) 300×1.1×1.1×…×0.2×1.1×1.1×…×1.1

(3) 300×1.1×1.1×1.1×1.1×…×0.2

掛け算って、順番を変えても答えは一緒ですよね。ですから、一括投資の場合、結果はすべて同じになります。

つまり、いつ暴落が来ても一喜一憂する必要はあまりない、ということです。もちろん、「さぁ引き出そう」と思ったタイミングで暴落が来たら悲しいですが……


補足2:すでに多額の貯金がある場合、一括と分散どっちがいいのか?(答えは無いが、参考データ)

すでに多額の貯金がある場合、分散させて入れていくか、一括で放り込むのか、悩ましいですよね。この問いについても、未来が分からない以上確実な答えはないのですが、参考データを2つ、挙げておきます。


補足2.1:簡易シミュレーションでの一括vs分散の比較

まずは、先ほどの、暴落時期と30年後のリターンについて、一括の場合及び、毎年10万ずつ分散して、基本リターンは年10%だが、途中の任意の年度で80%の暴落が起きた場合に、リターンがどうなるかを比較するグラフを載せておきます。これは、先ほどの話を踏まえれば、投資対象のリターンが想定よりだいぶ少なかったと仮定しての話ですね。ここからどのような情報を読み取るかは読者の方に委ねます。

仮に、今回のごく単純化された想定での分岐点を示していますが、
・毎年の年次リターンが一定でなく予測もできないこと
・暴落時期も、暴落幅も、暴落回数も予測不可であること

から、そもそも分岐点も予測不可能であることには注意をしつつ、参考程度に色々考察してみてください。

画像4


補足2.2:S&P 500の過去データでの一括vs分散の比較

これについては、説明すらいらなさそうなデータが得られましたので、結果のみ提示しておきます。青が300万一括投資、緑が10万円ずつ30年間積立投資です。

画像8

さぁ、余裕資金が豊富にあってS&P500を信じるなら、一括と分散、どっちを選びますか。


あと、最後に、これは…ぼそっと言いますが…

「仮想通貨への投資法って、なにが正解でしょうか。」

上記の話を踏まえて、仮想通貨の成長を信じるならば(あくまで信じるならば)、どんな投資法が適してますかね?投資途中にゴミになる可能性を想定してゆっくり積み立てるのも一つですが…

どうせ遊ぶなら、その辺色々考えてみるのも一興かと。

なお、私は、正直、専門分野に近いからこそ、暗号資産、その中でも特にBitcoinは技術的な面で多くの致命的な欠陥があると思っています。

しかし、ワンダースワンが、当時の他のポータブルゲーム機に比べ圧倒的に性能で優れているにもかかわらず廃れ、PSPがニンテンドーDSに比べてこれまた圧倒的に性能で上をいくにもかかわらず(人気面で)敗北を喫し、画面レイアウトと印刷レイアウトが一致しない欠陥オフィスソフト(私が今日グラフを出すのに使ったソフトですね)が世界中で使われているといった数々の現実を見ればわかるとおり、

技術的に問題があるというのは、必ずしも近い将来の破綻を意味しない

というのが現実の社会です。それを踏まえて、自分の技術的な猜疑心はあえて脇に置き、大きなリスクは取らないが、少なすぎもしない、遊び程度の額を入れてます(笑)

入金法は、上記から自ずと導かれる方法を取っています。

なお、100倍になってもFIREできない程度の額しか入れていませんので、100倍になったらメチャクチャ悔しがります(笑) 一応、家庭があるので…

リスクテイカーの人は、100倍したらFIREできる額を突っ込んでもいいかもしれませんね。絶対責任は取りませんが(笑)

未来は神のみぞ知るですし、投資は自己責任ですが、まぁそういうことです。

ここまで読んでくださった方は、最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?